───第1回戦【ルナ・マーティンVSアノール・マーティン】
*
ついに、ウィザード・セクト候補試験【第2試験】が始まった。
2日間のトーナメント試合をしなくてはならなくなった私は、1回戦目にて、アノールとぶつかってしまった。
審判は勿論、ルイさん。
試験会場には結界が張られ、どちらかが戦闘不能…。
つまり、相手が魔法を使えなくなるまで、解けない状態になっている。
私たちはお互い杖を構え、ルイさんから試合開始の合図を待つ。
「これより、第1回戦を行います。よろしいですね?」
「「はい!!」」
同時に返事をすると、ルイさんは静かに頷いた。
「では、始めッ!」
ルイさんの合図で、私とアノールは同時に、魔法をぶつけ合った。
「
「
氷と毒の魔法がぶつかり合い、氷は毒によって溶け、水滴が地面に落ちて行った。
「容赦ないね。その魔法って、即死じゃなかったっけ?」
「大丈夫だ。効果は薄くしている」
「薄く出来るのね……」
「魔力のコントロールが、出来ればの話だがな。精々、身体が麻痺して動けなくなるだけだ」
アノールの固有魔法は
私の固有魔法とは、相性が最悪だ。
どんな魔法を使用しても、毒の熱で溶けるのだから。
それでも、攻略方法を見つけなければ……。
すると、アノールは杖を毒々しい大剣に変化させた。
「
「そういうことね」
私は
「
アノールの周りに魔法を撃つが、
「毒の熱が、氷を溶かす」
「知ってるわよ」
「じゃあ何故、攻撃をやめない?」
「そりゃあ、こういうことよ」
でも、疑問に思うのが少々遅かったみたいね。
アノールの
これを待っていた!!
「
足元の水溜まりが、一気に凍る。
ついでに、
アノールは舌打ちをし、顔を
「ッチ…」
「これでお終い!!」
私はアノールに向かって走り出し、凍っている
「チェックメイト」
「そこまで!! 勝者、ルナ・マーティン」
アノールに勝利した私は、氷を溶かし、
「ルナ。よく頑張ったな。お前の勝ちだ」
「アノール……」
「お2人とも、よく頑張りましたね。怪我もなく、良かったです」
ルイさんは私たちの元に駆け寄り、安堵の笑みを浮かべた。
「ルイ様」
すると、アノールはルイさんに申し訳なさそうな表情を見せたが、ルイさんは首を左右に振り、アノールの頭に右手を置くと、アノールは驚いた顔をした。
「アノール。流石、私の自慢の弟子です。これからも、励みなさい。楽しみにしていますよ」
「ッ…!? はい!」
アノールはルイさんに頭を下げ、結界が解けたのち、会場から一足離脱した。
「さて、ルナさん」
アノールを見送った後、ルイさんは私の名前を呼び、身体をこちらへ向けた。
「はい」
「1回戦、突破おめでとうございます。次まで、控室でゆっくりしていてください。勿論、控室では他の候補者の試合が見れますよ」
「分かりました。では、これで失礼します!」
ルイさんにお辞儀をし、マリアンヌたちがいる控室へ向かった。
*
───1年控室
「ルナちゃーん!!」
控室の前に着いた私は、部屋の中へ足を踏み入れようとした瞬間、マリアンヌが部屋から飛び出してきて、受け止めるように抱きしめた。
「おっと…。マリアンヌ危ないわよ?」
「アノール先輩に、勝ったわね~!」
「レオナにセド!」
マリアンヌ後ろに、レオナとセドが立っていた。
私は扉を閉め、控室の中へ入った。
「心臓止まるかと思ったよ~」
「マーちゃんったら。アタシの腕、離さなかったんだからね」
「ご、ごめん?」
「ルナが謝る必要ないだろ……」
セドの言う通りな気がする?
「改めて、1回戦突破、おめでとうルナちゃん!」
「ありがとう! マリアンヌ!」
「次の試合は……」
セドは、モニター画面を見つめた。
「ネオ先輩とルーカス部長だね!」
モニターに映っている、トーナメント表に目を向けると、私の線が赤くなっていた。
「勝ったからだな」
「ネオ先輩か、ルーカス先輩のどちらかが勝てば、ルナちゃんと戦うことになるねぇ~」
「せめて、ネオ先輩がいい」
私は即答でネオ先輩の方がいいと答えた。
「無理じゃねぇか?」
腹の立つ声が聞こえ、後ろを振り向くと、扉に寄りかかって、両腕を前に組んで立っている、レオン先輩の姿があった。
「レオン先輩!?」
「よぉ~」
「ケイン先輩、どういうことかしら?」
「そうだよぉ~」
レオナとマリアンヌがレオン先輩に詰め寄ると、真剣な顔でルーカス部長の実力を教えてくれた。
「あいつの固有魔法は、特殊だからな」
「特殊?」
「あぁ。属性が関係ないんだよ」
それはそれで、こっちが不利になることも無いってことにもなるわね。
「言っておくが、ルーカス自身が不利になることなんてありえねぇよ。
レオン先輩は私にそう言って、控室から出て行ってしまった。
その一言だけで意味が分かり、第2回戦が始まるモニターに目線を向けたのであった。