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41話 第4回戦【セド・レナードVSレオン・ケイン】

───1年控室


 トーナメント試合は、ついに第4回戦まで始まり、セドとレオン先輩は試験会場に姿を現わし、ルイさんの合図と共に、両者杖を構えた。


 私は控室のモニターで、マリアンヌとレオナと一緒に、彼らの試合を見守っていた。


 すると、レオナが私の右手を握りしめてきた。


「レオナ? どうしたの?」


「手…震えているわ。もしかして、セドちゃんが心配?」


 レオナに指摘された右手を見ると、かすかに震えていたことに気づいた。


「本当だ!? なんで? セドが心配なのは、当たっているけど……」


「うふふ。そうなのね! そのうち、分かるわよ~!」


 レオナは何故か、嬉しそうに笑った。


 疑問に思いつつ、再びモニターに目線を向けた。



『よぉ。セド』


『ケイン先輩……』


『良い目だ。だが、前回と同じ結果だぜ?』


『いいや。今度こそ、俺が勝つ! 砂波サンディウェーブ!』


 セドが杖を振ると、砂で出来た波が、レオン先輩に襲い掛かった。


雷切らいきり


 砂波サンディウェーブを雷で斬り、セドに向かって走り出した。


 地面にスライドし、レオン先輩を蹴ろうとしたが、左足首を掴まれ、セドを地面に叩き付けた。


『ッチ!!』


 舌打ちをしながら、受け身を取ったセド。


電撃イレクトゥリックショック!』


 レオン先輩は、セドに効くはずもない魔法を撃った。


 だが、セドの左足首が濡れていることに気づいた私は、椅子から立ち上がった。


「セドッ!!」


 これはやばい!


 スライドした一瞬で、前回と同様ガラス瓶を壊し、中の水をセドの足首を濡らしたんだ!


『貴様がやることなんぞお見通しだ! 砂の海サンディ・オブ・ラウト!!』


 レオン先輩を砂で拘束し、右手に持っていた杖を奪い取った。


 だが、真上から電撃がセドに命中した。


 私たちは、モニター越しにセドの無事を願った。


 すると、砂煙がだんだん消えていくと、そこには大きな砂の塊が出来ていた。


『ほぉ~』


『ったく。最初から、こうすれば良かったんだ。何故、あの時。これを試さなかったんだろうな。俺は』


 砂の塊が崩れ、中から無傷のセドが、ローブに付いていた砂を落としながら現れた。


 安心した私は、椅子にストンと腰を落とした。


「よかったぁ~」


「そうね!」


「セド君、頑張れ~!」


 セドが無事で、良かった。


 本当に……。


『魔道具とか使わねぇのか?』


『使わない。俺はあまり、セコイことをするのが嫌いだからな。正々堂々と戦うのが俺だ! 誰にも文句なんか言わせない。魔法なら魔法で勝負。拳なら拳で、立ち向かうまでだ!』


 セドは砂で拘束されているレオン先輩に真っ直ぐ、己の戦い方を語った。


 そして、ルイさんの合図で結界が下ろされ、セドに軍配が上がった。


『それまで! 勝者セド・レナード!』


『負けたわ~』


『フン。この戦いのヒントを得られたのは、ルナあいつのおかげだ』


『おうおう。本当に好きなんだなぁ~』


 レオン先輩は、にやけながらセドに杖を返してもらった。


『まぁ……』


『その様子だと、返事貰ってねぇな?』


『あぁ』


『へぇ~。まぁ、大丈夫じゃねぇか? なぁ、不思議ちゃん?』


 モニター越しに、ウインクしてくんな! 腹立つ先輩!


 私の隣にいる2人は、互いに手を合わせながら『きゃー』って、悲鳴上げてるし。


 何なら、恥ずかしいわ!!


『ッチ』


『束縛激しいと、嫌われるぜぇ?』


『うるさい』


『んじゃ、必ず決勝に上がれよ。俺に勝ったんだから。よゆーで、エレノアくらい勝てんだろ。いや、勝て』


 セドに背を向けたレオン先輩は、手を振って会場から去って行った。


『勿論だ』


 セドは、レオン先輩の言葉に答えるかのように、セドは呟いたのであった。

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