前回のあらすじ
使い魔探しに、初めて転生してきた洞窟の奥に向かおうとしていたところ、迷子になってしまった。
偶然、出会った妖精『シュネー』についていくと、この世に存在していいのかと思うくらい、美しい場所に辿り着いた。
シュネーに転生者&アランさんの弟子だと教えると、ツンデレから態度が
そして、何故か私と来ない? と謎の誘いを受けた、私だったのであった。
*
「私と来ない?」
氷の妖精・シュネーは、私にそう言った。
彼女の言っている意味が分からず、問いを問いで返した。
「何故? というか、どういうことかしら? 私はアランさんの弟子よ? 疫病神って嫌っている、あの人の弟子なのに何故、私を誘う。良かったら、教えてくれない?」
「えぇ、良いわ。私が何故、アランを嫌っているのか。それはね、依り代になったあの子の想いに、気づかなかったのが許せないの。アナタを手に入れれば、アランは狂って狂って狂いまくってそのまま!」
この妖精が、アランさんを嫌っている理由が分かった。
でも、アランさんを
例え、この身体の持ち主のためであっても!
「依り代になったその子の意思なの? その子が、アランさんに復讐したいって言ったの? 違うでしょ? それに、アランさんがそんな鈍感には見えない。理由があったのかもしれないし……。ともかく! 私はアランさんの弟子である限り、彼の呪いを解くまで、傍にいるって決めているから。シュネーの元には行かないよ」
私は、シュネーの誘いを断った。
すると、シュネーはため息をつき、私の目の前に魔法陣が現れると、水色の着物を着た、美しい女性が現れた。
「残念だわ。無理矢理、私のものにするしかなさそうね……。行きなさい」
シュネーは女性に命令すると、女性は口から雪を吹いた。
もしかして、雪女なの!? と混乱しつつ、
追加で、シュネーが私の背後に回って、氷で出来た槍をいくつも放ってくるから、
こりゃ参ったわ。
「でも、私にはやるべきことがある。だから、ここでやられるわけにはいかない!」
そして、今度はシュネーの背後に魔法陣を出現させた。
「
魔法陣から小さな氷で出来た城が現れ、門が開く。
次の瞬間、シュネーを引きずり込んでいった。
「な、何よッ!? だ、誰か助けッ!!」
シュネーは何度も藻搔くが、藻搔くほど城門の中から出る冷気によってシュネーの身体は、凍っていき、身動きが出来ないようになっていった。
そして、シュネーはあっという間に、城門の中へ引きずり込まれ、門が閉じ、その場に落ちた。
「雪女も消えたってことは、上手くいったのね……。アランさんを陥れるなら何度でも、拘束してあげる。分かった?」
『アランを殺るまでは、絶対諦めない!!』
「……私は、その場にいたわけじゃないから何も言えないけれど、これだけはシュネーに言っておくね。依り代になったその子は、望んでいないと思うの。例え、アランさんを殺ったとしても、悲しむだけだと思う。
それに、シュネーには幸せになってもらいたいと願っていると思うよ? 誰かを想うその心があるなら、その人はきっと……いや、絶対いい人なんだ。私は少なくとも、そう思うよ」
シュネーにそう語りかけると、鼻をすする音が聞こえた。
シュネーは、ずっと我慢していたんだ。その子がいなくなってか、ずっとこの日まで。
道を間違えてほしくない、だから私は彼女の──。
「ねぇシュネー。私たち、友達にならない?」
───私は、シュネーと『友達』になりたいと思ったのだった。