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9話 魔法使いの道

───1週間後


 神鬼人オーガロードのクロノスを倒し、1週間が経った。


 セフラン王国の外にある森には平和が訪れ、皆安全に仕事ができるようになった。


 そして私は、1つあることを決めた。



───アランの部屋


「どうしたんだい? 急に部屋に来るなんて。もしかして!? デートのお誘い!?  ふふーん。やっと、僕のことを…」


「はぁ? アホなことを言っているんですか。変態魔術師め。違いますよ! 私。魔術師じゃなくて、魔法使いになることにしたんです。勿論、魔術も学びますが、私的には魔法が身体に合っているんですよ。それで、アランさんの意見も聞きたくて、部屋に来たんですよ! 変な妄想しないでください!」


「怒った顔もかわいー! 僕の弟子だから、そこらの子たちとは違って、格別可愛い! 天使ッ!」


 アランさんはそう叫びながら、胸を押さえた。


 何なんだ、この変態は……。


 そう思いつつ、ため息をついた。


「はぁ、疲れる。それで、どうなんです?」


「そうだね。いいんじゃないかな? 拒否権はないし、君の行きたい道を進めばいいだけだよ。魔法を極めれば、天才魔法使いになれるしね。頑張りなさい」


 魔術師ではなく、魔法使いの道を選んだ私を受け入れてくれたアランさん。


 嬉しいという気持ちでいっぱいだった。


「氷の使い手は稀少きしょうだから色々、重宝してもらえる。それに、君なら、僕を超えられるかもしれないから」


 アランさんは、どこか寂しそうな表情を私に見せた。


 だけど、期待を寄せているようにも見えた。


「アランさん。私、貴方を超えれるよう頑張ります。だから、見守ってください。そして、貴方の『破滅の呪い』を絶対に解いて見せます!」


 私は力強く宣言すると、アランさんは最初目を丸くした後、クスッと笑みを溢した。


「楽しみにしてるよ。ルナ」


 アランさんは優しく、温もりのある手の平で、私の頭を撫でた。


 ガチャとドアが開く音が聞こえ、後ろを振り向くと、そこにルイさんがいた。


 ルイさんは慌てながら、アランさんを私から引き離した。


「アラン! ルナさんに何してくれてるんですか!」


「なにって……。頭撫でてるだけだよ?」


「セクハラ! ルナさん! 嫌なら嫌って言ってくれていいんですからね!」


「……」


「ルナさん?」


 嫌とは感じないな。慣れたのかな?


「嫌とは……」


 そう呟くと、アランさんとルイさんは目を見開いた。


「えっ……。あのルナが!? デレ期が訪れた!」


「ルナさん! こんなダメダメ変態野郎にデレてはいけませんよ! すぐ調子に乗りますので」


「デレてはいないんですけど……」


 アランさんはデレているのだと勘違いし、人の頭ワサワサと、しつこく撫でてくるから、イラッとした私は、思い切りアランさんの鳩尾みぞおちに拳を決め込むと、鳩尾を押さえながら、その場に倒れこんだ。


「ナイスです」


「ムカッと来たんで。ところで、ルイさんはどうしてここへ?」


「そうでした。ルナさん、魔法使いを目指すことにしたんでしたよね?」


「はい」


「そうなれば、使い魔を持たなければなりませんね。アランと最初出会った場所に、行かれてはどうでしょうか? あそこには、氷の妖精がいますので、認められれば使い魔になってくれるかもしれませんよ」


 使い魔って必要なんだ。


 というか、アランさん全然説明してくれないんですけど。


 転がっているアランさんに、冷たい目線を向けながら、ため息をついた。


「分かりました。この人も連れて行っても、いいんですよね?」


「勿論です。何かあったら、アランを頼ってください」


 私はルイさんに頷いた。


───こうして私は、魔法使いになるための道を選び、使い魔を探すために、アランさんと初めて出会った氷の結晶で出来た、あの洞窟へ向かうこととなったのであった。

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