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17話 編入試験へ

───1ヶ月後


 1ヶ月の月日が流れ、私はルイさんからミステリウム魔法学園の制服を貰い受け、制服に身を包んだ。


 水色のワイシャツに、フードが身についている藍色のローブ。


 ローブを止めるために、胸元に赤色のリボンを結び、髪はいつものようにポニーテール。


 下は黒色のミニスカ。


 黒色のタイツも履いているから、大丈夫だと思う。


 何がとは言わないけど。


 身支度を終えた私は、部屋から出てリビングに繋がる階段を駆け下り、私の師匠であるアランさんと、家主で学園の教師であるルイさん。


 そして、ルイさんの弟子兼執事兼私の先輩であるアノールに会いに向かった。


 ちなみに、シュネーは洞窟へ帰って行った。


 でも、契約をしているため、いつでも呼び出せる。


 授業などで仮に、使い魔が必要な場合は、シュネーを呼び出せることになっている。


「おはようございます!!」


 リビングに着いた私は、3人に挨拶をした。


「おはようございます。ルナさん」


「おはよ」


「おは…グハッ!!」


 ルイさんとアノールはいつも通りだけど、アランさんだけが吐血し、そのまま床にのめり込んでいった。


 正直、キモイ。


 なんせこの人は、重度の変態魔術師なのだから。


 そんなアランさんを完全無視し、ルイさんの前にある木製の椅子いすに腰を下ろした。


「編入試験緊張します……」


「大丈夫ですよ。いつも通りのルナさんでいてください。受かりますよ。絶対」


「そうですかね……。ファミリーネームは、ルイさんのでいいんですよね?」


 編入試験の登録の際に、ファミリーネームが必要だったため、ファミリーネームを持っていない私は、ルイさんのファミリネームである、『マーティン』を名乗ることとなった。


 アランさんはもうとっくに、ファミリーネームを捨てたらしい。


 理由は聞かなかったけど。


 もしかしたら、『呪い』と関係するのかもしれない。


 本人もあまり話したがらないから、無理に聞かないことにしている。


「はい。私のでよろしいのであれば」


「勿論です! アノールもルイさんのファミリーネームなんですか?」


「あぁ。俺の居場所は最初から、ルイ様だからな」


 最初からって。


 アノールも過去に、何かあったのだろう。


 気になるけど、今は聞かないようにしよう。


「そうなんだ。ところで…いつまで失神しているんですか?」


 私は冷たい目線でアランさんを見ると、血が付いた口元をローブの袖で拭きながら、椅子に座りなおした。


「ルナの制服姿を見れて、やんごとなし!」


「キモイ」


「照れちゃって~。可愛いな~」


 か、会話が成立してない……。


 ニヤついてるし、変態過ぎない?


「アラン様は放っておいて、ルイ様そろそろお時間です」


「そうですね。私は、少々早めに出勤しますので、時間内に学園の方に、登校してくださいね。では、楽しみにしています」


 ルイさんは微笑みながら、茶色いローブを肩に掛けリビングから去って行った。


 私はそのまま、朝食を取った後、部屋に1度戻り、身だしなみをそろえた。



───10分後。


 身だしなみをそろえていると、部屋の外からドアをノックする音が聞こえた。


 『どうぞ』と声をかけるとドアが開き、真剣な表情をしたアランさんが部屋の中に入ってきた。


「アランさん? どうかしましたか?」


「ルナ。話があるんだけど、少しいいかい?」


 私はアランさんに頷くと、アランさんは私の隣に腰を下ろした。


「ありがとう。君に学園での生活で、ある課題を出しておきたいと思ってね」


「課題?」


「うん。君には【ウィザード・セクト】に所属して、騎士ナイト一員になって欲しいんだ」


【ウィザード・セクト】?


騎士ナイト】?


 なんだそれ?


「ウィザード・セクトは、この世界の秩序を保つ6人の騎士ナイトが存在しているんだ。僕は昔、その一員だったんだ。この呪いも、ウィザード・セクトに所属していた時に付けられた。真実を知りたいのであれば、ウィザード・セクトになれ。そのためには学園に入り、魔法を学び、2年に1度開催されるウィザード・セクト候補試験を受けろ。

 その試験に合格すれば、年齢問わずウィザード・セクトになれる。その試験にアノールも出るはずだから、互いに高め合える。

 何言っているか、分からないと思うけど、頑張り給え。困ったらルイもいるから頼るといい」


 ウィザード・セクトに入り、騎士ナイトの一員となれば、アランさんの呪いを解く方法や何故、呪われたのか分かるわけだね!


 でも、かなりハード過ぎない?


 候補試験に受からないといけないし、何より今の編入試験に合格しなければならないし…。


 不安しかない。


「私にできるでしょうか?」


 私はアランさんに、そう尋ねた。


「できるよ。だって僕の弟子だもの」


 アランさんはそう言って、私の頭を撫でた。


 こういう時だけは、ちゃんとしてるんだよな~。


「アランさんがそう言うなら、頑張ってみます」


「そうだね。でも、無理は禁物だからね?」


「はい! あっ、そろそろ時間ですから、私行ってきますね!」


 時間が迫っているため、部屋を出ようとした。


 次の瞬間、アランさんに右手首を掴まれた。


「ルナ!」


 アランさんに引き留められた私は、後ろを振り向いた。


「どうかしましたか?」


「お守り。これを毎日、身に着けて」


 左手首に赤とピンクのミサンガを結び始めた。


 ミサンガの色や位置によって意味が違うらしいけど、これはどんな意味なのだろうか?


「意味はまだ知らなくていいさ。さぁ、行ってきたまえ!」


 ミサンガをつけられた後、アランさんに背中を押された。


「ハイハイ。行って来ます。アランさん!」


 私は部屋を出て、玄関前にいたアノールと合流した。





 ───そして、ミステリウム魔法学園へと歩き出したのだった。

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