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12話 氷の妖精-後編-

 前回のあらすじ


 使い魔探しに、初めて転生してきた洞窟の奥に向かおうとしていたところ、迷子になってしまった。


 偶然、出会った妖精『シュネー』についていくと、この世に存在していいのかと思うくらい、美しい場所に辿り着いた。


 シュネーに転生者&アランさんの弟子だと教えると、ツンデレから態度が豹変ひょうへんし、アランさんのことを『疫病神』と言って嫌っていること。


 そして、何故か私と来ない? と謎の誘いを受けた、私だったのであった。


 *


「私と来ない?」


 氷の妖精・シュネーは、私にそう言った。


 彼女の言っている意味が分からず、問いを問いで返した。


「何故? というか、どういうことかしら? 私はアランさんの弟子よ? 疫病神って嫌っている、あの人の弟子なのに何故、私を誘う。良かったら、教えてくれない?」


「えぇ、良いわ。私が何故、アランを嫌っているのか。それはね、依り代になったあの子の想いに、気づかなかったのが許せないの。アナタを手に入れれば、アランは狂って狂って狂いまくってそのまま!」


 この妖精が、アランさんを嫌っている理由が分かった。


 でも、アランさんをおとしいれるのは、流石に許せないし、見逃すことなんてできない!


 例え、この身体の持ち主のためであっても! 


「依り代になったその子の意思なの? その子が、アランさんに復讐したいって言ったの? 違うでしょ? それに、アランさんがそんな鈍感には見えない。理由があったのかもしれないし……。ともかく! 私はアランさんの弟子である限り、彼の呪いを解くまで、傍にいるって決めているから。シュネーの元には行かないよ」


 私は、シュネーの誘いを断った。


 すると、シュネーはため息をつき、私の目の前に魔法陣が現れると、水色の着物を着た、美しい女性が現れた。


「残念だわ。無理矢理、私のものにするしかなさそうね……。行きなさい」


 シュネーは女性に命令すると、女性は口から雪を吹いた。


 もしかして、雪女なの!? と混乱しつつ、霜の壁フロスト・ウォールで攻撃を防ぐものの、足元が雪が積もっているため、雪女が雪を吹くことによって自然に雪が積もっていく+身動きが取れなくなっていく。


 追加で、シュネーが私の背後に回って、氷で出来た槍をいくつも放ってくるから、霜の壁フロスト・ウォールが限界を迎えそうになっているし。


 こりゃ参ったわ。


「でも、私にはやるべきことがある。だから、ここでやられるわけにはいかない!」


 霜の壁フロスト・ウォールを雪女に向けて押し切り、壁に激突させた。


 そして、今度はシュネーの背後に魔法陣を出現させた。


氷の城アイスキャッスル!」


 魔法陣から小さな氷で出来た城が現れ、門が開く。


 次の瞬間、シュネーを引きずり込んでいった。


「な、何よッ!? だ、誰か助けッ!!」


 シュネーは何度も藻搔くが、藻搔くほど城門の中から出る冷気によってシュネーの身体は、凍っていき、身動きが出来ないようになっていった。


 そして、シュネーはあっという間に、城門の中へ引きずり込まれ、門が閉じ、その場に落ちた。


「雪女も消えたってことは、上手くいったのね……。アランさんを陥れるなら何度でも、拘束してあげる。分かった?」


 氷の城アイスキャッスルに話しかけると、『うるさい!』と中から声が聞こえた。


『アランを殺るまでは、絶対諦めない!!』


「……私は、その場にいたわけじゃないから何も言えないけれど、これだけはシュネーに言っておくね。依り代になったその子は、望んでいないと思うの。例え、アランさんを殺ったとしても、悲しむだけだと思う。

 それに、シュネーには幸せになってもらいたいと願っていると思うよ? 誰かを想うその心があるなら、その人はきっと……いや、絶対いい人なんだ。私は少なくとも、そう思うよ」


 シュネーにそう語りかけると、鼻をすする音が聞こえた。


 シュネーは、ずっと我慢していたんだ。その子がいなくなってか、ずっとこの日まで。


 道を間違えてほしくない、だから私は彼女の──。



「ねぇシュネー。私たち、友達にならない?」





───私は、シュネーと『友達』になりたいと思ったのだった。

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