───白き塔・大広場
セドとレオナとフィリスさんが道を作ってくれたおかげで、屋上へと再び、階段を駆け登ることとなった。
屋上までの階段はとても長く、今までにない疲労感を感じていた時、初代
それは数秒間のとても短い休憩で、大広場の向こう側にある扉……。
そこに
再び足を動かそうとした瞬間、細い声が聞こえると同時に、風が鋭い刃の様に飛んできた。
「
「
防御魔法を唱え、何とかその場を
すると、風を纏い、私たちの前にユノ先輩が現れた。黒いローブを羽織り、風の杖を両手で握りしめていた。
「ユノ先輩!」
「ルナちゃん。久しぶりだね……首の痕、消えたかしら?」
ユノ先輩の話し方が今までとは違い、エレノア先輩に似た口調で、私の首に指を指した。
「お陰様で」
「ふふ。あのまま、死んでしまえばよかったのに。そうすれば、ルーカス様の
顔を顰めたユノ先輩。
すると風化した先輩が、私の背後を取った。
後ろを振り向こうとした瞬間、首を掴まれそうになった。傍にいたアランさんとレオン先輩が手を伸ばし、ユノ先輩を止めようとした。
狂気じみた笑みを浮かべるユノ先輩の手が、私の首に触れそうになった。
その時、私は桜の花びらに包まれた。
「なに?」
「ルナちゃんは私が守る!」
桜の花びらが消えると、目の前にマリアンヌが私を庇い立っていた。
ユノ先輩の逆鱗に触れたのか、自分の髪をグシャと力強く掴んだ。
「うるさいうるさいうるさいうるさい!! みんな死んでしまえ!! 我が願いを叶えて!
ユノ先輩の手には藍色の魔法書があり、魔法書が開いた瞬間、黒い羽根が所々燃え、黒いドレスを身に纏い、頭の上に白い天使の輪がある、堕天使の様な姿の女性が現れた。
「これは、
レオン先輩は杖を構えると、マリアンヌはアランさんの方へと私を押した。
「ルナちゃん! 先に行って!」
「マリアンヌ!」
2人は後ろを振り向き、アランさんに目線を向けると、私の手を引いて、先に進もうと走り出した。
だが、
マリアンヌたちはユノ先輩に気を取られ、私たちに防御魔法を展開するが、既に遅かった。
手を引いているアランさんは、私を庇った。
これはもうだめだと思っていた瞬間、白いローブを
「我が身を護り給え、
魔法書から薄紫色の綺麗な髪を靡かせ、上半身裸に霧で出来た羽織を肩に羽織り、足は人間ではなく、
「
アランさんは、
「エレノア先輩!!」
「ルナさん、ご無事でよかったです! ここは私たちが引き受けますから、ルナさんとアランさんは、そのまま前に突き進んでください!
「……はい!!」
エレノア先輩に背中を押され、未来を託された私とアランさんは共に、
───そして、それぞれの想いや願いを抱きながら、戦いの幕が開けたのであった。