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46話 決勝【ルナ・マーティンVSセド・レナード】

───次の日


 ついに、第2試験に合格した私と、セドは第3試験の決勝戦を迎えた。


 試験会場に結界が張られ、私とセドは杖を構えた。


 互いが望み、互いの夢や願いを叶うために命を懸ける。


 だから、この試合に勝たなければならない。


 アランさんの呪いを解く方法を見つけ出して、自由に生きてもらう。勿論、自分も自由になるためにも。


「では、これより決勝戦を行います。では、始めッ!!」


 試合が始まると、会場から歓声が飛び交った。


 決勝は、実際に見れる仕組みになっているため、全生徒らがこの会場に集まっているのだ。


「セド、負けないよ!!」


「俺もだルナ。絶対に勝って、騎士ナイトに入って、弱者を救う世界を創り上げる!! 砂の槍サンディ・オブ・スピア!」


 砂の槍が、会場に降り注いだ。


氷の城アイスキャッスル!」


氷の城アイスキャッスルは拘束魔法だが、防御魔法として唱え、氷の城アイスキャッスルから出る冷気で、槍を凍らせてから吸いこませた。


「やるねセド!」


「フッ。初対面の頃よりかは、強くなったからな」


「そうみたいねっ! 霜の壁フロスト・ウォール!」


 霜で出来た壁で、セドを囲んだ。


 脱出しようと砂の槍で壊そうとするが、霜の水滴により、槍が溶けていった。


 追い打ちをかけるように私は、六花りっかを防御魔法である、霜の壁フロスト・ウォールの表面に張った。


霜の壁フロスト・ウォールの表面に張っただと!? この戦い方は…。しまった!!」


「そうよ! エレノア先輩とセドの試合を見て思いついたのよ! 全てを囲むのではなくて、相手だけを囲み、環境を変える!」


「ッチ! 星の砂サンディ・オブ・ザ・スター!」


 星の形をした砂が、霜の壁フロスト・ウォールを壊そうとするが、それもまた失敗に終わった。


 次にセドは、防御魔法である砂の壁サンドウォールを発動させたが、それもまた、霜と氷の水分により、溶けてしまう結果となってしまった。


 例え、砂の壁サンドウォール霜の壁フロスト・ウォールを上書きしようとも、絶対に溶けるか、凍るように魔力調整をしている。


 念に念を…ってね!


「これも無理か……。なら!! 砂波サンディウェーブ!」


 霜の壁フロスト・ウォールの中を砂の波が襲い、砂の量に抑えきれなくなった霜の壁フロスト・ウォールは、自然と破壊されてしまった。


 だけど、これでは終わらないのが私だ!


「壊してくれてありがとう! 絶対零度アブソリュードゼロ!!」


「なっ!?」


 霜の壁フロスト・ウォールを破壊されることは、元から分かっていた私は、夏休みにアランさんから雪化の方法を教わっていた。


 セドの背後に雪化して回り込み、杖だけ器用に凍らせることに成功した。


「くそっ……。俺の負けだ」


「強くなったねセド!」


 勝敗が決まった瞬間、会場からは黄色い歓声が飛び交い、ルイさんの合図により、結界が解かれた。


「それまで!! 勝者、ルナ・マーティン!!」


 歓声と拍手が大きくなる中、セドと握手を交わしていると、ブライアン校長と黒色のロングコートを身に纏った男性4人と女性2人が、こちらに向かって歩いてきた。


「ルナ・マーティン。おめでとう。ウィザード・セクト候補者に選ばれた君に紹介しよう。この子らが、ウィザード・セクトの守護者・騎士ナイトたちだ!」


 そう、ブライアン校長は騎士ナイトの皆さんをこの場で、私たちの試合を見ていたのだ。



──アリエス・ローラン【月の騎士ムーンナイト


「初めまして、僕はアリエス・ローラン。以後お見知りおきを」



──イヴァン・ゲイル【嵐の騎士ストームナイト


「俺様はイヴァン・ゲイル! よろしくな!!」



──ヨナ・ゾーラ【雨の騎士レインナイト


「イヴァン! 声が大きいです! あっ、私はヨナと申します!」



──アリア・グレイナ【歌の騎士メロディナイト


「初めましてですわね。わたくし、ルーカス・グレイナの姉である、アリアと申します。よろしくお願いいたします」



──アーサー・セイラ【炎の騎士フレイムナイト


「……」



──フィリス・ライアン【影の騎士シャドーナイト


「アーサー。何か、言ったらどうかな? ごめんね、僕はフィリス。無口なのがアーサー。よろしくねルナ君」



 個性豊かなメンバーやな~。


 俺様系もいるとは、やはり異世界は違うな! と思っていた私は、半分緊張しながら、6人に挨拶を交わした。


「は、初めまして! ルナ・マーティンと申します!」


 6人にお辞儀をすると、アリエスさんが首を左右に振った。


「顔を上げて? 君のことは、ブライアン校長から聞いているよ。そして、改めてまして。第2試験・第3試験突破おめでとう」


「あ、ありがとうございます!」


「明日、最終試験を受けてもらうよ。試験内容は明日のお楽しみ。無事合格すれば、君をウィザード・セクトに加入。そして、騎士ナイトとして迎え入れよう。では、また明日。この場所で」


 アリエスさんは目を細め、私に綺麗なお辞儀をし、騎士ナイトの方々は、この場を後にした。


 この場に残ったのは、セドとルイさんとブライアン校長に、試合を見守っていた生徒たちだけとなった。


「明日、楽しみにしている。頑張り給え!」


「ブライアン校長……はい!!」






───こうして、私はセドに勝利し、ウィザード・セクト及び、騎士ナイトの候補者として、正式に選ばれ、明日騎士ナイトたちとの最終試験に臨むのであった。



 一方、その頃。


 魔の手がすぐそこまで来ていた。


 そのことをルナたちは、知る余地も無かったのであった。










───待っていてくださいね

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