アランさんの親友である、ルイさんと偶然出会い、私はルイさんと意気投合し、彼の自宅で期間限定のチョコサンドを味わっている。
アランさんは私の横で、ムスッと頬を膨らませながら、ルイさんが淹れたコーヒーを飲んでいる。
「ねぇ、ルイ。あの子いないの?」
突然、アランさんが言葉を発した。
「アノールのことですか? 彼なら庭にいると思いますけど……。呼んできましょう
か?」
アノール?
もしかして、アランさんが言っていた、私と同年代の子かしら?
「構わないよ。元気にしているか、気になっただけだから。それよりさ、ルイ。ルナに魔法を教えてあげてくれないかい?」
アランさんはルイさんにお願い事をすると、ルイさんは私の顔をじっと見つめてきた。
私は気にせずに、チョコサンドを味わった。
「アラン。身長は同じですけど、少しだけ魔力量と姿形は違うと思っていましたけど、やはり転生者なんですね。この子」
「そうなのだよ。それで、僕と契約を交わしたんだ。僕の『呪い』を解くってね。解呪方法を探す前に、『魔法』と『魔術』の両方を教えようっていうことになってね。この先、必ず必要になるからさ」
「それなら、魔法学園に編入したらどうですか? その方が早いのでは……」
魔法学園!?
アランさんが言っていた、学園のことだ!
学園生活してみたい! でも、そんな暇ないだろうな……。
「いいかもね。だけど、その前に基礎だけは、教えてあげたいんだ。そうすれば、仮に編入しても、すぐ追いつけるだろうからね」
「それもそうですね。魔術はアランが教えるのですか?」
「そうなんです! あと、ここに来る前に『スライム』と遭遇したんですけど、その時に魔術を見せてもらったんですよ!」
ルイさんにさっきの出来事を話すと、何やら首を傾げ、悩み始めた。
「どうしたんですか?」
「ルナさん。今『スライム』と言いましたか?」
「はい?」
「この国……。セフラン王国には、魔物を寄せ付けない結界が張られているのですが、魔物がこの国の近くに現れたということは、その結界の力が
結界なんて張っていたんだ。
それよりも、この国の名前、初めて聞いた。
「結界って、どなたが張っているのですか?」
ふと疑問に思ったことをルイさんに問いかけた。
「魔法学園校長ですよ。私たちが通っていた小さな学園を、校長自ら学園を1から作り、現在では校長を務めているんですよ」
校長自ら!?
予想外な回答にびっくりした。
その人に会えば、アランさんの『呪い』について何か、教えてくれるかもしれない!
「ルイさん、アランさん。私、その魔法学園に編入したいです! 『魔法』と『魔術』の基礎を教えてください! その方なら、アランさんの『呪い』について何か知っているかもしれない! それにですね。学園生活をしてみたいというのも、あってですね……」
後者は確実に、私情。
だって! 学生時代青春の青の文字なんかなかったもん!
楽しくなかったから、今度こそ満足する青春を送ってみたい!
これって契約破棄になってないよね?
「我が儘ですかね……?」
私は恐る恐る2人に聞くと、2人してクスクスと笑い始めた。
「いいんじゃない? 素直で」
「私もそう思います。では、今日からここに住んでください。改めまして、よろしくお願いしますね。ルナさん」
2人は、私の意思を尊重してくれた。
───こうして、アランさんから『魔術』を。ルイさんからは『魔法』を教わることとなったのだった。