───次の日。
私たちは、セフラン王国の外にある【始まりの洞窟】に来ていた。
ここはシュネーがいる洞窟で、私が転生した当時にいた場所でもある。
名前のない洞窟だったため、私が【始まりの洞窟】と名付けたのは、少し前の話。
今日、私と一緒に居るのは
そして、私の師匠・アランさんに、セドの4人だ。
洞窟の中は、シュネーの支配によるスキルで安全だが、森の中はとても危険な状態。
例え、スキルで強化されていようが、そのスキルを打ち破る魔物が現れるかもしれない。
そのため、私たちで魔物を一掃している状態だ。
マリアンヌとレオン先輩は、
レオナとネオ先輩は、
アノールとエレノア先輩は、
元々、アーサーさんはアリアさんと組むはずだったのだけど、アリアさんがアーサーさんと、フィリスさんの首根っこを掴んで、私に『お願いね?』と押し付けてきたのだ。
アリエスさん曰く、アーサーさんとフィリスさんは単独行動が好きで、自由奔放らしい。
そのため、
だからって、私に押し付けないでほしいというのが本音だ。
「いや~。結構減ったんじゃない?」
「……」
「何か喋ってよアーサー」
「……暑い」
アーサーさんが口を開けば、必ず『暑い』とだけ言う。
その証拠に額から汗が流れている。季節が夏というのもあるだろうけど、でも1番の原因は、目の前で魔物を燃やしているフィリスさ……って!
「いや! 何、アーサーさんの放った炎で、魔物を焼いてるんですか!?」
そう、アーサーさんが魔物に放った炎が木に燃え移り、そこで捕獲した魔物を丸焼きにしているフィリスさんの姿があったのだ。
そこ以外に木はないため、これ以上、燃え移らないからいいけどさ!!
「ん~? 美味しいよ?」
「食うなよ!!」
私は思わずツッコんでいると、アランさんがフィリスさんのところに行って、しゃがみ込み、ワイバーンをカットして、腹の部分を食べた。
私はてくてくとアランさんの元に歩き出し、彼の頭を叩いた。
「あんたも何食っとるねん!!」
「ルナ、これ美味しいよ!!」
「やかましいわ!!」
こいつら可笑しいわ……。
もう、初っ端から疲れた。
「ご苦労さん」
後ろから私の肩にポンと置き、セドに同情されてしまった。
「うわぁぁぁん!! もうヤダこいつら~!!」
「よしよし」
セドは泣きつく私の頭を撫でながら慰めてくれた。
すると、アランさんがワイバーンの肉を食いながら、じーっとこちらを見つめる気配を感じ取った。
「そこで、イチャつかないでくれますかねぇぇぇ? 僕、振られた身なんですけどぉ?」
「フッ。いい気味だ」
「このクソガキ」
2人は杖を構え、今にでもバトりそうだったため、杖で2人を殴った。
「やめんか、このアホンダラどもが!!」
「「はい……」」
一瞬だけ、2人の頭の上に垂れ下がる犬の耳が見えた。
どうやら反省しているみたいだ。
説教していると、フィリスさんが私にあることを問いかけてきた。
「そういえば、ルナ君って【転生者】なんだよね?」
「そうですが?」
「召喚魔法は使えるのかい?」
「それって、【転生者】以外でも使えます?」
私はフィリスさんに問いを問いで投げ返した。
「うん。でも、魔力と相性が悪い人は使えないけどね。
例えば、アリアとか、そこにいるアーサ―は使えない。魔力が薄いアリアは、攻撃魔法をあまり使えないけど、治癒魔法なら通常の魔法使いよりも回復量が高い。
アーサーは、魔力量が膨大なため、攻撃魔法は上級を使用。でも、その分、召喚魔法を組み合わせれば魔力暴走をしてしまうから、彼の場合、
「そうだったんだ…。え、じゃあ。私はどうなんですか? 魔力量が多い私は?」
「君は、アーサーよりも魔力量が少ないからまだいいよ。しかも、【転生者】の加護があるから、召喚魔法は使える。悪魔召喚は、代償が必要になるからおすすめはしない。たとえ加護があるとしてもね」
それを最初に説明してほしかった私は、アランさんをジト目で見つめると、両手を合わせながら、口パクで『ゴメンね』と謝ってきた。
「はぁ…。それで、フィリスさん。その召喚魔法のやり方って、どんな感じなんですか?」
私が召喚魔法について聞くと、フィリスさんは不思議そうに首を傾げた。
「そこにいる師匠から、なにも聞いていないのかい?」
「はい」
「そうか~。召喚魔法は勿論、魔力も消費するけど、この本が必要になるのさ」
フィリスさんは懐から、1冊の魔法書を取り出した。
色は黒。
これって、候補試験の時に見たのと同じだ!
「第1試験合格のカギとなった魔法書。これは召喚魔法に必要な魔法書で、詠唱を唱えれば、固有魔法に合わせた神や魔力に誘われた英雄が召喚される。僕の場合は固有魔法が影だから、黒の魔法書。固有魔法に合う色の魔法書があるはず。試験の時に一応回収したけど、君には、この魔法書が似合う」
そう言ってフィリスさんは、真っ白な魔法書を私に渡してきた。
それは、レオン先輩が言っていた【
「
「うん。君の魔力を感じ取った際に、光り輝いていたからね。それに、この魔法書を手に取ったとき、温かいと感じなかったかい?」
フィリスさんの言葉に思うところがあった私は頷いた。
「確かに、おひさまの温かさを感じ取りました!」
「それが
【
「セド君には、これをあげよう。試合を見ていた感じだと
又もや。懐から1冊の金色の魔法書を、セドに手渡した。
すると、セドは召喚魔法書を受け取ると、目を少し見開いた。
「不思議だな」
「でしょ?」
「あぁ」
セドは魔法書を受け取ると、私と同じような感覚を体験した。
「温かいということは、相性がいい証拠! 良かった~。君も時が来たら、使うといいよ」
「ありがとうございます」
セドはフィリスさんにお礼を言い、ローブの懐にしまった。
「さてと、魔物のお出ましらしいね。君たちの力、見せてもらおうとしようかね」
「「はい!」」
私とセドは背中を合わせ、互いに杖を構え、魔物襲来に立ち向かったのであった。
師匠のアランさんと