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第34話 ボヘミア国調査④報告編

 ◇



 以前は貴族会で使われていたある一室で、私を含む13人の人が円卓を囲んでいた。


「それでは早速報告を行おうと思います。まず、ここにいる6名が新たな十二月として加入いたします。自己紹介などはまた後ほどお願いします。それでは今回のボヘミア国調査の報告を行わせていただきます。まず、私とファラスの報告から」


「にゃははは」


「...ガープ...何が言いたいことでも?」


「いやぁ、最近丸くにゃったとか聞いていたにゃけど、今の雰囲気はまるで...昔のセバス様のようだなと思ったり?」


「...別にそんな空気を出しているつもりはないのですが」


「にゃにゃw」


「...では報告について。噂通り、一部の奴隷商人たちは撒布金を独り占めをしておりました。その人物については既にこちらで処分いたしました。後ほど奴隷一人一人に分配し、借金がなくなったものなどは解放してあげてください。今後も同じように独占する人が出て来るやも知れませんので、くれぐれもご注意ください。また、優良な奴隷商人としては...」


 そうして、一通り報告を終える。


「以上となります。では、次は...ガープから報告を」


「にゃにゃ!!にゃたしは主に動物から情報収集したにゃ!まず、新しい王である、ア...ラン様については悪い噂は聞かにゃいにゃ!まぁ、こんな風にお金を配ってくれるにゃんて、にゃにか裏があるのでは?と思っている人もいるみたいにゃけど、基本的にはみんな感謝してるにゃ!暮らしも前よりは安定しるらしいにゃ!それと...1個面白い話を聞いたにゃ!」


「...面白い?」


「にゃにゃ!三将官についてにゃんだけど、にゃんか彼らがいなくなる前にルノア大国の一人と話をしているというのを、みかけた猫がいたにゃー!もしかしたら、潜伏先はそこかも知れにゃいにゃ!」


「...なるほど。興味深いな」


 世界五大国...アルツ大国、ガラン大国、サヴィア大国、ミスカ大国...そして、ルノア大国。


 元々は四大国だったがルノア大国の急成長により、四大から五大に変わったのだが...。


 思っていたより遥かに大きなところと絡みがあったということか。

俺たちの潜入を事前予期したところから、そういう未来予知ができる何者かがいるということなのだろう。


「...では、次の報告を」


 そうして、報告会は無事終えたのだが...。


「気になりますか?」と、アモンがコーヒーを手渡しながらそんなことを言う。


「...私が思っているより...いや、ラン様が思っているより遥かに大きな敵かもしれないと考えると...ね」


「旧十二月のメンバーから話を聞きましたけど、やはり接触はないようですね。こちらに戻ってくることはないでしょう」


「...大国ともなれば戦力は未知数...。それに三将官が加わったとなれば他の大国にとっても脅威になり得るかもしれませんね」


「...他国と手を組むつもりですか?」


「組むことも考えるという選択肢は持っておいた方が良いかと...思ってね。というより、遠くないタイミングできっとどこからそういう話は来るだろうしね」


「そうかもですね。それが友好関係ならいいですけど」



 ◇某大国


「...ボヘミア国から逃げた三将官ですが、どうやらルノア大国に亡命したようです」


「あらあら、油断も隙もありまへんなぁ...。戦力もどんどん増してきて...そろそろうちも本気で動かんと...。それで?【X】はんについての情報は?」


「未だ集まっておりません」


「ほんま、謎だらけな人やわぁ。けど、嫁はんは居る様子はないんやろぉ?あの人ほど私の隣にふさわしい人もおらんやろうし、そろそろ本気でアタックしに行くのも一興やなぁ...」と、舌なめずりしながら彼女はほくそ笑むのであった。



 ◇


「うううぅ...なんかすごい寒気がした」


「...風邪ですか?」


「いやー、多分違うと思う。なんか...うん。誰かに狙われているような...そんな感じの悪寒?的な...」


「大丈夫です。その時は...私が守りますから。それより...なんでラン様のベッドにリベルとナーベが居るんですか...?」


「それはこっちのセリフよ!私が一番最初に来てたのに...。しっしっ!お子ちゃまとおばさまは帰った帰った!」


「おばさま...?あらあら、まさかそれ私に言ってるわけじゃないわよね?もしそうなら...あなたにはきついお仕置きが必要になるのだけれど?」


「...あの...俺、眠いんすよ。まだ朝5時ですよ。みんな元気だね...。ぐーぐー...」


「イタズラしよっか」


「ええ、そうしましょう」


「...杖はあるよ?」


 そうして、魔法で顔に落書きされた俺は洗面台で発狂するのであった。

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