目を覚ますと、僕はカニになっていた。
カフカの小説のようだが、本当の話だ。
ハサミは動くし、口を開けばあぶくが出る。
困った。実に困った。
ありがたいことに、こんな姿になっても家族は面倒を見てくれる。
もともとカニが大好きな家族なのだ。
茹でたり焼かれたり、刺身にされて、心底後悔したけれど。