「どうしてわたくしがこんな目に・・・」
わたくしことキャサリンが今いるのは、暗くてじめーっとした牢獄の中ですの!
ケイン皇子に毒を盛った罪で?
冗談じゃありませんわ!
殺す気だったら徹底的に息の根を止めて差し上げてよ?
あんな、ちょっと具合が悪くなってすぐ良くなるののどこが毒を盛られたと言うんですの?
何か悪いものでも拾って食べたんじゃないんですか?
それなのに、ケイン皇子が「キャサリンに毒を盛られた!」の一点張りで押し通したからこんなことに。
わたくしはさめざめと泣いておりました。
「キャシー?」
牢獄の外から懇意にさせていただいているパラノ皇女が声をかけてきました。
「パラノ皇女?助けてくださいまし」
「あなたとうとうやっちゃったわね!」
「なんのことです?」
「私が渡しておいた毒入りのチョコレートボンボン、使ったでしょう?」
「ちょっと待って!あれは毒が入っていましたの?」
「しらばっくれるのが上手ね!毒入りだって気づいてケイン皇子暗殺を目論むなんて、なんて悪い人なの?」
「誰かー!真犯人がここにいましてよ!」
叫んでもみな知らん顔。
確かに、パラノ皇女からチョコレートボンボンをもらって、部屋に置いていましたけれど、まさかそれをケイン皇子が食べるなんてわたくしだって知らなかったことです。
なんてことでしょう?
何日か経って、ケイン皇子がわたくしの様子を見に来ました。
「ケイン皇子、わたくしの部屋に置いていましたチョコレートボンボン、パラノ皇女からの差し入れでしたのよ!」
「チョコレートボンボン?」
「毒殺しようとした犯人はパラノ皇女ですわ!」
「チョコレートボンボンがあるのか・・・」
ケイン皇子は上の空で言いました。
もしかして、別口の犯行?
わたくしが早口でまくし立てていたら、誰も聞いていなくて、「まだ反省が足りないから」と置いてかれました。
ダメ!
このままではきっとケイン皇子はチョコレートボンボンを食べてしまう!
そうなったら、わたくし、わたくし・・・
嬉しいかも?
ついニヤリと嗤うわたくしでした。