───1週間後
セフラン王国の外にある森には平和が訪れ、皆安全に仕事ができるようになった。
そして私は、1つあることを決めた。
*
───アランの部屋
「どうしたんだい? 急に部屋に来るなんて。もしかして!? デートのお誘い!? ふふーん。やっと、僕のことを…」
「はぁ? アホなことを言っているんですか。変態魔術師め。違いますよ! 私。魔術師じゃなくて、魔法使いになることにしたんです。勿論、魔術も学びますが、私的には魔法が身体に合っているんですよ。それで、アランさんの意見も聞きたくて、部屋に来たんですよ! 変な妄想しないでください!」
「怒った顔もかわいー! 僕の弟子だから、そこらの子たちとは違って、格別可愛い! 天使ッ!」
アランさんはそう叫びながら、胸を押さえた。
何なんだ、この変態は……。
そう思いつつ、ため息をついた。
「はぁ、疲れる。それで、どうなんです?」
「そうだね。いいんじゃないかな? 拒否権はないし、君の行きたい道を進めばいいだけだよ。魔法を極めれば、天才魔法使いになれるしね。頑張りなさい」
魔術師ではなく、魔法使いの道を選んだ私を受け入れてくれたアランさん。
嬉しいという気持ちでいっぱいだった。
「氷の使い手は
アランさんは、どこか寂しそうな表情を私に見せた。
だけど、期待を寄せているようにも見えた。
「アランさん。私、貴方を超えれるよう頑張ります。だから、見守ってください。そして、貴方の『破滅の呪い』を絶対に解いて見せます!」
私は力強く宣言すると、アランさんは最初目を丸くした後、クスッと笑みを溢した。
「楽しみにしてるよ。ルナ」
アランさんは優しく、温もりのある手の平で、私の頭を撫でた。
ガチャとドアが開く音が聞こえ、後ろを振り向くと、そこにルイさんがいた。
ルイさんは慌てながら、アランさんを私から引き離した。
「アラン! ルナさんに何してくれてるんですか!」
「なにって……。頭撫でてるだけだよ?」
「セクハラ! ルナさん! 嫌なら嫌って言ってくれていいんですからね!」
「……」
「ルナさん?」
嫌とは感じないな。慣れたのかな?
「嫌とは……」
そう呟くと、アランさんとルイさんは目を見開いた。
「えっ……。あのルナが!? デレ期が訪れた!」
「ルナさん! こんなダメダメ変態野郎にデレてはいけませんよ! すぐ調子に乗りますので」
「デレてはいないんですけど……」
アランさんはデレているのだと勘違いし、人の頭ワサワサと、しつこく撫でてくるから、イラッとした私は、思い切りアランさんの
「ナイスです」
「ムカッと来たんで。ところで、ルイさんはどうしてここへ?」
「そうでした。ルナさん、魔法使いを目指すことにしたんでしたよね?」
「はい」
「そうなれば、使い魔を持たなければなりませんね。アランと最初出会った場所に、行かれてはどうでしょうか? あそこには、氷の妖精がいますので、認められれば使い魔になってくれるかもしれませんよ」
使い魔って必要なんだ。
というか、アランさん全然説明してくれないんですけど。
転がっているアランさんに、冷たい目線を向けながら、ため息をついた。
「分かりました。この人も連れて行っても、いいんですよね?」
「勿論です。何かあったら、アランを頼ってください」
私はルイさんに頷いた。
───こうして私は、魔法使いになるための道を選び、使い魔を探すために、アランさんと初めて出会った氷の結晶で出来た、あの洞窟へ向かうこととなったのであった。