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チート4:未来視

「マケール様、貴方は既に廃嫡されてましたのよ。ですから私とは婚約してないし、そこの男爵令嬢も王妃にはなれませんわ」

 なるほど、今回はそういう理由で婚約破棄失敗したパターンなんだな。マケールが思ったのはそれだけだった。既に彼は、婚約破棄や真実の愛などどうでも良くなっていた。彼の目的はここから逆転してざまぁする事のみ。

「マケー!」

 マケールが本日のビックリドッキリチートを発動させると、衛兵が掴みかかって来るビジョンが見えた。

 そう、今回選ばれたチートは未来視。時間操作系はどれも強力な反面デメリットが多いので、一番リスクの少なさそうなこれが選ばれたのだ。

「マッケー!」

 衛兵の動きを先読みしたマケールはその場に倒れ込み、衛兵に掴みかかられる未来を回避した。そうしたら、マウントポジションを取られてボコボコにされた。

「マケー?」

 マケールが未来を変えた事で、衛兵の行動も変わったのだ。というか、衛兵からしてみたら、マケールが勝手に不利な体勢になってくれたので、捕まえやすくなっただけである。

「マケマケ!」

 再度未来視を発動するマケール。マウント継続して顔面殴る衛兵が映し出された。

「マケッマケ!」

 マウントを出る知識も技術も無いマケールは、なおも未来視に頼る。変わらず衛兵はマウントハンチを続けていた。

「マケ…」

 未来を見てもマウントハンチ、現実時間でもマウントハンチ。マケールは体感二倍の時間殴られ続け精神が崩壊していった。


■ ■ ■


「チートが無いと何も出来ない未来を見ても、チートが無いからざまぁされるだけだよね」

「チートが無いと何も出来ない未来を見ても、チートが無いからざまぁされるだけだよね」

 女神が二回同じ言葉を繰り返したのを聞き、マケールはこの場所に戻って来た時も一瞬だけチートが消えずに残ってるのかなと思った。

「それで、次回のチートはどうするの?」

「マケケ」

 今回は早々に詰みの状態になってしまったから、その分次回のチートを考える時間があった。マケールは、衛兵にマウントされながら考えていたチートを宣言する。

「マケケマケケケ」

「こりゃまた、随分シンプルなチートね。でも、頭の良くない君にはこのぐらいのが良いかも知れないわね。じゃあ、行ってらっしゃい。私は白米食べて見てるから」


 マケールは学習した。これまでの敗因は、女神がチートの意味を履き違えていた事や、マケールがチートの内容を正しく理解していない事や、単純にそのチートに状況を打開する力が足りなかった事がある。

 だから、今回は女神もマケールも解釈間違いがしようが無い、そして間違いなく強いチートを選んだ。



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