『傑作とは何か』
そんな思考を巡らせながら
目的地なんてない。だがその足はしっかりと地面を踏みしめ進んでいく。
『俺のやりたいことを描き続けて、結果を見て満足する』
成功とか失敗とかそんな内容ではなく、結果が出たということに満足する。
俺の思う傑作は、俺がやりたいことを詰め込んだ小説。
例えばそう…1話ごとに完結する小説。
『意味のない一歩を繰り返し、歩いていくように…意味のない一話をつなげていくストーリー』
俺が好きな『人間らしくみじめに生き続けるストーリー』
俺が好きな『理由をつけたがる人間のストーリー』
俺が好きな『意味もなく死ねない人間のストーリー』
そのすべてが、現実のドキュメンタリー。
「きっと。誰にも見られないだろうな」
夢を見れなくなったのなら、現実を描くだけだ。
目をそらしていた現実を…見るだけだ。
その瞬間。足の力が抜けた。
「!!」
地面にたたきつけられ悶絶する。
ああ。そうだった。
「俺は今…車いすだったな」
突如現れた車いすによじ登り車輪を転がす。