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村娘だけど実は勇者の転生者でした
ちびだいず
異世界ファンタジー冒険・バトル
2024年09月06日
公開日
18,960文字
連載中
※ダークファンタジーです。精神をえぐるような表現が多いため、注意してください。

ただの村娘であった【エリシア・デュ・リナーシス】は自分が転生者である事を告げられた。
しかも、元々は勇者として召喚された男性の転生体だったのだ。
自身の勇者である宿命と向き合い、戦う果てに同じくクラス異世界転移の悪漢も勇者としてこちらの世界に転移してきていて……?
悪漢にいいようにやられ、大切なものを無くしたたエリシアは魔王討伐とともに復讐を目指す!!!
だけれども、それには多くの困難を乗り越えることになるのだった。

小説家になろうからの転載連載になります!
最新話まで読みたければURL貼ってるので読むのじゃ!
https://ncode.syosetu.com/n7747fb/

プロローグ

 それは不思議な夢だった。

 それは、1人の人間の人生の夢であった。

 夢の中の人物の両親の顔も、夢の中の人物を兄貴と慕う弟も、隣の家に住む可愛い少女も自分は知らない。

 街の中の様子も、食べている料理も、自分は知らなかった。

 ただただ、ひどく懐かしい、できるならもう一度確かめたい気持ちにかられるだけであった。


 この夢の中の人物の最後の記憶はこんな感じであった。

 カラフルな石で出来た建物、木材とは思えない材質の床、見たこともない着物、黒髪で黒い瞳の男女が集う学校みたいな場所。

 そこは確かに学校だったようだ。

 貴族の着る礼服──タキシードというものをもっと庶民風にアレンジしたものであるだろう、スーツを着たおじ様が、ブラックボードにチョークで記号を記載していたのだから。

 見覚えの無い記号だが、それが文字だということ、ニホン語であること、そして、その意味はすんなりと頭の中で理解できていた。

 自分の知らない国の言葉が理解できるというのは、夢の中だとしても不思議な感覚だった。

 休み時間に入ったら、男性の黒い詰襟の着物──学ランを着た学生と自分が楽しくおしゃべりをしていた。

 当たり前のようでいて、それは不思議な気持ちだった。

 なぜなら、自分が接点のない男性と喋るというのはないだろうからである。

 夢の中ではさまざまな、自分の常識にはない知識が身についていった。

 特に、ブツリ・カガクと言うのは自分は知らないはずなので、とても面白かった。

 残念ながら、この夢の当事者は興味がないようではあったが。

 そんな楽しい学生生活も、突然終わりを見せる。

 神様を名乗る人物が頭の中で話しかけたのだ。


 曰く、これから異世界に召喚されると。

 曰く、異世界には魔王がいるのだと。

 曰く、異世界には勇者が必要なのだと。


 夢の中の人物の趣味で、そう言う、自分の知る世界に似たような世界に転移・転生する小説をよく読んでいたので、そう言うことなのだと、夢の中の人物は理解したらしい。

 1人の学生が断るが、神様を名乗る人物は、自分ではどうも出来ないこと、だからその代わりに特典をつけると言う。

 自分たちにふさわしいスキルを授けると言うと、夢の中の人物のクラスメイト達の体が光りだす。

 夢の中の人物も同様で、戸惑っているようであった。

 そして、足元に魔法陣、これは自分も知っているが、見たこともないものであった──が展開される。

 そこで、夢の中の人物の意識は光へと消えていくのだった。


 ──ああ、これが、前世の自分の、いや、あたしの記憶だなんて、思っても見なかった!

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