───校長室
第3試験を合格した私とレオナ・アルフレート。
そして、セド・レナードはミステリウム魔法学園の校長である、ブライアン・コルト校長の転移魔法で、校長室に連れてかれた。
ある意味、最終試験とも言える寮決めをするために、1人1人校長による質問を答えることとなった。
「これから3つの質問に答えてもらう」
「はい」
「ではまず、1つ目の質問。貴方たちの固有魔法を教えてください」
「俺の固有魔法は『
「アタシは『
セドとレオナは、自分の固有魔法を校長に答えた。
「ルナ・マーティン」
「は、はい! 私の固有魔法は『
名前を呼ばれ、私は固有魔法を答えた。
すると、ブライアン校長は、小さく頷いた。
「では次の質問。貴方たちの夢を教えてください」
「俺の夢は…弱者を救うこと。それが、俺の夢です」
「アタシの夢は、皆好きなことを、言葉に出せる世間へと変えることよ!」
セドとレオナは、何の迷いもなく、自分の夢を答えた。
2人とは違って私は、少し迷っていた。
アランさんの『呪い』を解く。
それが夢。
だけど、それは
正直、私の夢はない。自由に暮らせるだけでいい。
そのために、アランさんの『呪い』を解いて、その後は自由に暮らす。
アランさんにも、自由になって欲しいし。
それが、私の
自分に夢を見つけるまでは、この
少し、自分の中で整理したのち、ブライアン校長にポツリポツリと、静かに答えた。
「夢は…ある人の呪いを解いた後、自由になることです。その人は私の師で、とある呪いにかかっているんです。その呪いを私が解いた暁には、私も師も自由に過ごせることが、私の唯一の夢です」
校長の目を真っ直ぐ見つめ、自分の夢を語った。
すると、校長は何かを考えるように両腕を前に組んだ。
「そうですか。では、最後の質問。何故、この学園に来たのかを教えてください」
もちろんそりゃ!
「「「
私たちの考え方が同じだったらしく、一斉に答えると校長は眼鏡の位置を直し、私たちにこう告げた。
「合格です。貴方たちは、今日からファリス寮の寮生となり、この学園の生徒として認めます。改めましておめでとう。セド・レナードにレオナ・アルフレート。そして、ルナ・マーティン」
私たち3人は、ファリス寮の寮生として認められた。
歓喜極まって、セドとレオナとハイタッチをしていると、校長の横に魔法陣が浮かび、そこからルイさんが私たちの前に現れた。
「ルナさん達、改めましておめでとうございます。そして、ようこそミステリウム魔法学園へ」
「ありがとうございます!!」
「今日から寮生活になりますので、一旦解散しましょうか。5時間後、ファリス寮に来てください。監督生を呼んでおきますので」
こうして私たちは試験に合格したため、一旦家に帰ることとなった。
ルイさんはまだ試験官として残るため、私だけがルイさんの家へと向かうこととなった。
*
───ルイの家
ルイさんの家に帰り、玄関の扉を開けようとドアノブを引くと、次の瞬間。アランさんが、玄関から飛び出して、抱き着いてきた。
「ルナァァァァァ!!」
「やかましいわ! この変態魔術師!」
アランさんの
「やりすぎたか?」
「全く大丈夫さ! これも、ルナからの愛情表現だと思ってるから!」
アランさんはすぐに立ち直り、右の親指を立てた。
こわっ。
ストーカーになりそうな気がする…。
てか、もう手遅れか。
「とりあえず中に入りますから、どいてくれませんかね?」
「えぇー」
まぁいいや。
立ち直って私の腰をホールドしてきた
家の中に入った後、変態を何とか振りほどき、自分の部屋に戻ろうとしたが、何故かおまけでアランさんも付いてきた。
「女子の部屋ですよ? 用事がない限り、入らないでくださいよ変態!」
「変態だなんて…褒めてくれるんだね! ありがとう! 結婚する?」
「いやしねぇよ! 褒めてもないし!」
アランさんは人には見せてはいけない表情を見せた。
犯罪臭するんだけど!?
ルイさんもアノールも不在だし、怖いよー!
目の前にいる犯罪者になろうとしている師の背中を押し、部屋の外に押し出した。
「いいから出て行って!! じゃないと、もう2度とお話ししませんからっ!」
私はアランさんに釘をさすと、ショボショボとした雰囲気を
*
1時間後。身支度を終えた私は、アランさんがいるであろうリビングに向かった。
すると、コーヒーのいい匂いが漂ってきた。
「昼食にしよう。夕飯はあっちで出ると思うから、最後の昼食を取り給え」
「最後の晩餐みたいに言うのやめません? どうせ、長期休みには帰ってこれるんですから」
私がそう言うと、アランさんは笑った。
「ふふっ。そうだね」
「いただきます」
アランさんの前の椅子に腰を下ろし、目の前に出されたホットサンドと野菜サラダを食べ始めた。
ホットサンドの中身はチーズとハムが入っていて、身体にしみわたって美味しい。
生前は、ホットサンドなんて食べなかったからな~。
しいと言えば、サンドイッチしか食べない主義だったし。
手軽だし、片手で食べられるからパソコン打ちながら、よく食べてたのを思い出す。
「アランさんって、料理できるんですね」
「できるとも! 料理好きだからね、おやつにあとで、クッキーを作ってあげよう」
「楽しみです!」
すると、アランさんはじーっとこちらを見てきた。
「ねぇ、ルナ。僕、心配なことあるんだけど」
「何ですか?」
コーヒーを
大事なことかな? と思っていると、予想を超えたことを口にしてきた。
「変な男についていってしまうかって…。できれば、僕だけにしといて」
「へっ!?」
アランさんはそっぽを向いた。
そっぽを向いたときに、見えた耳は薄ら赤くなっていた。
「へ、変なこと言わないでくださいよ! 別に私なんか、相手してくれる人なんていませんし!」
「いるさ! ルナは可愛いし! でも、変な虫がつかないようにはしているから、安心ではあるけど」
何それ!? 虫よけしとるの!?
「ルナは、誰にも渡さないから。弟子でもあるけど、その……」
「その?」
「あぁぁぁもう! 気にしなくていいから! 早く食べて!」
アランさんは顔を赤くしながら、コーヒーカップを持って、そそくさと洗い場に行ってしまった。
一体、何だったのだろうか?
アランさんの言葉に疑問を持ちながらも、昼食を食べ終えた。
───そして、時間になるまで身体を少しでも休めるために、昼寝をすることにしたのであった。