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夫と妹に裏切られて全てを失った私は、辺境地に住む優しい彼に出逢い、沢山の愛を貰いながら居場所を取り戻す
ナツメグ
異世界恋愛ロマファン
2024年09月03日
公開日
15,041文字
連載中
レノアール地方にある海を隔てた二つの大国、ルビナとセネルは昔から敵対国家として存在していたけれど、この度、セネルの方から各国の繁栄の為に和平条約を結びたいと申し出があった。

それというのも、セネルの世継ぎであるシューベルトがルビナの第二王女、リリナに一目惚れした事がきっかけだった。

しかしリリナは母親に溺愛されている事、シューベルトは女好きのクズ王子と噂されている事から嫁がせたくない王妃は義理の娘で第一王女のエリスに嫁ぐよう命令する。

リリナには好きな時に会えるという条件付きで結婚に応じたシューベルトは当然エリスに見向きもせず、エリスは味方の居ない敵国で孤独な結婚生活を送る事になってしまう。

そして、結婚生活から半年程経ったある日、シューベルトとリリナが話をしている場に偶然居合わせ、実はこの結婚が自分を陥れるものだったと知ってしまい、殺されかける。

何とか逃げる事に成功したエリスはひたすら逃げ続け、力尽きて森の中で生き倒れているところを一人の男に助けられた。

その男――ギルバートとの出逢いがエリスの運命を大きく変え、全てを奪われたエリスの幸せを取り戻す為に全面協力を誓うのだけど、そんなギルバートには誰にも言えない秘密があった。

果たして、その秘密とは? そして、エリスとの出逢いは偶然だったのか、それとも……。


これは全てを奪われた姫が辺境地に住む謎の男に溺愛されながら自分を陥れた者たちに復讐をして居場所を取り戻す、成り上がりラブストーリー。

※ ファンタジーは苦手分野なので練習で書いてます。設定等受け入れられない場合はすみません。
※他サイト様にも掲載中。

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「……お義母様……今、何て?」


 厚い雲に覆われ、空がどんよりとしている昼下がり。昼食を終えて自室で読書を楽しんでいた一人の女性、エリス・ルビナは突如、王妃である継母に呼ばれ、彼女の書斎へとやって来た。


 そして、そこで耳を疑う様なとんでもない話を聞く事になった。


「はぁ……、何度も同じ事を言わせないでちょうだい。エリス、貴方は隣国セネルの第二王子、シューベルト・セネル氏の元へ嫁ぎなさいと申したのです」


 エリスが驚くのも無理は無い。


 隣国セネルというのは、遥昔に当時の王位継承者同士でいざこざがあり、以降敵対国家として互いに干渉し合わないという暗黙のルールが存在していた。


 それが突然、相手国へ嫁げという命令が下ったのだから驚かない筈が無いのだ。


「あの、何故急にそのようなお話になるのですか? セネルとは昔から干渉し合わない仲ですよね? それが何故、そのような話になるのですか?」


 エリスがそう、継母アフロディーテに質問をすると、彼女は心底鬱陶しそうな表情を浮かべながら、


「……エルロット、エリスに説明してあげなさい」


 すぐ横に控えていた宰相のエルロット・カルードゥルに面倒な説明を一任して、自身は椅子の背もたれに寄りかかって座り直すと、優雅にお茶を飲みながらその光景を黙って見守っている。


 エルロットの話によると、ルビナ国の国王でエリスの父でもあるタリムが一年程前に流行病で命を落とし、以降はタリムの二番目の妻でもあったアフロディーテがエルロットや他の大臣と共に国の繁栄に尽力を尽くしてきたものの、衰退の一途を辿りつつあった。


 そんな時、隣国セネルからとある打診があったのだ。


 それは、【我がセネル国と友好な関係を築き、共に繁栄の手助けをしていかないか】というもの。


 何故いきなりそのような話を持って来たのか、興味の沸いたアフロディーテは一度セネル国王と対談の場を設けた結果、セネル国の世継ぎで第二王子でもあるシューベルトが、アフロディーテの最も愛する娘、リリナに一目惚れをしたのでリリナとの結婚を条件に金銭面等の手助けをする為、表向きに和平条約を結びたいとの事だった。


 衰退の一途を辿っていたルビナ国にとっては申し分の無い話ではあるが、シューベルトの噂はアフロディーテの耳にも入っており、彼は無類の女好きで気に入らなければすぐに捨てるというクズ王子として有名だった事もあって、愛するリリナを嫁がせたくは無かった。


 そこで、白羽の矢を立てたのがルビナ国の第一王女で自分とは血の繋がりの無いエリスだった。


 しかし、エリスにはリリナを嫁がせたくないといつ私的な部分は隠し、リリナはどうしても嫌がっている事、嫁ぐならば第一王女であるエリスが適任ではないかという結論に至った事に話を変えていた。

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