───白き塔・屋上
アランさんが眠りについた。
深い。
とても深い眠りに。
彼の願いを託された。
アランさんは【呪いをかけた張本人も消滅する】と言っていた。その言葉通りに、
だが、
私から、今までに感じたことのない怒りが込み上げた。
すると、制御していた魔力がドッと溢れ出し、その魔力に反応した真っ白い魔法書が、ローブの懐から飛び出した。
アランさんをその場に寝かせ、
「フハハハハハハハハハハハハ!! いい気味だ。転生者よ!! 呪いを解いたのは
「
魔法書を開くと、
「
私は
それと同時に私の魔力も吸い取られていく感覚もした。
だけど、これだけでは
最初で、最後に見たあの魔術を。
「生命の光よ。悪き者を全て浄化する雨を降り注ぎたまえ!
同時に、セフラン王国に出現した魔物らも、塵となり消えていくのも見えた。
───そして、
この世界から
今、ここにいるのは眠っているアランさんと、雲一つない青空に戻った上空を見上げながら、泣き叫ぶ私と、そんな私をただ見守るシュネーしかいなかった。
*
「ルナちゃん!!」
暫くすると、マリアンヌとユノ先輩にレオン先輩が屋上にやってきた。
赤い液体が、手と白いローブの袖に染み、横たわっているアランさんを見たマリアンヌたちは、目を見開き、驚いた表情を見せた。
この光景だけだと、私がアランさんを殺めたという解釈になるだろう。
マリアンヌたちは軽蔑するだろうな~。
はぁ……。
今度こそ、私の人生終わったな。そう思っていると、ユノ先輩が私の元に駆け寄り、優しく包み込んでくれた。
「ユノ、せんぱい?」
「ルナちゃん。本当に、ごめんなさい。ルーカス様に従った私も、ルーカス様も悪いの。
「……」
「おい、ルナよ……。初代様が横たわっているが、どーした?」
レオン先輩は私に問いかけた。
私は今までのこと、【呪いの解除方法】について話した。
すると、マリアンヌとユノ先輩は悲しそうに俯き、レオン先輩は前髪を掻き上げた。
「ふぅ……。そうか。そんな方法があったなんてな。こればかりはしょうがねぇな」
「しょうがなくない!! どんな思いで、アランさんを!!」
「方法はこれしかねぇかったら、しょうがないだろうがよ!! 俺だって、ルーカスと一緒に居たら! あいつのこと理解していたら、こうなることはなかったんだ!!」
レオン先輩は、私に怒鳴った。
初めてのことばかりで、私は混乱した。
「誰もが、こんな事態になるなんて思ってなんかねぇよ……。なぁセド」
レオン先輩の後ろに、いつの間にかセドとレオナにフィリスさんがいた。
セドはこちらに歩み寄り、ユノ先輩は私から離れ、セドに私を預けた。
「ルナ。遅くなってごめんな。もう大丈夫だ。お前を1人なんかにしない。俺もマリアンヌもレオナも。だから、悲しいときは泣け」
「セド……。うわぁぁぁぁぁぁぁ!! もう誰も!! 失いたくないよ!! みんなと一緒に居たら! アランさんみたいになってしまう!! だけど! 私、みんなと一緒に学校に行って、部活もして! 笑い合っていたいよッ!!」
私はアランさんを失ったことで、失うことに対しての恐怖心が現れたことを、セドに泣きつきながら告白した。
すると、マリアンヌとレオナも抱きしめてくれた。
「ルナちゃん、私もルナちゃんと一緒に居たい!」
「アタシもよ。ルナちゃん、これからも一緒に居ましょ? アランさんも、ルナちゃんが楽しく過ごしているところ見たいと思うしね!」
「マリアンヌ…レオナ!! ありがとう!!」
「アランさんのおかげで、お前は【破滅の呪い】も付けられることなんてなかったわけだし、
私はアランさんの方に顔を向け、涙を手で拭い、感謝の気持ちを伝えた。
「アランさん、貴方と出会えて本当に良かった。あの騒がしかった日々、あの大切な思い出を忘れません。マリアンヌやレオナ、セドたちと幸せになります! だから、貴方の意思を継ぎます。それが私の……」
───