そうして、2人で帰ってくるとものすごい疑いの眼差しを向けられる。
「随分遅かったなー。2人ともー。もしかして、何かいいことでもしてたのかー?w」と、清人が煽ると「海ちゃんって実は積極的なーん?」と、本庄さん。
この2人が揃うと本当に面倒だな...。
「そ、そんなんじゃないよ...?...ね?」と、俺の二の腕を掴み上目遣いでそんなことを言う。
「うん。俺たちはそんなんじゃないから」と、キッパリと断る。
すると、海ちゃんの二の腕を掴む力が少し強くなる。
「ね!みんなでこれやろ!」と、真凜ちゃんがビーチバレー用のボールを取り出す。
「よーし、じゃあ俺と碧チームと女子3人チームでいいね!」
「うん!いいよ!んじゃ、負けたら...首まで砂に埋めちゃうから!覚悟してね!」
「なぬ!?それは負けられないな!な、碧!」
「...俺、こういうの苦手なんだが...」
「ばっか!ここは無理してでもカッコつけるところだろうが!」
「...」
「よーし!やるぞー!」
こうして、行われたビーチバレー対決は見事男子チームの敗北に終わった。
「うわー!埋めないで!」と言いながらも楽しそうな清人と、なんかこのまま本当に海ちゃんに埋められそうな俺。
「...ちゃんと埋めてあげますからね」
怖い!目が怖い!全然笑ってない!鬱デレがすぎるっての!!
その隣で楽しそうに俺に砂をかける真凜ちゃん。
そうして、砂浜に埋まった俺たちと一緒に写真を撮るのだった。
「いやー!いい思い出になりましたわ!これでようやく俺も受験に向き合えるってもんだ!」
「...修学旅行、学祭、ハロウィン、クリスマス、お正月、まだまだ清人を誘惑するイベント満載だと思うが?」
「...そ、そんなの...全然楽しみじゃねーし...//」
「はいはい。楽しみなんだな」
「えー、そういう碧くんは楽しみじゃないのー?」
「別に。真凜ちゃんこそ勉強おろそかにしちゃダメだよ」と、2人とも疲れていたせいか2人きりのノリを全員の前でしてしまう。
事情を知っている2人ですら少し驚いていたが、何も知らない清人は余計に驚くのだった。
「...碧くん?...真凜ちゃん...?」
「あっ、いや、ち、違くて...。そ、そういうノリで呼んでみただけ...だから...」
「...それにしてはすげー慣れてるノリだったけど?」
「い、嫌だなぁ!意外と私と山口くんはこう見えて仲がいいんだよ!ね!山口くん!」
「う、うん!そうだよね!汐崎さん!」
「...ずるい」
「え?」
「俺も真凜ちゃんって呼んでいい!?」
「あっ、う、うん...」と、少し引く真凜ちゃん。
...清人が鈍感で良かったと思っていると、海ちゃんは悲しそうに笑っていて、本庄さんが少し睨みつけるのだった。
◇
「日焼け止め塗ったけど大丈夫かなー?」
「結構塗ってたし、大丈夫じゃない?」
「本当ー?ね?ちゃんと見て?」と、服を脱いで背中を見せてくる。
「ちょ...//」
「もう!今日散々体は見たでしょ?照れてないでちゃんと見てよー」
「て、照れるなっていうのは無理だろ...」
「無理じゃありません!普段からえっちなことばっかり考えてるからダメなんだよ!」
「...か、考えてないし」
「ふーん?本当かなぁ?どうかなぁ?」
「...考えてない...です」
「じゃあ、見れるよね?」と、そのまま髪を分けて背中を見せてくる。
「...」と、まじまじと見つめる。
「...どう?赤くなったりしてない?」
すごく白くて綺麗な肌だった。
傷も何もなく、ただ白い肌。
思わず触りたくなってしまい、人差し指でその背骨のラインを触る。
「!?!?///」と、直ぐに振り返り真凜ちゃんが俺を見つめる。
「きゅ、急にエッチな触り方しないでよ!!//び、びっくりするじゃん!」
「い、いや、別にえっちな触り方とかしてないけど...」
「してたから!ちょーしてたから!」
「...ごめんなさい」
「もー、とりあえずヒリヒリとかはしてなさそうだし、大丈夫かな?あっ、碧くんも見てあげよーか?」
「い、いいよ。...俺は焼けてるの分かってるし」
「えー、つまんないなー。せっかく見てあげようって言ってんのに」
「...結構です」
「そっかそっか!仕方ないなー!今度無理やり脱がせて見ることにするよ!」
「...そんなエロ悪代官みたいなことは辞めてくれ」
こうして、俺たちの夏休みは終わりに向かっていくのだった。
◇
「...本当にこのままでいいのかな。私」と、私は私に質問する。
『いいわけないでしょ。何もしないまま、また諦めるの?今までみたいに中途半端で投げ出して。そうやってまた1人で泣くの?傷つかずに得られるものなんて全部偽物よ。傷ついてでも欲しいもの、得られるものが本物だから。最後ぐらい、自分で受け止めな』と、私は答える。
「...うん」