「...それで今日はどんなことしてたんですか?」
「どんなことって...大したことじゃないよ?普通に話し合いして...ご飯食べてみたいな?」
「ダンス踊ったりとか...そういう...触れ合いみたいなのはなかったですか?」
「ないない。俺踊れないし...」
いつも通りベッドに入っている俺と、そばの椅子に座るアインちゃん。
「けど、やっぱ慣れないな。ああいう場は。自分が浮いてるなーっていうのがよくわかるというか...うん」
「次は...第二妃である私を連れて行ってほしいです」
「え?第二妃?」
「...はい。リベルちゃんと話し合って...その...私が第二妃になることになりました」
「...そっか。アインちゃんが連れて行ってほしいなら全然いいけど...そんな楽しいものではないよ?」
「...いいんです。それでも...」
「そっか...。あぁ、そうだ。本読んだよ。お勧めしてくれてたやつ。すごく面白かったよ...けど」
「けど...なんですか?」
「あぁ、いやなんでもない」
言いかけたのは...その...あの小説では濡れ場がかなりしっかり描かれており...その...うん。やっぱり何でもない。
あー、やばい...。眠くなってきた...。
「...ごめん...だいぶ限界っぽい。話している最中に寝落ちしちゃったらごめん。」
「...わかりました」と、もぞもぞとベッドに入り込むアインちゃん。
「ちょい!!何してんの!?」
「...あの小説でも...こういうシチュエーションありましたよね?」
「...いや...大分シチュは違った気が...」
「細かいことはいいじゃないですか...。その...したことありますか?ラン様は」
「...いや...ないっす...。(前世含めて)」
「...私もないです...。なので、うまくできるかわからないですけど...「何してるの?」
その声に二人ともびっくりして飛び上がる。
急いで電気をつけるとそこに立っていたのは...何とも純粋な目をした女の子...。
確か...リベルの妹の...下の妹ちゃんのほうか...。
「あ、えっと...リュカちゃん?」
「そうだよ!何してるの?リュカも混ぜて混ぜて!」と、ベッドに入り込んでくる。
「ちょいちょい!」
「あはははは!」と、俺の懐に入り込んでまるで胎児のように丸まる。
「ちょい...リュカちゃん...」
後ろからすごい殺気を感じるんだが...。
「...そうですか。...あなたもライバルになるんですね」と、そのまま背中に抱き着かれる。
「ちょい!!アインちゃん!?」
「...負ける気ないですから...私...」
「あはあは!」と楽しそうなリュカちゃん...。
勘弁してくれよー...。
そうしていつの間にか眠ってしまう俺であった...。
◇
バチン!!と、頬を強く叩かれて目を覚ます。
「いった!!」
「...痛った...じゃないわよ。あんな何してんの?」
「...へ?な、なにが?」
俺の上にまたがり激怒していたのはリベルだった。
「...何がじゃないでしょ。リュカと...一夜に共にしたの?てか、アインも寝てるし...何考えてるの?妹に手を出したら殺すわよ?」
「いやいや!!誤解だ誤解だ!!」と、事情を説明しようとしているとリュカちゃんが目を覚ます。
「あ...お姉ちゃんだー。おはよー」
「...リュカ、こいつに何もされなかった?大丈夫?」
「んー?うーん...気持ちいいことしてもらった!!」
はいアウトー。ねぇ、これわざと言ってるよね?だよね?と、天真爛漫な笑顔を浮かべているリュカちゃん...。
「そ、それって...//はい、殺す。殺すしかないよね」
「いやいや!気持ちいことってあれでしょ!マッサージ!ね?リュカちゃん!」
「うん!マッサージ!」
「言い訳は問答無用...くらえ!!」と、重い一撃をお腹に受けるのだった。
◇
「はぁ...朝からひどい目にあった...」
「そ、そう...ですね...」と、優しく笑うアインちゃん。
「アインちゃん。...アインちゃんは家族と会いたいとかはない?」
「...ないですね。私は両親とあまり仲良くなかったですから」
そう。なぜ俺がアインとナーベの家族はここに連れてこなかったのか。
それは二人とも問題を抱えているからだった。
しかし、その事情を知っているのはあくまで俺があのゲームをやっていたから...なわけで、内心では家族には会いたいとかあるのか、またリベルだけ特別扱いしていると思っていないかが少しだけ不安だった。
「...そっか。じゃあさ、代わりに俺にしてほしいこととかない?」
「...そばにいてくれれば...それだけでいいんです」