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しかし、活動内容は息抜きとして自由に過ごすという、聞いたことも無い内容であった。
部長であるルーカス・グレイナ部長か、顧問であるブライアン校長のどちらかが、部活に出席している時は、部員同士で手合わせも可能ということで。
早速、レオン・ケイン先輩が、私に手合わせの相手として指名されたが、あまり勝負事をしたくない私は、その誘いを断った。
その後、何故かクラスメイトのセド・レナードが、私の代わりに手合わせをすると、自然とレオン先輩とセドの手合わせという名の
今のところ、雷が効かないセドが、有利な状況。
だが、彼らの固有魔法に対する相性を気にし始めた私は、左横にいたアノールに、相性について聞くことにした。
「ねぇ、アノール」
「先輩な? んで、なんだ?」
「固有魔法にも、相性があるんだよね? 水だったら草に弱いとか。その代わり、炎に強いとかさ」
「あぁ。見ての通り、セドの固有魔法は砂。レオンは雷。優位としては、セドの方が上だろう。なにせよ、砂は雷及び、電気を通さないからな。だが、1つ工夫すれば、
アノールは彼らに指を指し、再び私は、セドとレオン先輩に目線を向けた。
すると、レオン先輩はローブの内ポケットから、水が入った手のひらサイズのガラス小瓶を取り出し、それをセドに投げつけた。
避けようとしたがもう遅く、砂化となって、レオン先輩を追い詰めていた、セドの右肩にガラス瓶が当たり、ガラス瓶が割れ、ローブは濡れてしまった。
そして私は、アノールの言葉を思い出し、セドの名前を呼んだ。
「セドッ!!」
次の瞬間、レオン先輩はにんまりと笑みを浮かべた。
「
魔法陣がセドの真上に現れ、電撃がセドに貫通した。
膝をついたセド。その姿を確認したルーカス部長は、指を鳴らすと、結界が解けていき、私はセドに駆け寄った。
「セド!!」
「ッツ……痛ぇ」
「痛ぇって。そのほかに症状はないの!?」
「右手が痺れるだけだ。おかげで立てない」
セドに肩を貸し、ゆっくりと立ち上がった。
そんなセドを見かねたレオン先輩は、セドに向かって杖を振ると、ローブに染みた水が、一瞬にて消えていった。
「治癒魔法と制服。乾かしておいたぜ。一応、手加減したつもりだが、大丈夫だったか?」
レオン先輩は申し訳なさそうに言うと、『平気だ』とセドは答え、私から離れた。
「そうかよ。だが1つ先輩としてのアドバイスだ。弱点が少なくとも、油断は禁物だ。俺みたいに、弱点をカバーする奴や、弱点を固有魔法で突いてくる奴は、たっぷり存在してやがる。
だから、お前も魔法やら物で、カバーしてみるのもありだぜ?」
セドはレオン先輩からアドバイスを貰うが、なんだか難しそうな表情を見せた。
「物か…。それも、ありなのか?」
セドはアノールの顔を見て、首を傾げた。
そして、続けてアノールは、私の顔を見ながら首を傾げた。
そんな2人を見ていたネオ先輩が、笑いをこらえていた。
「私を見ないでよ…。レオン先輩が言っている通り、魔法でもいいと思うけどね」
「そうか。考えておこう。しかし、課題が増えたな」
「良いことですよ。課題をこなしていけば、いつかセドの夢にも辿り着くと思いますよ」
ルーカス部長は、セドの右肩に手を置いた。
セドは自信を持ったのか、少し表情が緩んだ気がする。
「というか、レオン先輩って意外と
「お前、俺のことどう見えてたんだよ…。まぁ、いいや! 不思議ちゃんは、変な事情をお持ちらしいからな~。あとで、魔法見せてみろ。案外、課題が多いかもな!」
レオン先輩は、ワインレッド色の瞳で私を見つめた。
『変な事情』というのは恐らく、私の正体に気づいている。ということなのだろうか。
いつバレたのかと、頭の中がぐるぐると回り、めまいを感じながらも、レオン先輩に対抗するようにワインレッド色の瞳を捕らえ、見つめ返していると、ユノ先輩が声を上げた。
「あ、あの! もうそろそろ、部活の終了時間になりますけども……」
「そうですね。それでは、本日の部活動を終了とします。来月またこの場所で、お会いましょう」
ルーカス部長の言葉を終了の合図とし、部活動は無事に終わりを告げた。
*
「それで、セドとルナは部活に入るのか?」
ユノ先輩とネオ先輩がいなくなった後、アノールは私たちに問いかけてきた。
「私は、校長に入部届け出されているから、半強制だよ。だから部活に入る。セドはどうするの?」
「俺もこの部活に入る。だが、候補者として認められないと、部活には入れないんだよな?」
推薦を貰っていないセドは、悔しそうに唇を噛んだ。
すると、レオン先輩がある発言をした。
「候補者だろ? 俺が推薦してやる。それでいいだろ。ルーカス部長よぉ?」
レオン先輩はルーカス部長にそう言うと、部長は深いため息をついた。
「ふぅ……仕方ありませんね。今日からルナ・マーティンとセド・レナードは、この
部活に参加できない時は、ネオや僕。無理であれば、レオンやユノに伝えてください」
「ありがとうございます!」
私とセドは、
これから待ち受ける、ウィザード・セクト候補試験に臨むため、あらゆる課題をこなしていくことになるのであった。
───そして、数日後。私はレオン先輩に呼び出されることを、まだ知らずにいたのであった。