───前回のあらすじ
ウィザード・セクトの候補者が集う
だが、部室は編入試験の際に使用した森の奥底にある教会が、部室だったということを知り、中へ入るとルーン寮のレオン・ケインに、何故か気に入られたりと色々あったが、何とか部長のルーカス・グレイナから、活動内容や部員の紹介をされることとなったのであった。
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───
私は、今
「まず、僕とレオンの紹介は終えていますので、次はユノ。お願いします」
ユノと呼ばれた、紫色のボブヘアが特徴的で、小柄な女子生徒が椅子から立ち上がり、ぽつぽつと小さな声で、自分の名を名乗り始めた。
「は、初めまして。私はユノ。ユノ・カトレア、です。ネオと同じ学年。り、リオール寮2年生」
「もしかして、エレノア先輩の
聞いちゃダメだったのかもしれないと悟った私は、すぐさま頭を下げて謝った。
「申し訳ございませんでした!!」
「い、いえ。大丈夫……」
「ユノはエレノアの妹。あまり、エレノアの話を彼女の前で話すの……。分かってくださいますか?」
ルーカス部長に、意味深なことを言われた私は、大人しく頷いた。
「ご理解ありがとうございます。ユノ、固有魔法を教えてあげなさい」
「こ、固有魔法は
ユノ先輩は俯きながら、自分の固有魔法を話し終えると、静かに椅子に座った。
「ユノ、紹介ありがとうございます。それでは、お2人もお願いしますね」
ルーカス部長は、私たちの方に顔を向けた後、ティーカップに口をつけた。
私とセドは互いに顔を見合わせ、椅子から立ち上がった。
「セド・レナードだ。固有魔法は
「もう少し、なんか言ったらどうなのよ……。初めまして、私はルナ・マーティンと申します。固有魔法は
「さて、
校長……。
そこまで考えていたんだ。
「部活の時に、こうして顔を見合わせ、何度も会話をしたりして、互いを知っておけば、試験の時に何かしら攻略ヒントになると僕は思っている。だから、部活の時には手合わせをしてもいいルールにしたんだ。校長はもちろん許可を出してくれた。手合わせの時は、僕や校長が出席している時だけですけどね」
「そうなんですね。それで、今日は?」
「自由にして構わないですよ。僕がいるので、手合わせをしてもいいですし」
ルーカス部長はそう言うと再び、ティーカップに口をつけた。
部長の前の席にいるレオン先輩は、真っ先に私の顔を見てきた。
「手合わせしようぜ! ルナ・マーティン!!」
「えぇー。今日は、ゆっくりしたいです!」
レオン先輩の誘いを断ると、両腕を頭の後ろに組んで『つまんねぇ~』と呟いた。
すると、私の右横にいたセドが、椅子から立ち上がり、砂で出来た杖を構えた。
「ケイン先輩。俺と手合わせしないか?」
セドに誘われたレオン先輩は最初、目を見開いて驚いていたが、雷で出来た杖を取り出し、ニヤッと口元を緩めた。
「いいぜ! そんなら、始めようぜ!!」
レオン先輩がそう言うと、椅子とテーブルが消えた。
「こちらには魔法が飛んでこないように、結界が張られていますから、安心してください。手合わせの際は、教会ごと戦えるようになっているんですよ。ちなみに、結界を張れるのは、
「だから、部長かブライアン校長がいない時は、手合わせできないという理由なんですね!」
「えぇ」
もしかしたら、意外と物騒なのかもしれないな、この部活。と、そんなことを思いながら、セドとレオン先輩の手合わせという名のバトルが、始まったのであった。