***と***の間は濡れ場です。抵抗のある方は飛ばして読んで下さい。
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憔悴しているパトリツィアを見てルイトポルトは胸を痛めた。
「ごめんね、僕の力が足りないばかりに……でも君とラファエルの命は絶対に助けるから、僕を信じて」
「はい……」
「こんな話で疲れたよね。今日はもう寝よう。僕は自分の部屋に戻るよ。愛してるよ、パティ、お休み」
ルイトポルトは、パトリツィアの額にキスをしてソファから立ち上がった。パトリツィアはルイトポルトが自室へ戻ると悟り、彼のガウンの袖を掴んだ。
「パティ、どうしたの?」
「ルイ兄様……私を本当の妻にして」
「何を言ってるの? 君は僕の本当の妻じゃないか」
「私、知ってるのよ、ルイ兄様が本当は私を抱いていないってことを」
普段、ポーカーフェイスのルイトポルトもこの時ばかりは動揺を隠しきれなかった。
「兄様を信じてる。でも私が離宮に行ったら、もう兄様に会えないかもしれません。その前に私達が夫婦だってことをこの身に焼き付けたいの」
パトリツィアは立ち上がり、ルイトポルトに抱き着き、豊満な胸を押し付けた。彼女は寝間着の下に下履き以外何も身に着けておらず、柔らかい感触がルイトポルトの腹に直接響き、局部に熱が集まってきた。これ以上、身体を密着していたら、ルイトポルトはパトリツィアの身体を貪ってしまう。ルイトポルトは慌ててパトリツィアの身体を引きはがした。
「そ、そんなことしなくても、僕は君に会いに行くよ」
「でもお父様の断罪後、私は罪人の娘……兄様と私は2度と会ってはいけないの。お願い。兄様の愛を私の身体に刻み付けて……兄様に会えなくなっても思い出せるように……」
「あ、会えなくなるなんて、そんなことはないよ」
「いえ、そんな訳にいきません。だから今だけ……お願い、兄様」
上目遣いに涙が溢れそうな顔で懇願されてルイトポルトの理性は振り切れそうになり、パトリツィアを突っぱねていた腕の力が抜けた。すかさずパトリツィアがルイトポルトに抱き着き、彼女の甘い香りがふわりとルイトポルトの鼻腔をくすぐった。その瞬間、頭の中が空っぽになり、ルイトポルトはいつの間にかパトリツィアの唇を貪っていた。
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ルイトポルトはパトリツィアの肌に唇を這わせ、時々赤い花びらを散らした。するとパトリツィアは我慢できずに嬌声を出してしまった。
「はぁ……パティ、かわいいよ。もっと声を聞かせて」
「いやぁ……」
「嫌じゃないでしょう? 僕の愛撫で気持ちよくなってくれてる証拠なんだ。こんなに嬉しいことはないよ」
ルイトポルトは、まだ純潔を保っていた妻を焦らずにじっくりと時間をかけて愛撫した。彼女の身体がルイトポルトを受け入れる事ができそうになってやっと2人は結ばれた。その瞬間、これからの困難を忘れて多幸感に酔いしれ、ただひたすら抱き合ってキスをした。
「まだ痛い?」
「いいえ、でもちょっと圧迫感があるかも」
「そっか……でももう動いてもいいかな? このままじゃ辛いんだ」
「え? 兄様、これで終わりじゃないの?」
「うん……僕、まだイってないからね」
「じゃあ、兄様はまだ子種出してないの?」
「うん、これからだよ。でも妊娠しないように外に出すからね。後で避妊薬も飲んでもらう」
「兄様の子供が欲しいのに……残念だわ」
「僕だって君との子供は欲しいよ。でも君と僕の血を引く幼い子供がいたら、君の父に利用されかねない。全て終わってから子供のことは考えよう」
「……わかりました、兄様。残念ですけど、仕方ないですね……」
「うん……残念だけど、今は仕方ない。それじゃ、もう動くよ。僕の僕がもう限界だ」
ルイトポルトはゆっくり腰を動かし始めた。
「パティ、パティ、パティ……大好きだよ、愛してる……ああっ、もうイきそうだ」
「ああっ、あああ……兄様、兄様、愛してる!」
「パティ、イくよ!……ああっ、だ、駄目! 脚を外して!」
パトリツィアは、ルイトポルトが達しそうになった瞬間、脚をがっしりと彼の腰に巻き付けた。思ったよりも力強く巻き付くパトリツィアの脚にあらがえず、彼は欲望を彼女の最奥に吐き出してしまった。
ルイトポルトはしまったと思いながらも、パトリツィアからまだ離れがたく、抱き着いたまま彼女を責めた。彼は宰相を倒してその傀儡となっている父王を廃する前にパトリツィアを妊娠させる訳にはいかない。
「はぁ、はぁ、はぁ……パティ、駄目じゃないか。どうして?」
「ごめんなさい……例え芽吹かなくても兄様の子種を私の中に注いで欲しかったんです」
「出してしまったのは仕方ないけど……これを飲んで」
ルイトポルトは後ろ髪を引かれながら、パトリツィアから身体を離し、起き上がった。ナイトテーブルの上の水差しからグラスに水を注ぎ、丸薬と共にグラスをパトリツィアに渡して彼女が口の中に入れるまでじっと見つめていた。
「パティ、子種を掻き出すから寝台に腰掛けてくれる?」
「え? 恥ずかしいわ……」
「それとも侍女を呼んで掻き出してもらう?」
「い、嫌よ!」
「でしょう? さあ、こっちにおいで」
パトリツィアは渋々寝台に腰掛けたが、大股開くのは恥ずかしくて脚を閉じたままだった。ルイトポルトは少々強引にパトリツィアの両膝を開いた。その様子は、ルイトポルトの下半身に再び熱を取り戻させたが、今日まで処女だった妻に今は無理をさせるつもりはなかった。
ルイトポルトはパトリツィアの中に慎重に人差し指を沈め、子種を掻き出し始めた。すると初めての性交で達したばかりのパトリツィアの身体は敏感になっていて、ピリピリと刺激が走った。
「あっ、あん……」
「ごめんね、もうちょっとだから我慢して」
ルイトポルトの言葉は自分自身にも向けていた。さっき、あんなに大量の欲望を放ったばかりだというのに、彼の雄はまた芯を持ち始めていた。だがここは鋼の精神力で欲望を我慢し、子種を掻き出した後、布巾でパトリツィアと自分の股間を拭いた。ルイトポルトはそれに必死になっていてパトリツィアが口の中から何かを出したのに気付かなかった。
夫婦の寝台は、色々な体液でドロドロになっており、とてもじゃないが、そこで眠ることは無理だった。2人が身体を繋げたことをベネディクトにばれないように後の始末はアントンに任せ、2人は内扉からルイトポルトの寝室へ移った。
「パティ、おいで。一緒に寝よう」
隣同士で眠るよりももっと過激なことをたった今したばかりなのに、パトリツィアは照れてしまった。今までの閨では、パトリツィアが達して意識朦朧になった後、ルイトポルトがいつの間にかいなくなっていて翌日起きると寝台に1人で横になっていたからだ。
おずおずとパトリツィアがルイトポルトの隣に横たわると、ルイトポルトは横向きになってパトリツィアの身体に手を回した。おやすみのキスを頬にした後、疲れていたルイトポルトはいつにもなく早く寝入った。ルイトポルトの寝息が聞こえるようになると、パトリツィアは眠れないまま愛しい夫の穏やかな寝顔をじっと見つめた。
「兄様、ずっと愛してる。ありがとう……さようなら」
パトリツィアの瞳から一筋の涙が頬に流れた。
翌朝、王太子妃パトリツィアの姿は王宮から忽然と消えていた。