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不思議な言葉
Akikan(仮)
文芸・その他ノンジャンル
2024年09月05日
公開日
35,039文字
完結
赤ずきんと呼ばれる少女と言葉を話す老狼が宛てもなく何でも屋をしながら大陸を旅する。時にまったり、時に寂しく、胸の奥が締め付けられる不思議な言葉を知るまで。
別サイトで投稿したものを修正、加筆して投稿しております。

出会いの話

 親切な狼は、おばあさんをぺろり、と食べてしまう。

 知恵もある狼はおばあさんの服を着て、布団を顔までかぶって女の子を待った。


 どれだけ時間が経ったのか、真っ暗な時間になってもやってこない。

「おかしいな」と、気になって扉を押し開ける。

 外に、狩人がいた。振りかざしたナイフが右目を切り裂く。

 張り裂ける痛みと暗転に、転がりまわる。


「ひどい、なんてことするの?!」


 女の子の悲しい叫び声が尖った耳に届いた。


「お嬢さん、この狼はおばあさんを食べたんだよ。我々と同じ言葉を話し、人を騙す恐ろしい獣だ。さぁ腹を裂いておばあさんを助けてあげないと」


 悲しみと同時に怒りの感情が、手を震わす。

 狼は左目に一生忘れない出来事を焼き付けた……――。


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