「当時、
そのような人物が行方を
そのため、
そこまで言われて、
「それはつまり、
「理解が早くて助かります。
「しかし、
彼らは所詮、盗賊です。
盗賊は略奪によって生活基盤を得ている集団だ。
しかし、
「それは貴方の心配することではありません。
貴方が
貴方は戻って
それが私の唯一の要求です」
表向きには
この二つを崩さぬ以上、
これ以上の滞在は無駄と悟った
その去り際、
「これからの時代は郡や県といった小さな集まりで物事を考えてはいけません。この先は州という大きな枠組みで物事を考えねばなりません。
貴方も
得意気に語る
「
〜〜〜
真っ先にその姿を見つけた僕は、急いで
「
僕に続いて、
「督郵の件についてだが……
君の過去について色々と話を聞いた。そして、
うちの陣営に来た者の過去は不問にする。それが、我が軍の決まりだ。
だから、無理には詮索しない。
だが、もしよければ君のことを教えてはくれないか?」
そう言われ、僕らは一斉に
(
知らないぞ、そんな歴史)
僕は事態が飲み込めないでいた。
確かに
しかし、この
当の本人の
「そうですか。私の過去を……。
そう言われては仕方がありません。全てをお話しましょう」
僕らは庁舎の中へと場所を移し、
先に口を開いたのは
「俺が
そして、
それは未来から転生してきた僕も知らない話であった。
確かに
しかし、この世界の住人は僕の知っている三国志の人物とは少し違う。この世界の
「なるほど、大方はまちがっておりませんな。
私は幼少の時分より体に恵まれ、人よりも力がありました。そして、武芸を習えば数年で師に勝てるほどの腕前に至りました。
そのために昔は自分こそ特別な人間だと、
そう語る
それから
〜〜〜
「
やはり、この
身体に恵まれた私は、十七、八の頃には村一番の強者となっておりました。それに飽き足らず、強いと聞けば他県にまで赴いて相手を倒して回る日々を送っておりました。あの頃の私は自身の力に溺れておりました。
そんなある日の帰り道、奴らに
「今日もいい収穫だったな!」
「これも全て頭目のおかげです!」
「ガッハッハ。
この辺りで俺より強い奴はいないからな。盗み放題よ!」
それはとある
「奴ら、最近名前を聞く盗賊か。
『俺より強い奴はいない』か。大きく出たな。
良いだろう。その腕、試してやろう」
怖い物知らずであった私はそのまま盗賊の中へと入っていきました。宴会の最中ということもあって、咎められることも無く入っていけました。
「なんだ、お前は?」
「おい、なんかあったのか?」
しかし、まっすぐ頭目の元へと向かう私を、次第に周囲の者たちは騒ぎ出しました。ですが、あまりにも堂々と進むものだから、取り押さえようという者も現れませんでした。
「なんだ、テメー。
見ねえ顔だな?」
私は何不自由なく頭目の目の前へと行くことができました。
「ヒック、テメーもしかして俺たちの仲間に入りてぇのか?
ここまで来たクソ度胸に免じて腕を試してやってもいいぞ」
「そうだな、試してもらおうか」
「ああん!
なんだ、その態度は!
ナメてんのか!」
頭目が剣を抜いて立ち上がろうとした瞬間、私は護身用の刀を抜き放ち、その男を頭から真っ二つに斬り捨てました。
あまりに突然の出来事で、盗賊たちも何が起きたのか理解出来ず静まり返りました。
「テメー、何しやがる!」
頭目の側近くにいた数人の男たちは激昂すると、各々矛や剣を手に立ち上がり、襲いかかってきました。
「まるで遅い!」
私は返す刀で男たちを即座に斬り伏せました。
「もっと強い者はいないのか!」
私は盗賊の連中相手に叫びましたが、もはや誰も応ずる者はおりませんでした。
「貴方様より強い者はおりません。
我々は貴方様に従います」
残った盗賊たちは私の腕に恐れをなして、一人残らず家来となりました。
その日から私は盗賊の新たな頭目となったのです。
盗賊の頭目には自らに別に名をつける風習がありました。白馬に乗るから
「名前ばかり
そうだな。俺は誰よりも武芸に長じている。
『
これが盗賊・
「強いと思う奴は俺と戦え!
弱いと思う奴は俺に従え!」
以降、私は盗賊の頭目として近隣の盗賊に戦いを挑んでいきました。強い者がいると聞けば斬り殺していき、残った者を自分の配下へと加えました。
そうしていつしか、私の配下は千人を数えるまでに増大しました。
「弱いお前たちは俺の言う事を黙って聞いていればいい!」
あの頃の私は力こそ全てと考えておりました。自分より弱者を見下していました。部下であっても
しかし、急速に拡大する私はすぐに目をつけられてしまいました。
相手は
「百万の衆といえども
奇襲をかければ我ら千人でも十分勝機はある!」
そんな中、私の配下が敵の伏兵の居場所を突き止めてきました。私は反対に奇襲をかけようと攻め込んでいきました。
しかし、告げられた場所で待ち受けていたのは……。
「何故だ! 何故、我が軍が敵に反対に包囲されているんだ!
俺は敵の罠に嵌められたのか!」
そこには我々を包囲する数万の
《続く》