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転生氷魔法使いと願いの果て
桃井桜花
異世界ファンタジー冒険・バトル
2024年09月07日
公開日
15,881文字
連載中
 夜のコンビニ帰りに、突然信号無視をしてきた大型トラックに撥ねられてしまった、山本照子。30歳独身。異常な寒さに目を覚ますと、そこは氷の結晶で出来た、洞窟の中だった。

 
 結晶に映し出される生前とは見違えるほど、愛らしい少女の姿へと、変わり果てた彼女の目の前に、『破滅の魔術師』と名乗る男性が現れた。


───これもまた運命というものか!


 男性の名はアラン。


 彼から『ルナ』と新たな名前を授けられ、彼にかけられている『破滅の呪い』を解くために、彼と契約をすることとなってしまったルナ。互いの自由を求めるために奮闘する物語。

 
 なのだが…。


──師匠! いい加減私から離れてくださいよ!  変態魔術師!


 何故か、ルナに懐いてしまうアラン。


 時に、ストーカじみた行為などなど。


 そんな、変態じみた破滅の魔術師と、元OLのドタバタ異世界転生ライフが、今ここに、始まる!!

人生終了のお知らせ

 普通のOLライフ。


 何事もなく、平和に暮らして生きていた私に突然、人生終了のお知らせとなる出来事が訪れてしまった。



 私の名は山本照子やまもとてるこ


 独身歴30年の普通のOL。小規模な株式会社に勤めている。


 毎日、後輩がやってしまったであろう、ミスの責任取りをし、上司のご機嫌取りをしながら、仕事に追われている今日この頃。


 そのせいか、体調を崩しがちの日々を送っている。


 だが、あの課長ハゲに、体調不良くらいで仕事を休むな! と怒鳴られる始末なため、仕事はやすやすと簡単に休めることなんてない。


 残業は毎日。


 しかも、残業代も存在し無い。


 いつか、あの課長ハゲを訴えてやる! そんなことを心の奥底にしまいながら、今日も残業代なしの残業を終わらせ、唯一の癒しが待っている、我が家へ帰る準備をし始め、夜の街へと足を踏み込んだ。



 家に帰る前に、癒しのお供となる酒とつまみを補充しに、コンビニに寄り道をし、信号が青になるのを待つ。


 ちなみに、私の癒しは漫画。


 BとLモノを読むのが、心と目の保養になる。


 会社の後輩や上司やらに「恋人を作らないなんてシンジラレナ~イ!」って言われたこともあるけど、人それぞれでいいじゃん! 恋人いないのは負け組なのかっ! と内心キレつつ、「あはは」と愛想笑いをするのが、ここ最近の日常に挟まれる。


 私の人生なんだから、放ってほしいものだ。


 まぁ、色恋沙汰には興味はあるけど、今のまま恋人がいない方が自由に生活できるし、漫画をわざわざ隠す必要もない。


 今の生活に苦はないから、案外充実している。


 なんやかんやで、左右の車が止まり、信号が赤から青に変わった。


 仕事用のかばんを右手に持ちながら、コンビニで買った酒とつまみが入ったビニール袋を、左手にぶら下げ、歩道に足を踏み込んだ。


 すると、反対側の車両から大型トラックが勢いよく走ってきて、停まることも無く……。



───その存在に気づいた時にはもう遅かった。



 トラックに撥ねられ、ドクドクと温かいものが、体内から流れていく感触と異様な痛みを感じた。


 周りにいた通行人らの声は、雑音にしか聞こえなかった。


 私に声をかけてくる者たちも。



──あぁ。眠くなってきたな……。



 私は睡魔に勝てず、夜空に目を向けたまま、そのまま眠りにつくために、まぶたを閉じたのだった。

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