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55話 姉と妹

───白き塔・中心部 


 ルナさんを原初ノ神カオスのもとに向かわせた後、私、エレノアはマリアンヌさんとレオンと共に、妹であるユノの足止めをしている。


 ユノの背後には熾天使ラファエルがいて、ユノの食らったダメージを回復し、そのダメージを魔力変換し、再びユノは私たちに攻撃を仕掛けることの繰り返しだった。


 簡単に言うと、魔力切れを起こさないということ。


 でも、私だって妹を傷つけたくない。急所を外して攻撃はするけど、ユノは次々と攻撃を仕掛けてくる。


 どうすれば、ユノを傷つけずに攻撃を止めさせれるのか。


 すると、突然ユノの攻撃が治まり、下を俯きながら、ユノは私にこう問いかけてきた。


「姉様……。姉様はどうして私を」


「ユノ?」


「何故、私を見捨てたりしたの!? 何故、愛してくれなかったのよ!! 父様が亡くなった後、母様は姉様のことしか見なくなった! 私は、あの家から存在を消されたのと同じ!! ミステリウム魔法学園に入学したあの日、ルーカス様と出会った! あの方は、私を必要だとおっしゃってくれた! 例え、利用されていようとも、私に価値を与えてくださった!! ルーカス様のおかげで、私は今を生きているの!! だから、ルーカス様の邪魔をしないで!! 私の存在意義を否定しないでよッ!! 突風ガストオブウィンド!!」


霧の壁ミストウォール! ユノ違うの! お願い、聞いて!!」


 再び、ユノは攻撃をしてきた。


 防御魔法を展開するが、ユノは攻撃を止めない。


 一か八しかないと考えた私は、最終手段を使うことにした。


「マリアンヌさん! レオン! 今から何があっても、手出ししないでください! これは私たちの問題ですから」


「おい、まさかっ!! やめろ、エレノア!!」


 レオンは、今から私のすることを悟ったのか、私の名前を叫ぶ。


 マリアンヌさんは、そんなレオンの腕に抱き着き、彼を止めた。


 私はお2人に振り向き、感謝の言葉を送った。


「ありがとうございました。


 私はユノの前に立ち、刀を構えた。


 天之狭霧神アメノサギリ熾天使ラファエルに攻撃した瞬間、私とユノは魔法をぶつけ合った。


風ノ刃ウィンド・オブ・スラッシュ!!」


霧氷むひょう!!」


 風と霧がぶつかり合う中、私はユノに駆け寄り、刀でユノの杖を斬った。


 すると、私が来るのを待っていたかのように、ローブの懐からナイフを取り出し、私の腹部に刺し、腹部に激痛が走った。


「アハハハハハ!! 姉様の負けよ! 私、勝ったのね!!」


「ユノ……」


「これで、私のこと認めてくれた? ずっと、この日を待っていたの。姉様が私を見てくれて、認めてくれる。この日まで!!」


 ユノの目には、涙が今にでも溢れそうになっていた。


 私は、ユノの首に腕をまわし抱き寄せた。


「え……?」


 私の行動に戸惑うユノ。


 私はユノのことを妹として、想っていたことを明かした。


「ユノ。私は、ユノのこと見ていたわよ。ユノと離れ離れになったあの日以来、貴方の元に向かおうとしても、母様が必死になって止めてきたの。近づいたらいけないって。だから、私は遠くからだけど、ユノのこと見ていたわ。学園に入ってからもユノのこと見守っていた」


「ねえ、さま? ほんとうに?」


「本当よ。私の大切な妹ですからね。好きよ。ユノ」


 ユノは涙を溢し、その涙の雫は、私の頬にぽつりと落ちた。


 そんな愛おしいユノの頭を、ゆっくり優しく撫でた。


「ごめんなさい。ごめんなさい! 姉様! 私も、姉様のこと大好き! だから、置いて逝かないでよ!!」


「ふふっ……。ユノの傍にいつまでもいるわ。だから、ユノ。生きてね」


 私はユノにそう告げ、眠りについた。












───私の可愛いユノ。ずっと見守っているからね。

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