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私は貴方を許さない
白湯子
異世界恋愛ロマファン
2024年09月06日
公開日
48,689文字
連載中
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

プロローグ

彼を見た瞬間、世界が止まった。




心臓がどくりどくりと嫌な音を立て、指の先までその鼓動を訴える。


先程まで、社交界デビューに心躍らせていた自分が嘘のよう。






「テオドール皇太子殿下、こちらが娘のエリザベータです。」


「あぁ、という事は明日が入学か。」


「えぇ、本当は息子も来るはずだったのですが、熱を出してしまいましてね…」






父と彼が何か話しているが、内容が頭に入ってこない。代わりに入ってくるのは膨大な1人の女性の記憶。






―あぁ、思い出した。






これは私の記憶だ。


今のエリザベータ゠アシェンブレーデルではなく、300年前のエリザベータ゠コーエンの記憶。


どうして今まで忘れていたのだろうか。




絹糸のような長い金色の髪に、深い海を思わせる美しいサファイアの瞳。高い鼻梁と精悍な顎を持つ男はまるで芸術品のよう。


こんな美しい男の顔を見間違えるはずがない。何故なら私はずっとこの顔を見てきたのだから。






―この人は…






「アルベルト様…」






声にならない、吐息ほどの声量が口から溢れ落ちる。


アルベルト゠ブランシュネージュ゠ノルデン皇太子殿下。




300年前私を殺した男の顔、そのものだ。



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