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10話 使い魔

───次の日・早朝


 私は、布団にくるまっていたアランさんを引きずり出し、早速アランさんと初めて出会い、私がこの世界に転生してきた、氷の結晶で出来た洞窟へ向かった。


 眠たそうに、まぶたを擦っている大の大人が、私に話しかけてきた。


「ん~。もう少し寝かせてくれたっていいじゃないか」


「ルイさんに言われてたの覚えてます? 早朝が良いって言ってたのを!」


「そうだったような~。そうじゃなかったような~」


 首を傾げる怠け者に呆れ、ため息をついた。


「疲れるわ。この人……。眠たかったら其処そこらへんで、転がっててください。1人で行くんで」


「酷いじゃないか~。行くけどさ」


「はいはい」


 アランさんと話してると、まるで子供と会話しているように感じてくる。


 精神年齢が低いのか?


「ところでルナ。あの神鬼人オーガロードについて、何か疑問に思わないかい?」


「そういえば……。そうですね」


 神鬼人オーガロード鬼人オーガの上位種だよね?


 鬼人オーガを率いるのが特徴だけど、そんな様子…全くなかった気がする。



───



 もしかしたら、ほかの場所にクロノスの仲間がいたのなら、今後狙われる可能性が高くなる。


 私の自由ライフが遠くなっていくぅ!


 いーやぁぁぁ! と1人で心の奥底で悲鳴を上げていると、アランさんが私の顔を覗いてきた。


「なんですか?」


「冷たいね~。そんなところも愛らしいけど!」


「はぁ……」


「たとえ、魔物に狙われようが


 あのアランさんが、真剣な眼差しで、私の不安を見抜いている。


 ん?


 だとしたら……。


「だったら、クロノスの時! 絶対、守れたでしょうが!」


「そうだけどね。でも、あーでもしないと、君は本気を出さなかっただろ?」


 そうだけど!


 というか、この人。絶対、クロノスの魔法かかってなかったでしょ!


「可愛い弟子の成長を、生で見れて誇らしいよ~」


 アランさんはそう言いながら、ドヤ顔をかましてきた。


 正直ウザいと思った。


 そんなアランさんを放置し、ズンズンと森の奥を進んでいくと、懐かしい洞窟の入り口が見えた。


「見えてきましたよ!」


「そうだね。君を認める使い魔が見つかるといいね」


「はい! ところで、洞窟に入ったら妖精がいるんですか?」


「その奥さ。魔物もふつーにいるから、気をつけ給え」


 いるんかい!


 まぁ、洞窟=ダンジョンみたいなものか。


「使い魔を探すには、その主人となる者しか、奥に踏み入れてはいけないというのが掟だから、頑張りなさい」


 初耳…なんですけど?


 ということは、この洞窟に私1人で行けと!?


 何の拷問だよッ! 早く言えよ!


「ルイさんが、アランさんが手助けしてくれるって!」


その時じゃない」


「え?」


「気にせず、行き給え!」


 アランさんは何の説明もなく、私の背中を押した。



───私は渋々、洞窟の中へと足を踏み入れたのであった。

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