───次の日・放課後
私、ルナはウィザード・セクトの候補者が集まる、
すると、セドは鋭い目つきで『よぉ』と返事を返した。
「相変わらず、目つきが悪い」
「ありがとよ」
「褒めてないよ? それよりも、珍しく1人だね」
毎日のように、レオナと歩いているのに。
いや、レオナが勝手にくっついているだけか?
「あぁ。レオナは今日、マリアンヌとお菓子作りすると言っていたからな。俺は俺で、用があるからレオナを置いてきたところだ」
「用?」
首を傾げると、セドは『部活を見にな』と答えてえくれた。
私も、部活を見に行くところだと伝えると、『そうか、なんなら一緒に行くか』と誘われてしまった。
「いいけど、セドはどの部活を見に行く予定だったの?」
「
私は耳を疑った。セドも同じ部活を見に行くのかと。
もう1度セドに問い詰めると、私の背後からぺしっと厚みのある物で叩かれた。
頭を擦りながら後ろを振り向くと、アノールとオレンジ色のニュアンスパーマ(くせ毛)が、特徴的な男子生徒がいた。
黒いローブに、白いワイシャツにズボン……。ということはアデル寮の生徒?
「あ、アノール」
「
「アノー」
「
「ア」
「
こいつ、先輩をつけろという謎の圧力をかけてきやがる。
私の方が先輩なのに年上なのに!!(←中身30歳)
「はぁ…アノール
私は深いため息をつきながら、先輩付けをして、名前を呼んだ。
すると、張り詰めていた雰囲気が一瞬にて、ふんわりと和らいだ。
しかも、アノールの周りに花が咲いているようにも見える。
「そんなに、嬉しいのか?」
「当たり前だろう」
平然と言うアノールに、私はセドに助けを求めるかのように目線だけ向けると、その目線さえも背けられた。
すると、アノールの隣にいた男子生徒が、私に興味津々そうな感じで会話の中に割り込んできた。
「アノールさん! この子が、あのルナ・マーティンですか?」
「あぁ、紹介する。こいつは、ネオ・フィーネだ」
「初めましてだね? 俺はネオ! アノール先輩の後輩だよ!」
ネオと名乗ったオレンジの男子生徒は、私の目線を合わせるように腰を曲げ、ニコッと純粋な笑顔を向けた。
すると、セドは何故か、私の左肩をグイッと引っ張り、背中に隠した。鋭い目つきで、ネオ先輩に自分の名前を名乗った。
「俺はセド・レナードだ。フィーネ先輩とマーティン先輩は、何の御用だ」
「セド? 敬語になってないよ? あと、警戒心強すぎない? アノール…先輩は私の親戚だし、そんなに警戒しなくたって」
セドを落ち着かせようとした瞬間、セドに両肩をグッと鷲掴まれ、顔を近づけてきた。
「近かっ!?」
「親戚だろうが、先輩だろうが関係ない。貴様は、女性なのだと少しは気づけ。馬鹿が」
「馬鹿っていうな!!」
セドにキレると、そこから私とセドの口喧嘩が始まろうとした。
すると、ネオ先輩が私たちの間に入り、両手を腰に当てて『喧嘩はメッだぞ!』と言って、喧嘩を未遂で止めた。
「ッチ」
「ご、ごめんなさい」
「謝れて偉いね。ルナちゃんは」
ネオ先輩はそう言うと、私の頭を撫でようと手を伸ばしたが、先輩はアノールに丸めたノートで、頭を叩かれた。
「イテッ」
「
いや、妹じゃないし……。ツッコむのめんどくさいから、放っておこ。
「了解です先輩!! それで、ルナちゃんとセド君は、どこに行くつもりだったのかな?」
「
「俺たちの部活を見学かい!?」
ネオ先輩は嬉しそうに目を輝かせた。
もしかして、ネオ先輩は
「先輩もなのか?」
セドはネオ先輩に問うと、上下に首を動かし頷いた。
「俺も、ウィザード・セクトの候補者なんだ! そういえば、ルナちゃんの資料見させてもらったけど、氷使いなんだね! セド君は砂使い。面白い組み合わせだね!」
「ほぉ? 先輩たちの固有魔法はなんだ」
「俺は、その部活には入っていないが、答えよう。俺の固有魔法は【
そういえば、そうだったな~。
敵に回すと、結構厄介かも。
「ネオ先輩は?」
先輩に問いかけると、私の顔を見て答えた。
「俺はね~【
ネオ先輩の言葉に、耳を疑った私とセドは、互いに顔を見合わせてしまった。
「だってよ」
「しかも、副部長かよ」
「何か言ったかな?」
黒いオーラが見えるのを遮断し、私はアノールの元に駆け寄り、スッと後ろに隠れた。
セドは冷や汗をかきながら、目線を逸らした。
「なんでもねぇです」
「そうかいそうかい! 部活に顔を出すんだったら、俺も付いていこう! 丁度行くつもりだったし」
「あ、あの。ネオ先輩」
アノールの後ろから顔を出し、ネオ先輩に声をかけた。
すると、先ほどの黒いオーラは消え、微笑まれた。
「何かな?」
「アノール…先輩も、連れて行っても?」
私はアノールをちらっと見ると、眼鏡レンズの奥にある瞳と交わった。
暫く互いに見つめ合うと、アノールは上を向き、眼鏡の位置を直しながら、深いため息をついた。
「はぁぁぁぁぁぁ……。部活は入っているからな。まぁ、お前の初めてのお願い事だ。いいだろう。なぁネオ?」
「先輩のためならば!!」
「やった!!」
ネオ先輩から了承を貰い、アノールも連れて行けるようになった。
「いい加減、行くぞ」
セドは謎の苛立ちのある背中を私たちに向け、部室へと向かって歩き出してしまった。
私たちも、セドを追いかけるように、歩き始めたのであった。