───次の日
昨日アランさんのセレナに対する想いを知り、最終的にアランさんは、セレナを想い続けることとなった。
そして、ルーカス部長とユノ先輩と対立する時が訪れた。
私はアランさんとセド、アリエスさん、ルイさんの計5名で、セフラン王国の地下にある遺跡に来ていた。
この遺跡は
「討伐したのは確かだけど、セレナを失った後、荒れ果てたセフラン王国に戻ると、魔法書に戻った
「そうなんですね。でもルイさんとは長年一緒だって……」
「そうだよ? だってあの頃は、毎日のように僕のところに来てくれるんだもの。ね、ルイ?」
アランさんが嬉しそうに笑いながら、ルイさんに顔を向けると、口元を押さえながら目線を背け、恥ずかしそうに耳元を赤く染めたルイさんが見れた。
「うるさ……いです。別にアランを心配していたわけじゃないです。シュネーが……」
「私が何よ?」
いつの間にか私右肩の上に足を組んで座っているシュネーがいた。
シュネーがいることに気づいたルイさんは、目を見開き、眼鏡の位置をめちゃくちゃ直し、動揺しているのを隠していた。
「しゅ、シュネー!? いつの間にいたのですか!?」
「今来たところよ! ルナが心配で来ちゃったの! なんか文句ある?」
「あ、ありませんよ!!」
今までの緊張感がほぐれ、2人の初々しいやり取りを見ていた。
奥に進むほど視界が暗くなっていくと、アリエスさんの月の魔法で、辺りが見やすくなった。
「ここですね」
そしてついに、
「懐かしいなあ~。でも、神聖な遺跡のはずなんだけど、
アランさんの言葉に強く頷くと、アリエスさんが灯りを照らすと、目の前に、黒いローブを身に纏ったルーカス部長の姿があった。
「ルーカス部長!」
「良く来ましたね。ルナ・マーティン」
ルーカス部長の右手には、黒い魔法書があった。
アランさんは魔法書を見て、『まさか』と小さく呟いた。
ルーカス部長はアランさんの声が聞こえたのか、クククッと
「そのまさかですよ。
「やめろ!
「そうですよ部長!! それに父親のこと興味ないって…」
アランさんと私は、ルーカス部長を説得しようとするが、聞く耳を持たないどころか、杖を取り出し、
防御魔法で対抗するアランさん。
次第に遺跡から振動がなり始め、瓦礫が降ってきた。
すると、ルーカス部長は
「うるさい!! 興味ないわけないだろう!! あの男が全て悪い!! あの男のせいで、お母様は死んだんだ!! だから僕が全てをやり直す!! 誰にも邪魔はさせない!!」
「ルーカス部長!!」
私は召喚魔法書を開こうとするルーカス部長に手を伸ばすが、1ミリも届きはしなかった。
「――――すべてを支配する者よ。汝の身を我に捧げよ! 破壊、破滅、呪い。全て我に捧げ、新たな世界を創り上げよ!」
ルーカス部長は魔法書を開き、召喚魔法の必要な呪文を詠唱した。
すると、突然。ルーカス部長はその場に倒れた瞬間、遺跡の外で大きな物音と共に、大地震のような揺れを感じ取った。
立っていれなくなり、よろけてしまった私をセドが抱きとめてくれた。
大地震の様な振動は数秒間にわたって続いた。
次第に振動が治まると同時に、ルーカス部長はその場に倒れてしまい、すぐさま部長の元へ駆け寄った。
「部長!!」
脈を確認すると、息は微かにしているが、脈も弱い。
何度も声をかけ、肩を叩くが、返答も無し。
そんなルーカス部長を見たアランさんは、小さく舌打ちをした。
「だから言ったのに…。どうやら、魔力を全て吸い取られたみたいだね」
「そんなっ!」
「でも。微かにだけど、息はしているし、脈も動いているから、
アランさんは、アリエスさんに説明すると、アリエスさんはルイさんに顔を向けた。
すると、ルイさんはルーカス部長を抱き抱えた。
「彼は私が預かります。アラン、レナード君、アリエスさん。彼女を頼みます」
ルイさんはいち早くルーカス部長の命を確保するために、遺跡を出ていった。
「僕たちも行きましょう」
アリエスさんの言葉に頷き、私たちも急いで遺跡から出て、地上に向かった。
*
地上にたどり着いた私たちは、セフラン王国の状態を目の当たりにする。
セフラン王国に太陽の光がなく、風も吹いていない。
それに、青空だったはずの空が、真夜中の様に闇に覆われていた。
突然の出来事に国民は、何が起こったのか理解できず、子供の泣き叫ぶ声も聞こえ始めた。
「あれ……って
空の上に謎の大きな裂け目が出現し、その裂け目の中から、黒い翼に上半身裸の男が現れた。
アランさんはその男を見ると、杖を構えた。
「
すると、次の瞬間。
街の中に次々と魔物が出現し、国民を襲っていった。
国民は魔物に対抗するが、数の方は魔物が勝ち、怯える者や倒れていく者が多かった。
私たちも応戦していると、フィリスさんが駆け寄ってきた。
「ルナ君! アリエス!」
「フィリスさん!」
「フィリス。ここは僕が何とかするから、ルナさんを連れて
アリエスさんは私たちに背を向け、魔物から国民たちを護りに駆け出した。
「アリエスさん! 生きていてくださいね!!」
私はそう叫ぶと、手を挙げて答えてくれた。
───そして、フィリスさんと合流した私たちは、