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第32話 自問

 そうして、2人で帰ってくるとものすごい疑いの眼差しを向けられる。


「随分遅かったなー。2人ともー。もしかして、何かいいことでもしてたのかー?w」と、清人が煽ると「海ちゃんって実は積極的なーん?」と、本庄さん。


 この2人が揃うと本当に面倒だな...。


「そ、そんなんじゃないよ...?...ね?」と、俺の二の腕を掴み上目遣いでそんなことを言う。


「うん。俺たちはそんなんじゃないから」と、キッパリと断る。


 すると、海ちゃんの二の腕を掴む力が少し強くなる。


「ね!みんなでこれやろ!」と、真凜ちゃんがビーチバレー用のボールを取り出す。


「よーし、じゃあ俺と碧チームと女子3人チームでいいね!」


「うん!いいよ!んじゃ、負けたら...首まで砂に埋めちゃうから!覚悟してね!」


「なぬ!?それは負けられないな!な、碧!」


「...俺、こういうの苦手なんだが...」


「ばっか!ここは無理してでもカッコつけるところだろうが!」


「...」


「よーし!やるぞー!」


 こうして、行われたビーチバレー対決は見事男子チームの敗北に終わった。


「うわー!埋めないで!」と言いながらも楽しそうな清人と、なんかこのまま本当に海ちゃんに埋められそうな俺。


「...ちゃんと埋めてあげますからね」


 怖い!目が怖い!全然笑ってない!鬱デレがすぎるっての!!


 その隣で楽しそうに俺に砂をかける真凜ちゃん。


 そうして、砂浜に埋まった俺たちと一緒に写真を撮るのだった。


「いやー!いい思い出になりましたわ!これでようやく俺も受験に向き合えるってもんだ!」


「...修学旅行、学祭、ハロウィン、クリスマス、お正月、まだまだ清人を誘惑するイベント満載だと思うが?」


「...そ、そんなの...全然楽しみじゃねーし...//」


「はいはい。楽しみなんだな」


「えー、そういう碧くんは楽しみじゃないのー?」


「別に。真凜ちゃんこそ勉強おろそかにしちゃダメだよ」と、2人とも疲れていたせいか2人きりのノリを全員の前でしてしまう。


 事情を知っている2人ですら少し驚いていたが、何も知らない清人は余計に驚くのだった。


「...碧くん?...真凜ちゃん...?」


「あっ、いや、ち、違くて...。そ、そういうノリで呼んでみただけ...だから...」


「...それにしてはすげー慣れてるノリだったけど?」


「い、嫌だなぁ!意外と私と山口くんはこう見えて仲がいいんだよ!ね!山口くん!」


「う、うん!そうだよね!汐崎さん!」


「...ずるい」


「え?」


「俺も真凜ちゃんって呼んでいい!?」


「あっ、う、うん...」と、少し引く真凜ちゃん。


 ...清人が鈍感で良かったと思っていると、海ちゃんは悲しそうに笑っていて、本庄さんが少し睨みつけるのだった。


 ◇


「日焼け止め塗ったけど大丈夫かなー?」


「結構塗ってたし、大丈夫じゃない?」


「本当ー?ね?ちゃんと見て?」と、服を脱いで背中を見せてくる。


「ちょ...//」


「もう!今日散々体は見たでしょ?照れてないでちゃんと見てよー」


「て、照れるなっていうのは無理だろ...」


「無理じゃありません!普段からえっちなことばっかり考えてるからダメなんだよ!」


「...か、考えてないし」


「ふーん?本当かなぁ?どうかなぁ?」


「...考えてない...です」


「じゃあ、見れるよね?」と、そのまま髪を分けて背中を見せてくる。


「...」と、まじまじと見つめる。


「...どう?赤くなったりしてない?」


 すごく白くて綺麗な肌だった。

傷も何もなく、ただ白い肌。


 思わず触りたくなってしまい、人差し指でその背骨のラインを触る。


「!?!?///」と、直ぐに振り返り真凜ちゃんが俺を見つめる。


「きゅ、急にエッチな触り方しないでよ!!//び、びっくりするじゃん!」


「い、いや、別にえっちな触り方とかしてないけど...」


「してたから!ちょーしてたから!」


「...ごめんなさい」


「もー、とりあえずヒリヒリとかはしてなさそうだし、大丈夫かな?あっ、碧くんも見てあげよーか?」


「い、いいよ。...俺は焼けてるの分かってるし」


「えー、つまんないなー。せっかく見てあげようって言ってんのに」


「...結構です」


「そっかそっか!仕方ないなー!今度無理やり脱がせて見ることにするよ!」


「...そんなエロ悪代官みたいなことは辞めてくれ」


 こうして、俺たちの夏休みは終わりに向かっていくのだった。


 ◇


「...本当にこのままでいいのかな。私」と、私は私に質問する。


『いいわけないでしょ。何もしないまま、また諦めるの?今までみたいに中途半端で投げ出して。そうやってまた1人で泣くの?傷つかずに得られるものなんて全部偽物よ。傷ついてでも欲しいもの、得られるものが本物だから。最後ぐらい、自分で受け止めな』と、私は答える。


「...うん」

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