───1ヶ月後
1ヶ月の月日が流れ、私はルイさんからミステリウム魔法学園の制服を貰い受け、制服に身を包んだ。
水色のワイシャツに、フードが身についている藍色のローブ。
ローブを止めるために、胸元に赤色のリボンを結び、髪はいつものようにポニーテール。
下は黒色のミニスカ。
黒色のタイツも履いているから、大丈夫だと思う。
何がとは言わないけど。
身支度を終えた私は、部屋から出てリビングに繋がる階段を駆け下り、私の師匠であるアランさんと、家主で学園の教師であるルイさん。
そして、ルイさんの弟子兼執事兼私の先輩であるアノールに会いに向かった。
ちなみに、シュネーは洞窟へ帰って行った。
でも、契約をしているため、いつでも呼び出せる。
授業などで仮に、使い魔が必要な場合は、シュネーを呼び出せることになっている。
「おはようございます!!」
リビングに着いた私は、3人に挨拶をした。
「おはようございます。ルナさん」
「おはよ」
「おは…グハッ!!」
ルイさんとアノールはいつも通りだけど、アランさんだけが吐血し、そのまま床にのめり込んでいった。
正直、キモイ。
なんせこの人は、重度の変態魔術師なのだから。
そんなアランさんを完全無視し、ルイさんの前にある木製の
「編入試験緊張します……」
「大丈夫ですよ。いつも通りのルナさんでいてください。受かりますよ。絶対」
「そうですかね……。ファミリーネームは、ルイさんのでいいんですよね?」
編入試験の登録の際に、ファミリーネームが必要だったため、ファミリーネームを持っていない私は、ルイさんのファミリネームである、『マーティン』を名乗ることとなった。
アランさんはもうとっくに、ファミリーネームを捨てたらしい。
理由は聞かなかったけど。
もしかしたら、『呪い』と関係するのかもしれない。
本人もあまり話したがらないから、無理に聞かないことにしている。
「はい。私のでよろしいのであれば」
「勿論です! アノールもルイさんのファミリーネームなんですか?」
「あぁ。俺の居場所は最初から、ルイ様だからな」
最初からって。
アノールも過去に、何かあったのだろう。
気になるけど、今は聞かないようにしよう。
「そうなんだ。ところで…いつまで失神しているんですか?」
私は冷たい目線でアランさんを見ると、血が付いた口元をローブの袖で拭きながら、椅子に座りなおした。
「ルナの制服姿を見れて、やんごとなし!」
「キモイ」
「照れちゃって~。可愛いな~」
か、会話が成立してない……。
ニヤついてるし、変態過ぎない?
「アラン様は放っておいて、ルイ様そろそろお時間です」
「そうですね。私は、少々早めに出勤しますので、時間内に学園の方に、登校してくださいね。では、楽しみにしています」
ルイさんは微笑みながら、茶色いローブを肩に掛けリビングから去って行った。
私はそのまま、朝食を取った後、部屋に1度戻り、身だしなみをそろえた。
*
───10分後。
身だしなみをそろえていると、部屋の外からドアをノックする音が聞こえた。
『どうぞ』と声をかけるとドアが開き、真剣な表情をしたアランさんが部屋の中に入ってきた。
「アランさん? どうかしましたか?」
「ルナ。話があるんだけど、少しいいかい?」
私はアランさんに頷くと、アランさんは私の隣に腰を下ろした。
「ありがとう。君に学園での生活で、ある課題を出しておきたいと思ってね」
「課題?」
「うん。君には【ウィザード・セクト】に所属して、
【ウィザード・セクト】?
【
なんだそれ?
「ウィザード・セクトは、この世界の秩序を保つ6人の
その試験に合格すれば、年齢問わずウィザード・セクトになれる。その試験にアノールも出るはずだから、互いに高め合える。
何言っているか、分からないと思うけど、頑張り給え。困ったらルイもいるから頼るといい」
ウィザード・セクトに入り、
でも、かなりハード過ぎない?
候補試験に受からないといけないし、何より今の編入試験に合格しなければならないし…。
不安しかない。
「私にできるでしょうか?」
私はアランさんに、そう尋ねた。
「できるよ。だって僕の弟子だもの」
アランさんはそう言って、私の頭を撫でた。
こういう時だけは、ちゃんとしてるんだよな~。
「アランさんがそう言うなら、頑張ってみます」
「そうだね。でも、無理は禁物だからね?」
「はい! あっ、そろそろ時間ですから、私行ってきますね!」
時間が迫っているため、部屋を出ようとした。
次の瞬間、アランさんに右手首を掴まれた。
「ルナ!」
アランさんに引き留められた私は、後ろを振り向いた。
「どうかしましたか?」
「お守り。これを毎日、身に着けて」
左手首に赤とピンクのミサンガを結び始めた。
ミサンガの色や位置によって意味が違うらしいけど、これはどんな意味なのだろうか?
「意味はまだ知らなくていいさ。さぁ、行ってきたまえ!」
ミサンガをつけられた後、アランさんに背中を押された。
「ハイハイ。行って来ます。アランさん!」
私は部屋を出て、玄関前にいたアノールと合流した。
───そして、ミステリウム魔法学園へと歩き出したのだった。