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14話 ルイとシュネー

───自室 


 氷の妖精・シュネーを使い友達にし、契約を結ぶために呪文を詠唱した際に、謎の光に包まれ、白銀の髪色で白いワンピースを身に着けた少女に『アランとシュネーをよろしくね』と謎すぎる頼まれごとをされ、次に目を覚ますと、自分の部屋のベッドに寝ていたのだった。


 *


 ベッドから起き上がると、ステンドガラスの窓から外を見ていたシュネーが私に気づき、こちらに飛んできた。


 すると、いきなり頭を思い切りぺしっと、叩かれてしまった。


「痛っ!」


「契約魔法した瞬間に意識なくしちゃって! もう! 運ぶの大変だったんだからねッ!」


「私、倒れたの?」


「そうよ!」


 やっぱり……。意識なくしてたんだ。


 なんか、シュネーやアランさんに迷惑かけてしまったな~。


「ごめんね」


「まぁ、ルナだからいいわ! これがあの魔術師だったら氷漬けにして、魂事食べてたわよ!」


 い、意外と怖いこと言うのね……と思いつつ、アランさんたちがいないのかと辺りを見回した。


「ルナ? どうしたの?」


「アランさんたちは?」


「ルイの部屋かしらね。呼んでくるわ!」


 シュネーはそう言うと、部屋のドアを魔法で少し開き、ルイさんの部屋に向かっていった。


 シュネーって、案外と器用なのかもしれない。


 そう言えば、夢の中? に不思議な女の子と会った気がするけど……。


 なんか、言ってたし。


 何だっけ? と両腕を前に組み、頭をひねらせていると部屋のドアが開いた。


「ル、ナ?」


 何故か、ドア前で突っ立っているアランさん。


 すると、次の瞬間。


 アランさんが猛ダッシュしてきたと思ったら、ガバッと効果音が付きそうなくらい勢い良く、抱き着かれた。


 その光景をアランさんの後ろにいたルイさんとシュネーが、一瞬だけ唖然あぜんとしたが、すぐに私からアランさんを引きずり剝がした。


「ルナさんから離れなさい!」


「いーやーだぁぁぁ!! ルナがいなくなったら、僕生きていけないもん! 数日間の空白の時間を堪能させてよぉ~!」


「変態かッ! ルナどうする! こいつ殺る?」


 シュネーは、アランさんの頭をぺしぺしと叩きながら、黒い笑みを浮かべた。


 シュネーに首を左右に振ると、『つまんなーい』と言われてしまった。


「ご迷惑をおかげして、ごめんなさい。もう大丈夫です。あと、アランさん落ち着いて」


「うう……」


 アランさんは目を擦りながら、ベットの横にある椅子に座り、ルイさんとシュネーはソファーに座った。


 本当にこう改めてアランさんの行動や言動を見てたりすると、子供にしか見えない。


 精神年齢低いのかしら? とそう思わざるを得ない。


 すると、ルイさんは小さくため息をついた後、『目を覚まされて良かったです』と言ってくれた。


「本当にごめんなさい。ルイさんたちにも迷惑をかけてしまって……」


「気にしないでください。疲れが溜まっていたのが、突然出たのでしょうから」


「それと、私はルナと使い魔になったから、いつでも呼んでくれれば、どこにいようが飛んでいくわ!」


 契約破棄されてなくて良かったぁ~!


 儀式の際に倒れたなら、自動的に契約破棄になってたら、どうしようかと思ってたわ。


「ルナと一緒に居たいと思ったから…。感謝なさい!」


「ありがとうございます女神様! 流石、シュネー様ですわ!」


 ベッドの上で土下座をすると、シュネーは嬉しそうに口元を緩めた。


「もっと褒めてもいいのよ~!」


「そこまでにしなさい。全く、シュネーは相変わらず、我が儘お嬢様ですね」


 ルイさんがそう言うと、シュネーは突然、林檎の様に顔を真っ赤に染めた。


「う、うるさいわよ! お、お、お嬢様なんて言葉、妖精に使うんじゃないわよ! ルイの馬鹿ぁぁぁ!」


 シュネーはルイさんのおでこを、ポコポコと叩き始めた。


 『痛いですよシュネー』と優しく言うルイさん。


 でも、どこか何時ものルイさんとは違う感じがした。


 まるで、好意を持っている女性に対して接するような……。


 ん? もしかしてと思い、アランさんに耳打ちをした。


『アランさんアランさん』


『ルナからの耳打ち!? 僕、死んでもいいかも』


『はいはい。それよりも、ルイさんの雰囲気甘くないですか?』


 ルイさん達の方に目線を向けるアランさん。


 すると『だってルイ。シュネーのこと好きだもの』と爆弾発言をした。


『私の予想通り。あの感じ、シュネーもなのかしらね?』


『そうとも。でも互いに気づいていないんだ』


『この長年で!? ある意味凄いわよ』


 両想いなんだ……。


 こんな身近な場所で、両想いの人たちに会えるとは。


 なんか羨ましいな~。


 私もいつかは…なんてね。


「そこで、コソコソ話さないで、言いたいことがあるなら話してください」


 ルイさんは、じーっとこちらを見て言ってきた。


「なんでもないよ。ね、ルナ?」


「え、えぇ」


 アランさんの言う通りに頷いた。


「まぁ良いですけど。それよりも、今度ミステリウム魔法学園の見学会がありますけど、ルナさん見に行きませんか? アノールがついていくと思いますので」


「ミステリウム魔法学園? マジですか!?」


「マジですよ。それでどうします?」


「行くに決まっているじゃないですか!」


 私が編入したがっている学園。


───ミステリウム魔法学園


 見学できるなら、見学したいに決まっている!


「それではアノールに伝えておきますね。それまで、疲れを取ってください。見学会以降、魔法の基礎知識を頭に叩き込んでもらいますから。それと、実践も交えていきますので…覚悟していてくださいね」


 この人もスパルタだった!!


 師がこれだったら、弟子のアノールもスパルタなのがよく分かった。






 ───確かに、弟子は師に似るって本当なんだと、改めて思い知った私だったのであった。

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