───セフラン王国外
セフラン王国の外にある森の中で魔物が発生しているので、討伐をして欲しいと門番に頼まれた私たちは、森の中を散策していると、
何故か、クロノスに気に入られた私は、彼の
「小娘、我れの元に来るがよい!」
「すみませんが、お断りさせていただきます。私はまだまだ未熟者で、この人たちに教えてもらうことが、たくさんあるので」
「ほほう? それだけの理由か?」
「そうですけど、何か?」
私の言っていることは本心だし、クロノスについて行く必要性なんてない。
「そうか。貴様は、そやつらとは違う雰囲気がする。そんな貴様を! 我の嫁にする!」
よ、め?
今、嫁って言った?
「嫁? なんで?」
「嫁にし、我の物にするためだ!」
意味がわからない!
この世界の人たち(人外も含む)は、みんな変人だらけなのさ!
いや、ルイさんとアノールは違うけど……。
「とにかく! 私は誰の物にもならないです! 絶対に!」
「……ならば!」
私が求婚拒否? すると、その場の空気が一瞬にて、凍りつき始めた。
これは、戦いを避けられない!
「
アランさんと同じく、空の上に魔法陣が現れ、炎が降り注いできた。
避けても森が燃えるだけだと思った私は、氷で作られた杖を構え、魔法陣を展開した。
「
魔法陣が霜へと変化し、私の周りを囲むように壁ができた。
クロノスは、氷が炎に弱いことを私に突きつけてきた。
「フハハハハハ! 貴様、弱点を知らんのか? 氷は炎に弱いとな。炎は氷に強い! 常識であろうが!」
「知ってるわよ。でも、この壁を壊すことはできないわ。絶対にね」
私の言う通り、空から降ってくる
威力を強めても、壁はビクともせずに、攻撃を防ぎ終えたことで、クロノスは動揺を隠せずにいた。
「どういうことだ」
「どうもこうもない。ただの霜の壁ですよ。それでどうします? 降参してくれたら、手出しはしません」
「力ずくでも、我の物にするッ!
クロノスは、炎で出来た弓と矢を作り出し、私に向かって矢を放った。
それも、私の
「面白い! 面白いぞルナ! 良い! ますます気に入ったぞ!」
「それはどうも。でも、もうお終いにしませんか? 貴方は、私を倒すことはできない。私は『破滅の魔術師』の弟子ですから」
「『破滅の魔術師』。もしや、貴様は転生者なのか!?」
クロノスは、先ほどまでの余裕をなくしたかのように、後退りをした。
「そうですけど?」
「転生者は、我ら魔物の天敵。そして、
「神?」
「そうだ。これもまた、
クロノスは何かを悟ったのか、再び
「もういいでしょ? 運命なのかは知りませんけど、私は自由になるために、アランさんの呪いを解くために、前を進むだけです! これで、もう終わりです!
杖の先から魔法陣が現れ、吹雪がクロノス自身をとらえ、クロノスは私より早く魔法を放てず、そのまま氷漬けにされ、綺麗に砕け散っていった。
そして、クロノスを倒したことによって、止まっていた時間が動き出し、アランさんたちもやっと動き出した。
「おっとと……。どうやら倒したみたいだね。この魔力量は上級魔法を使用したみたいだね。ルナ」
慣れていない魔法を使った私は疲れ果て、倒れそうになったところを、アランさんが受け止めてくれた。
「疲れました。寝ていいですか?」
「良いとも。僕が運んであげるから君は、少し休みなさい」
「お疲れさまでした。ルナさん」
「ルイさん……」
「……」
私は無言で心配そうに見つめてくるアノールに目線を向け、そのまま意識が飛んだのだった。
───これが、氷魔法使いの誕生秘話となることを知らずに。