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第27話 動き出すものたち

「なるほどねぇ...。あーそういや、ボヘミア国について何だが...十二月は倒したけど、三将官はどうやら逃げたみたいなんだけど。どういう奴らかって知ってる?」


「残念ながら知らないわね。私はあくまでおおまかなストーリーをメインに描いてるから。存在として作りはしたけど、細かい設定についてはノータッチよ」


「つーか、あのゲームは基本このルビー国メインでしか描かれてないし...。バトルも基本はダンジョンメインだもんな...」


「けど、メタ的な発言するとあなたより強い人は存在しないはずよ。そういう設定だから。だから...あなたが炎呪を受けたということを聞いたとき正直驚いたわ」


「...まぁ、キャラクターがいくら強かろうと操作する人間が弱けりゃ意味ないからな」


「...そうね。ところで炎呪...だいぶ痛みが引いているんじゃない?」


「うおっ、そういえば...」


「炎呪は本来一生残る呪いになっているけど、ナーベ・カルシュだけが使える【神のご加護】というスキルを使うと完治することができるのよ。まぁ、合計30回繰り返す必要があるのだけれどね」


「...最初に言っていたあれか。夜這いとか言ってたのももしかしてそれが目的だったのか?」


「まぁね。勿論、あなたに夜這いしたかったというのもあるけど」


「...エロ女」


「あら、どうせ嫌いじゃないのでしょう?エロ男」


「っぐ...!」


「最後に言わせてもらうと、現状は既にイレギュラーな状態にあるわ。私の考えたシナリオにはないからね。だから、忠告しておくわ。気を付けて...。そして、死なないで。私たちのためにも」と、言い残して部屋を出ていくのだった。


「...おう」



 ◇世界五国会議


「最近、小国のほうでイレギュラーが発生したようやなぁ」


「そのようだな」


「みなさん、相変わらず耳が早いどすなぁ~」


「ふぁあ...ねむぃ...もうかえってぃい?」


「...」


 年に1回開催されるこの世界五国会議...。

今回は僻地の島国で開催されることになっていた。


 自己紹介が遅れました...。

私はこの島国でメイドをしております、ヴィッシュと申します...。


 王の命令を受けお茶汲みに任命されたのですが...、張り詰めた空気に耐え切れず今すぐに吐いてしまいそうです...。早く終わってよ!!!


 すると、ワルシャ国代表であるメルドオール様が私の淹れた紅茶を一口飲む...。


 眉がピクっとする...。やばい...口に合わなかったかな...。


「この紅茶を淹れてくれはったのは...あなたどすかぁ?」と、満面の笑みで私を見つめる。


「は、はい!!!」


「あらあら、元気な子やなぁ...。これえらい美味しい紅茶どすなぁ...。あなたは何年目なん?」


「...えっと...メイドとして雇われて...3年目です...」


「そう。それはそれはえらい腕前どすなぁ」


「ありがとうございます!」


 や、やったー!!!なんか褒められた!!!


「相変わらず性格の悪い女やな...」


「何の話どすかぁ?」


「喧嘩はよせ。そういう場ではないだろう」


「すぴー...すぴー...」


「...」


「てことで、現状、【X】について情報を持っている人はきょーっしゅ!」


「「「「...」」」」


「そういうのは言いだしっぺからというのが筋だと思うが?」


「言いだしっぺってwまぁ、そうやな。正直、うちはマジでなーんにも知らんのよな。そもそも、距離がありすぎて情報が入ってこんし。けど、あの【業火の龍】を単独で倒すくらいなんやからその実力は疑いの余地はないと思うんやが...。現状は狙いもわからんし、うちらのような大国に挑む気なのかもわからんからな」


「そうやねぇ、あくまで噂どすが先にちょっかいを出したのはボヘミア国らしいし...」


「まずは様子見...がいいだろうな」


「zzzz...」


「...」


「そこでや。一つ提案があるんやが、向こうの狙いなどが分かるまでは一切関与しない、そういう取り決めをしようと思うんやけど?」


「そうどすねぇ...万が一私たちの中で【X】はんと手を組もうものなら、五国のバランスは崩壊するやろしねぇ...」


「不干渉...まぁ、自国が攻められたりしなければということでなら賛成だな。虎の尾を踏むことになるかもしれないしな」


「ぐぁ!!...ぐー...ぐー...」


「...」


「もし手を組んでいることが分かればその時は残り4国が連合軍となり潰すってことでええか?」


「私はかまいまへん」


「俺も同意だ」


「「...」」


 ...これ実質三国会議だよね?


「てことで決まりやな。あいつらには後日俺から伝えておくわ。そんじゃ、次の話題に移ろうや」


 ちなみになぜ私が退出せずここにいるかというと、開催国は中立な立場として議事録を録る必要があるからだ。まぁ、紙に書くのではなく私の場合には脳に刻んでいるのだが...。


 そうして、約3時間ほどで会議が終わるのだった。


「...ふう」


 4人はそれぞれ部屋を出て行ったのだが...あの人はいまだに寝ている...。


「...あの...終わりました...けど」と、仕方なく起こすと「ふぁ!?まじかよ!寝ちゃってたよ...わぁ...またじいじに怒られるよ...」


 こんなのが大国の代表で大丈夫なのか?と思うメイドのヴィッシュであった。

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