おじいちゃんは戦地で、
おばあちゃんの味噌汁のにおいを嗅いだらしい。
お兄ちゃんも海で溺れた時に、
お母ちゃんのカレーのにおいを嗅いだ。
死の恐怖が食べ物と直結しているのは、
おそらく家系なのだろう。
セスナ機が雪山に落下し炎上した際、
そんなことを考えながら、人間の焼けるにおいを嗅いでいた。