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13話 洞窟の支配人

───私と友達にならない?



 氷の妖精・シュネーと戦闘になった私は、拘束魔法でシュネーを捕らえ、アランさんに対する憎んでいる内容を聞き、彼女を受け入れ、『友達にならない?』と誘った


 すると、拘束魔法【氷の城アイスキャッスル】の中から、間抜けな声が聞こえた。


『へっ!? な、何よ急に!』


「そのまんまの意味だよ。シュネーは頑張り屋さんで、誰かのことを想える、優しい妖精だっていうことは分かった。そんなシュネーと友達になりたいの! この世界に来てから、友達いないんだよね~。友達になってくれたら、アランさんの弱点教えてあげるけど?」


 たまには、アランさんに仕返ししたいと内心思っていたところだし。


 そう思っていると、シュネーは突然、声を出して笑いだした。


『アハハハ! 何それ! 面白いじゃないアナタ! 気に入ったわ、私と友達になってあげてもよろしくてよ!』


 ツンデレは抜けないんだね……。


 というか、ツンデレの妖精って存在したんだ。


「相変わらずだね。シュネー」


 いつの間にか、私の背後にアランさんがいたことに気づいた。


 自然と肩を抱き寄せるな! 変態魔術師! と、内心思った。


『その声はアランねッ! まーだ、生きていたなんて!』


「生きているとも。少なくとも、呪いが解けるまではね。それより、ルナ。いつ、拘束魔法を覚えたんだい? ルイかい?」


「違いますよ。アノールが教えてくれたんです。拘束魔法が得意らしいので」


 2日前に、ルイさんの弟子兼執事のアノールに、拘束魔法を学んでいた。


 最初はルイさんから教わるところだったが、ルイさん曰く、アノールの方がプロらしいとのことで、氷魔法を応用した、拘束魔法を教えてもらったのだ。


「アノールに? 大丈夫だったかい?」


「スパルタでしたけど、ルイさんが見守ってくれていたので、大丈夫でしたよ」


「それならいいけど……」


 アランさんは、心配性だな~。


 まぁ、アノールの教え方は少し癖があったし、色々大変だったけど、そのおかげで拘束魔法を習得できたから、結果オーライ!


『ごちゃごちゃ話してないで、私を解放してよ! 私は、になったんだから!』


 アランさんと話していると、シュネーが怒鳴ってきた。


「それなら、この子の使い魔になってくれれば解放してあげよう! じゃないと…。どうなるか、分かってるよね?」


 ドス黒い笑みを浮かべたアランさん。


 それを感じ取ったのか、シュネーは声にならない悲鳴を上げた。


「アランさん、それ脅しではありませんか? 犯罪ですよ?」


「犯罪なの?」


『犯罪よ。相変わらず、おバカよね~』


 シュネーはケラケラとアランさんのことを笑うと、アランさんはまたもや、ドス黒いオーラと共に、私の手から氷の城アイスキャッスルを奪い、上下に激しく振った。


 全く、この2人は……。


 仲いいのか悪いのか、分からんなー。


 そう思っていると、あることに気づいた。


「ねぇ、シュネーはずっと、この洞窟にいたんでしょ? しかも、洞窟を作ったって…」


『そうよ?』


「アランさんが1番最初に言っていた、ここのって、もしかして……」


『ヌシじゃなぁぁぁぁい!! 私をなんだと思っているのよッ! この阿保ずら魔術師ィィィィ!』


 シュネーが叫ぶと、氷の城アイスキャッスルが破壊されてしまった。


「ルナも、まだまだだね」


「それはそうですけど…。私、まずいこと言ってしまいましたかね?」


「ルナは悪くないよ? そこの魔術師が悪いんだから! もういいわ! この洞窟の支配人である私を、使い魔にしなさい! そんでもって! アランを見返してやるんだから!」


 あっ、使い魔になってくれるんだ。


 しかも、支配人だったとは初耳。


 一応だろうな~とは、思ってはいたけど……。


 しかし、アランさんは可笑しな人だ。


 素直じゃないところが子供みたい。ちゃんと説明してくれればいいものの。


「ルナ」


「はい」


 アランさんに名前を呼ばれ、私はその場に杖を刺し、シュネーが私の使い魔になる呪文を詠唱した。



───深淵の奥底より、氷の力を呼び覚まし、魔力を交わす我が手。星々の輝きを導き、命ある者たちとの契約を結ぶ。我が意のままに操れる使い魔よ、今こそ我が元へと集い、力を示しなさい。



 呪文を詠唱すると、シュネーと私の足元に魔法陣が現れ、謎の光に包まれた。


 すると、私の目の前に白銀の髪色に、白いワンピースを身に着けた少女が、私を優しく抱きしめてきた。


『アランとシュネーをよろしくね』


 少女は私の耳元でそう呟くと、光が強くなり私は反射的に目を瞑った。



 次に目を覚ますと、見慣れた白い壁に、ステンドガラスの窓が視界に入った。






───そう。いつの間にか、自分の部屋にいたのだった。

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