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第6話 第一妃

「...ふぁああ...」と、盛大に欠伸をかます。


「大きい欠伸ですね...」と、アインが優しく笑う。


「...欠伸王目指してるから...ふぁあああ」


「ふふふ...でも、元気になったよかったです」


「心配かけたね」と、頭をポンポンすると顔を真っ赤にするアイン。

可愛い。実にかわいい子である。かわいい子には旅をさせよとあるが、この子には旅などさせたくはない。愛でていたい。ずっと愛でていたい。


「...あの...その...私たちを...奥さんにするって言ってたじゃないですか...?あれは...その...本気なんですか?」


「本気に決まってるだろう?冗談でプロポーズなんてしない」


「...そう...ですか。ではその...その場合は第一妃は...誰になるんでしょうか?」


「...それは...考えてなかったな。第一とか第二とか結構気になる感じ?」」


「ら、ラン様はそういうので分けるつもりはないというのはわかりますが、世間から見れば結構その...違いはあるかなと」


「...なるほどな。うーん。じゃんけんで決めるとかは「さすがにダメです」と1秒で止められる。


「...っつてもどうやって決めるべきなのかわからないし...」


 その後はアインを部屋に返して、一人で真剣に考えてみる。

確かに、奥さんにすると連呼していたが実際、本気で考えているならそういうのをなあなあにするわけにはいかない。


 ちゃんと決めないとだよな...。


 年齢的に考えるなら、①ナーベ(21歳)②リベル(17歳)③アイン(16歳)...か。

これが一番簡単ではあるな。


 そのほかの決め方だと...。生まれとか...?

リベルは元貴族なわけだし、そういう点で考えれば第一妃としてふさわしいといえばふさわしいのか?


 単純に俺の好みでいえばアインが一番なんだけどな...。

すげー尽くしてくれそうだし、可愛いし。

逆にナーベを第一妃にしたらすげー尻に敷かれそう。


 うーん、弱ったな。ここはセバちゃんに相談するべきか?


「...何を悩んでるのよ」と、リベルが扉の前に立っていた。


「うぉ、びっくりした...。ノックくらいしてくれよ」


「ノックしたわよ。返事がないから心配して入ってきたらなんか真剣に考えこんでるから...」


「心配してくれたの!?ウルウル」


「心配するでしょ...そりゃ//」


「いやーん可愛い//」


「そ、そういうのいいから!//何を考えてたのよ!」


「まーそうだねー。第一妃を誰にするかとかそういうのをな」


「なーんだ、そんなこと?」


「なんだよ、そんなことって。対外的には意外と重要だろ?やることだって色々違うだろうし...」


「それなら私以外を第一妃にしなさい」


「...それはまた何故?正直、お家柄とか立ち振る舞いを考えれば、リベルが一番だと思うが」


「そういう部分は教えれば誰でもできるわ。地方貴族のあなたは知らないかもしれないけど、私を妬んでいた人間も多かったから。お父さんに事業を進めてきたのもその貴族の1人だし。そういうのを考えても私は不向きってこと。それに...」


「それに?」


「それに私は妃に相応しくないから。大事な王子様をダンジョンに向かわせる原因を作った私にはね」


「それは気にしなくていいって言ったろ?いつかは尽きてたし。タイミングの問題だろ」


「...いいわよ、私は。家族まで救ってもらって、それ以上は望めない。どっちかが成りたいならどっちかを選んであげて。もし、どっちもやりたくないならその時は私がやるから」


「...まぁ、そういうことなら...。けど、こういうのは今回きりだからな。これでフェア。貸し借りなしだ」


「...これで貸しを返したことには「なる!俺がなるって言ってんだからなるの!分かったな!」


「...分かったわ」と、部屋を出て行った。


 そっか...となると、あとはナーベ次第か。



 ◇夜


 全員でご飯を食べ終わった後、ナーベを部屋に呼んだ。


「お待たせ」


「...って、なんだその覚悟を決めたような顔。そういう誘いじゃないぞ」


「何よ、違うの?」


「ちげーわ」


「じゃあ何の用?」


「第一妃について...だな」


「はぁ、なんだそんなこと?順当に行けば私だけど。年齢的にも。何を悩んでいるの?」


「...いや、ほら、一応結構違うわけじゃん?対外的には?立場がさ...」


「はぁ、そんなことであんな顔でご飯食べてたわけね。私たちはそんなこと気にしてないわよ。好きに選びなさい」


「いや、みんなそう言うけどさ...適当には決められないだろ?」


「じゃあ、私でいいんじゃない?何か不満?」


「...いや、不満はないけど...」


「決定ね。じゃあ、まずは第一妃として、夜のお供を」


「おい!入ってくんなぁ!!!あぁ〜ん!!」

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