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社長との運命的な出会い③


「いや、あれは言葉のあやっていうか、深い意味ないというか、そういう意味じゃなくて……!」

「いや、ちょっとでも思ってなきゃ、んなこと言わねぇだろが」

「あの…ホラそれは社長は可愛い天使とかってタイプではなく、カッコいい悪魔っていうタイプかな~? っていう、そういう意味で」

 いや、言い訳にしたら無理ある……。

 でも、実際ただそういう感じの例えだった訳だし?

 ホントに悪魔だとか思ってる訳じゃないし、それで誤解されるのも絶対嫌だもん!

「いや、どっちにしろお前悪魔って言ってんじゃん」

「あっ……」

「結局悪魔は悪魔だろうが」

「いや、でも天使ではないですし……。それならどっちかっていったらそっちかなって」

「あ? もっと違う言い方あんだろ」

「う~ん。でもカッコいいとは言ってますし。あっ、でもあたしはタイプじゃないから安心してください! あたしは可愛い天使タイプしか興味ないんで!」

「は?」

「だから、社長がタイプだからとかそういう無駄な感情でこの会社に残りたいって言ってる訳じゃなくて、純粋にこの会社で仕事続けたいっていう意味なんで、そこは安心してほしいっていうか」

「あ? 無駄ってなんだよ」

「あっ……。いや、無駄っていうか、無意味というか……。う~ん、なんて言ったらいいんだろう。余計? 余分?  とにかく社長にはそういう感じのことで一切ご迷惑はおかけしないのでご安心ください!」

「なんだそれ(笑)  普通面と向かってタイプじゃないとか言うか?」

 ん?一瞬、笑った……?

 へ~、こんな感じで笑うんだ……。

 たったその一瞬だけで、怖かった雰囲気が少しだけ和らぐ。

「いや……こんな一社員が社長に対して、余計な感情を持ってないって知っておいてもらった方がいいかなと思いまして……」

「フフッ。慧。もういいんじゃないか?」

「なんだよ柾弥まさや

「いや、お前が女とそんな感じで言い合ってんの珍しくて(笑)」

「それはこいつが……!」

「いいじゃん慧。お前に興味ないって言ってんなら、なんも心配することないだろ。実際そういう感情持ってる女性たちが周りにいるほうがやりにくいから、お前そんな風になってんだし」

「それは……」

 社長の隣にいる男性が、あたしたちのやり取りを見て、気さくにそう言って社長に声をかける。

「確かに、こいつ天使ではないよね。うん。まぁこいつどっちかって言ったら悪魔ってイメージ皆にはついちゃってるよね~。ホントはそんなことないんだけどさ~」

 そして、あたしにもその男性が声をかけてくれる。

「あの・・・お二人の関係って?」

 本村さんだっけ?

 秘書さんかと思ってたけど、なんかかなり二人親しげな感じで、つい関係が気になって尋ねる。

「あぁ~。オレ、こいつのビジネスパートナーなんだけど、一応会社では秘書って形にしてるんだよね」

「そうなんですか?」

「まぁ一応オレ副社長でもあるんだけど」

「えっ!? そうなんですね!? すいません、それも知らなくて……」

「あぁ~全然。それ知ってんの上の一部だけだし。実際こいつは上に立っていろいろ出来るヤツだから、代表に相応しいんだけどさ。オレはサポート的に支えて一緒にやってる感じだから、普段は会社的に秘書としてやってる方が何かと都合いいんだよね」

「なるほど」

「おい。柾弥。何そんなヤツにベラベラ喋ってんだよ」

「え、いいじゃん別に。なんかこの逢沢さん、話しやすい雰囲気なんだよね~」

「どこが」

「私も本村さんはそんなすごい方なのに、なんだか話しやすい空気を感じます」

「ホント? よかった」

「本村さんは、社長と真逆なんですね」

「あ~。普段はよく言われる~」

「普段はこんな感じだから、会社ではメリハリつけて秘書ってことで切り替えさせてんだよ」

「そういうことなんですね」

「案外そういうとこうるさくてさ、うちの社長」

「あっ、それは十分伝わってます」

「おい。もういいから」

 思わず社長が止めに入る。

「とにかく。今回でもうお前のことはちゃんと覚えたから」

 すると、また社長に直接怖い言葉を言われてしまう。

「えっ」

「これからのお前の頑張り見せてもらうからな。クビにならないようにちゃんとしろよ逢沢」

「あっ、はい……。わかりました。頑張ります」

「じゃあそろそろ行くぞ、本村」

「はいはい」

 そして社長はそう言って、あたしを通り越してそのまま去っていった。。

 ふぅ~。とりあえずはなんとかなった……のか?

 えっ、ホント大丈夫だよね?

 明日いきなりクビとか言われないよね?

 てか、あたし言わなくてもいいことまで言っちゃってない?

 あたし社長とまともに話したのがあれって……。











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