───5ヶ月後
ミステリウム魔法学園に編入して、5ヶ月の月日が流れた。
ウィザード・セクト候補試験まで残り2ヶ月をきり、夏休み期間に突入した。
この世界にも、夏休みが存在することに驚きながらも、ウィザード・セクト候補試験に向けて皆、魔法の特訓やそれぞれの課題を、こなしながら過ごしていた。
そんなある日。アランさんから一通の手紙が届いた。
私とマリアンヌは、セドとレオナの部屋にお邪魔し、皆でアランさんによる、私に対する変態を通り越した、長い長い手紙を読み、私とセドは呆れ返っていた。
「夏休みなら帰ってきて。それだけの話よ」
「まぁ、それは分かるが……」
「眠くなってくるねぇ~」
「愛のある手紙! 羨ましいわぁ~!!」
『愛しき弟子』『愛らしい』『目に入れても痛くない』『ツンとしているところも可愛い』などなどの、ウザすぎる内容の手紙を読み終えた私は、平然に本来の内容を解読し、3人に伝えた。
セドはドン引きし、マリアンヌは
おそらく、この中でセドの反応が、1番正しいのだろう。
私はもう慣れたことだから、まっっったく気にも留めていない。
「それで、どうするんだ? 一旦帰るのか?」
「一応そのつもりだけど。セドたちも来る? 見ての通り、アランさんやかましいけど、アノールもルイさんもいるから安全……は保障するよ?」
「何故、疑問形なんだよ…」
セドは頭を抱え込みながら、行くか悩んでいると、マリアンヌとレオナが『行きたーい!!』と言い出した。
「いいよ! 念のためだけど、アランさんへんた…変人だけど、ルイさんやアノールがいるから、まぁ大丈夫だと思うよ!!」
「今、変態って言いかけただろう…。仕方がない。それなら、俺も行く。マーティン教授に、色々教わるいい機会だ」
「それもそうね! さて、早速外泊届け出してこよー!!」
*
───次の日。
私たちは、外泊届を出した次の日、ルイさんの家へ足を運ぶことにした。
『いつもと違う服装にしよ~』とマリアンヌに提案された今朝、彼女の髪型を弄った。
3つ編みのハーフアップに結び、桃色のフリルワンピースを身に纏って、とても可愛い。
私の私服は、学園に入る前の白色のフリル付きのブラウスに、水色のミニスカートで、いつもポニテにしているけど、今日はマリアンヌに、お揃いにしたいと言われたため、マリアンヌと同じ髪型にさせられてしまった。
女子2人で先に街の中を見て回り、お土産を探して時間を潰していると、レオナらしきな声聞こえ、声がする方に顔を向けると、半袖黒パーカーの中に白いワイシャツを着ているセドと、桃色Tシャツに、ベージュの半袖無地ジャケットを身に纏った、レオナが手を振っていた。
周りにいた女性や男性たちが、一斉にこちらを見つめて、何やらコソコソと話し始めたり、黄色い歓声(悲鳴)を上げたりと、不思議な現象が起こった。
「なになになに!? 怖いんだけど!?」
「放っておけ。それで、何を見ていたんだ?」
「ルイさんに初めて出会った時、チョコサンドを貰って食べたのを思い出して……」
目の前に並べてあるチョコサンドに、目線を向けた。
すると、セドはレオナを呼んで、何故か店の外に追い出された私とマリアンヌ。
暫くすると、レオナとセドは両手くらいの大きさがある紙袋を、右手に持って店の中から出てきた。
「それって!?」
「俺とレオナの奢りだ。別に、今日くらい良いだろ……」
セドは、耳をほんのり赤く染めながら、そっぽ向いて言った。
レオナは『んふふふふ』とにやけながら、セドと私を交互に見てくるし、マリアンヌはへにゃって笑ってる。
今日も天使が可愛いと思っていると、後ろから『おぉー。いたいた』とアノールの声が聞こえた。
振り向くと、白いワイシャツと黒ズボンのシンプルな姿のアノールがいた。
「アノール!!」
「先輩な? まぁ、夏休みだからいいか。それよりも、アラン様が干からびて待っているぞ」
「干からびているって…。あの人、魚かなんかなの? まぁ、何時ものアランさんの様子ね」
「それを聞いても、平然としてるな…。ある意味、勇者だぞ。貴様」
アランさんに対する反応を見ていたセドは、又もやドン引きしていた。
「そう?」
「こいつとアラン様の対話は、大抵成立しないことが、日常茶飯事だったからな。さて、ルイ様もお待ちだ。ついてこい」
アノールはそう言って、私たちの前を歩き始め、その後ろをついていった。
*
───ルイの家
ルイさんの家という名の屋敷につき、玄関を
そして、ドタバタと階段を駆け下り、私に抱き着いてきた変態がいた。
「ルナァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「うるさい! 変態!」
「久しぶりのデレ隠しキタァー!! 可愛いなぁ~。やっぱり、ルナがいないと僕死にそう」
「ご勝手に?」
いつものやり取りをしていると、セドは『やべぇ奴だ』と呟き、アランさんのことを危険人物だと、認識したらしい。
セドと正反対で、レオナは目を丸くして、アランさんを見つめた数秒後、『きゃ〜!!』といきなり叫んだ。
「んだよ」
「セドちゃん、越されるわよ!! ルナちゃん取られるわ!!」
レオナは、セドの背中をバシバシと音がなるくらい叩き、『うるせぇ』と叱った。
「取られるって?」
レオナの言葉に、首を傾げた私にアノールとマリアンヌが、『鈍感力高め女子』と呟き、私の背中を押しながら、リビングに向かった。
*
リビングに着くと、ソファーの上で優雅にくつろいでいる、ルイさんの姿があった。
久しぶりの和服姿のルイさんを見ていると、こちらをちらっと見て『おかえりなさい』と言ってくれた。
「ただいまです!」
「お邪魔してま~す」
「アイリーンさん。アルフレート君たちも、御一緒ですか?」
「はい!」
元気よく返事をすると『そうでしたか』と微笑み、ソファーに座るよう促された。
さっき買ってもらったチョコサンドをアノールに渡して、勿論、紅茶を淹れて貰って、暫くルイさんと雑談していると、セドとアランさんがにらみ合いながら、リビングにやってきた。
ルイさんは、アランさんに対し、ため息をついた。
「はぁ…。アラン。いい加減に、やめなさい。私の教え子たちですよ?」
「このガキは、許せん」
「俺もこいつだけは……」
何故か、対立しているアランさんとセド。
頭に来た私は、2人に目掛けて『
「いだだだだだだだだぁ!!」
「いい加減にしないと、もっと痛い目に遭いますよ? セドも同じ!!」
「すまねぇ。もう喧嘩しない」
「ぼ、僕もごめんルナ!」
セドは頭を下げ、アランさんは私に土下座をかましてきた。
再びため息をつく、私とルイさん。
その光景を見ていたアノールは、『セドの方がまだ、マシだな』と言うと、今度はアノールを睨みつけたアランさん。またまた私に、説教を食らうこととなってしまうのであった。
続く