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Snow blossom
もちっぱち
現実世界青春学園
2024年09月06日
公開日
61,750文字
連載中

【桜のように儚く、雪のように溶けてしまうような物語】

朝のざわざわと騒がしい昇降口、雪と亮輔は双子の姉妹、桜と瑞希と出くわす。

雪は桜とのぶつかり合いで不思議な感覚に包まれる。

クラス発表の瞬間、雪は桜と瑞希が違うクラスになることに気づき、再び運命のいたずらに思いを馳せる。

新たな学園生活が始まる中、雪はどんな出会いやドラマが待っているのだろうか。

第1話  雪と桜

粉雪が降っていた。


もう春だというのにまだ寒い。

ダウンジャケットが手放せない。

手袋の上に雪が舞い降りた。

よく見ると結晶の形になっている。

漫画やポスターなどのイラストに

結晶の形が描かれるが、凝視しないと見れないものだ。

大きく描くのはなんでだろうと疑問を感じる時があった。

可愛いデザインだからまあいいか。


耳に骨伝導のイヤホンを付け直す。

空から降る雪を見てから、右側に目をやると桜が満開だ。

ひらひらと粉雪と共に桜の花びらが舞っている。


今年も、冬と春が一緒の季節だ。

寒くても桜が咲く。



「さくらー、早く行こうよ。 電車乗り遅れるよぉ」

「うん、わかってる。 だって、雪がつかめたから」


さくら瑞希ゆずき 双子の姉妹だ。今年の春から同じW高校に通う。 自宅から約10分歩いたところの駅から

高校の最寄りの駅まで通学する。


「ねぇねぇ、やっぱ姉妹だと同じクラスにはなれないよね」

「そりゃぁ、無理っしょ。同じ顔では先生が困るから」

「そうだよね。クラス違うのいいけど、また好きな人、一緒にならないといいなぁ」

「努力するよ」

「好きな人って努力して決めるの? 桜、変だよ」

「なんとでも言って。それが、私の生き方だから」


姉である桜は双子でも我慢することが多い。中学時代に瑞希と好きな人が同じで同時に告白して同時に振られた。同じ顔じゃ決められないと断られた。もう同じ失敗したくない。青春は謳歌したいのだ。姉として、多少我慢しても本命じゃない誰かと付き合いたいものだ。


「そういう生き方もあるんだね」


 瑞希は姉の桜の気持ちなんて知りもしない。双子でもわからないこともあるのだ。電車の発車ベルが鳴る。ホームに粉雪が舞って風が強く吹いた。

 今日も足先まで冷える寒さだった。



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