アランさんがスライムを倒した後、私たちはひたすら森の中を歩いた。
何度か魔物に襲われながらも、魔術や魔法が使えない私の代わりに、アランさんが魔物を倒していき、ついに大きな鉄の門が見え、門番と思われる鎧を身に着けた2人の騎士が立っていた。
門番は私たちを旅人だと認識すると、門がゆっくりと開いた。
私とアランさんは、門のその先にある、大きな国に足を踏み入れた。
すると、人や妖精、様々な種族たちが目の前に飛び込んできた。
「エルフ! 妖精! 獣人にドワーフまでもが存在している!? やばい! 興奮する!」
「あまり、変な行動はしないでくれ給え。あいつに叱られるからね」
「分かっていますよ。私も目立ちたくありませんので、おとなーしくしていますよ」
多分だけど。
そう心の中で思いつつ、街の中を歩き回った。
市場や宝石店、武器屋などがあちこちにあり、実際に生で見ていることを実感し、心が高鳴る。
「色々見たいのは分かるけど、今日のところはひとまず、あいつのところに向かおうか。衣食住は保証すると思うからね」
「衣食住は、保証してもらわないと大変ですね! 行く当てありませんし私。アランさんは家あると思いますけど」
「
今は、アランさんの親友の元へ行くことを最優先にしよう。
なにせよ、エルフ族に会えるのだから! そう思えば、気合が入る!
「エルフに会えるので、頑張ります!」
スキップしそうになるのを抑え、アランさんの横を歩いた。
すると、背後から『アラン?』とアランさんの名を呼ぶ、低い声が聞こえた。
私とアランさんは後ろを振り向くと、エルフの特徴である長く尖った耳をした、アランさんと同じ身長くらいある男性がいた。
しかも、イケメンだ。
「おっと、久しいね! 元気にしていたかい?」
「えぇ。しかし何十年ぶりですかね? アランの顔を見るのは。それに……」
男性は私の顔をじっと見つめ、私は『どうも……』と頭をぺこりと下げると、男性はアランさんに真顔でこう言った。
「
「いや、人攫いじゃないからね!? 犯罪も犯したことないしねっ!?」
「アランさん自身、犯罪者みたいなものでしょ? 初対面で抱き着くし」
私がそう言うと、男性は右手に持っていた鞄から、お菓子を取り出した。
「私のアランが、どうもご迷惑をおかげしました。お詫びとして、今日私のおやつの予定だった、チョコサンドです。受け取ってください」
この世界にも、チョコサンドあったんだ!?
それに、めっちゃいい人!
「いえいえ。良ければ一緒に食べませんか? その方がおいしくなると思いますよ!」
男性をお誘いすると、目を輝かせた。
「よろしいのですかッ!? ありがたいです! 今日までの期間限定スイーツだったんですよ。2つあるので、私の家にご案内しますね! 私は、ルイと申します」
「初めまして、ルナと言います! ルイさん。よろしくお願いします」
「こちらこそ。では、こちらです」
───私たちの会話についていけていないアランをルイさんが、首根っこを掴んで引きずりながら、私はルイさんの家までついて行くことになったのだった。