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第43話 群生する彼岸花

「ちょっ、コロ! そっちに行っちゃダメ! あーダメなのに〜。仕方ないかぁ」



 わたしの自慢の愛犬であるコロはとにかくいつも通りの道を好む。それにこの辺りは交通量の多い道ばかりだから、必然的にこのルートを通ることになる。


 舗装されていない川を沿って歩くルート。泥の匂いが立ち込めているが、それはもう慣れている。問題なのは草むらに生えている大量の彼岸花だ! わたしは彼岸花が怖い。


 もちろん1本だけの彼岸花を見るだけで背筋が震えるが、やはり一番怖いのは群生している彼岸花である。何度、すべてを刈り倒してやろうかと思ったことか。しかし、この彼岸花と一緒に自分の犬の写真を撮るのがこの時期の醍醐味だと言う人を幾人か知っているので、そんなことはしない。


 彼岸花には毒があり、飢餓に苦しむ人々が最後に口にして死亡したとかいう逸話も知ってはいるが、そんな俗説が怖いわけではない。わたしが嫌なのは何よりもその形と真っ赤な色だ。そしてそんな彼岸花が土から生えているのが怖い。



香澄かすみはなんで彼岸花が怖いのかな?」



 そう問いかけたのはコロが土をぐりぐりと掘り返すのをじっと見ている姉だ。彼女は既に勤め人だが、時間が合うと夕方の散歩に参加する。



「怖いことに理由なんている?」


「そりゃあまあ、いらない場合もあるけど。でも、なんで怖くなったのかっていう理由は必ずあると思うよ」


「そうかなあ」


「うん。だって、香澄は小学生……の低学年のときは彼岸花にビビってなかったよ」


「え。そうだっけ?」


「下校するときなんかに秘密の抜け道だ!って言ってここの道を通ってたじゃん。いまと同じ時期に彼岸花採ってきてお母さんに怒られてたことあるし、よく覚えているよ」


「う〜ん。ぜんぜん覚えてないなあ。もしかしてお母さんの怒り方が怖すぎてトラウマになったとか? いや、ないな。お母さん怖くないもん」


「だね。それに、それが理由だったら彼岸花が群生しているのが余計に怖いってことにはならないんじゃないかな。……香澄が苦手なものと言えば、他にはナスビとケーキ」


「関係ないでしょ」


「かもね。……あー今週だね。今年はあんたの番だからね。よろしく」


「分かってるってば」


「コロはアタシが見とくから」



 祖母の誕生日が近いのだ。こう言うと祖母に悪い気はするが、うちの家族はみんな祖母を苦手としている。実の娘である母はもちろん、婿養子という形となる父、そしてわたしと姉も。


 何かと理由をつけて夏にも正月にも帰りはしないが、祖母の誕生日だけは逃れることが出来ない。祖母は鈍感な人(なのか正直分からない)だからか、親戚たちとの人付き合いが苦手だと捉えており、誕生日はわたしたちだけを招待している。わたしはコロの散歩があるという理由で断りたいのだが、そんな理由よりも姉の仕事の事情の方が優先される。


 だから去年、姉と約束したのだ。自分が行けそうな年は行くけれど、そうでない年はわたしが行くことを。……仕方ない。祖母の家で特に何かしなければならないことなんて無い。祖父とは離婚しており、お経を上げなくちゃいけないわけじゃない。お坊さんのつまらない説教なんかを正座で聞かなくちゃいけないわけじゃない。


 ……なんでわたしは祖母の家に行くのが苦手なんだろう。父も母も姉も、祖母を苦手としているのだろう。深く聞いたことがない。まぁ、苦手であることに理由なんていらないか。




「いらっしゃい。今年は真墨ますみはいないのね。でも、代わりに香澄たちがごはんを食べてくれるのなら、大歓迎よ!」



 祖母は気さくな人だ。料理が好きでもう70を超えているというのに、忙しそうに台所を駆け回る。祖母の家はなんというかモダンな造りでオシャレだ。けして古めかしくてトイレも水洗式じゃないからとか、歩くと床が軋むからとか、雨漏りがしてるからとか、そういう文句を言える家ではない。庭には彼女がお世話をしている花たちで溢れ、少し離れた所には祖母の趣味のための小屋がある。


 将来、わたしもこういう家に住みたいと思っているくらいだ。


 彼女の娘である影響か、母も花を世話するのが好きだ。プランターを並べて季節の花々を揃え、近所の人が見事な花を咲かせたと聞くと、毎回写真を撮りに行く。だけど。母はけして祖母にそれを言わない。祖母の作った庭は絶対に見ない。……何故だろう。



「おばあちゃん、手伝うよ」


「ありがとう。香澄はますます美人になったわね。じゃあ、これをテーブルに運んでくれる?」


「うん」



 と言いつつ、わたしはヒヤリとしていた。ナスビの煮浸し。祖母が大好きな料理だ。……わたしがナスビが嫌いなことを祖母には言っていない。だから、こんなメニューが出てくるのも当然だ。……いや、違うんじゃないか? わたしが祖母のことを苦手に思っているから、ナスビが嫌いなのかもしれない。


 その日の夜。客間のひとつでわたしは母と寝ていた。明日で帰れることにとてもホッとしている。あまり使われていないが、綺麗に掃除されているベッドに寝転がった。姉がコロと遊んでいる写真を送って来て、とても羨ましく思う。


 母もまたボーッとしているようだ。これは彼女がとても疲労している証だ。



「ねぇ、お母さん」


「なあに?」


「なんでお母さんはおばあちゃんの庭を見ないの? 綺麗な花がいくつもあったけど」


「そうね。きっとお花は綺麗なんだと思うわ。でも、母さんの庭は怖い」


「怖い?」


「何が埋まっているのか分かったものじゃないもの。父さんだって、本当に離婚したのか」


「ど、どういうこと?」


「さあね」


「……なんでお父さんもおばあちゃんが苦手なのかな?」


「あぁ……それは言っとかなくちゃいけないかしら。お父さんの職場には昔、変な宗教にハマって体のあちこちを失くした方がいたらしいわ」


「変な、宗教?」


「うん。母さんの家には仏壇とか神棚とか無いでしょ。私もよくは知らないんだけど、ちょうど父さんと離婚する前後で変な宗教に入団したらしいのよね。勧誘したり、寄進しろとか言ってこないから放置しているけど」



 ぜんぜん知らなかった。きっと姉も知らないだろう。お父さんやお母さんが祖母を苦手としている理由は充分に伝わって来た。というか、こんなことを知ったら、もう二度と来たくないな。……あれ? いや、何か違和感がある。わたしはこのことをずっと前から知っていたような気がする。……だから、わたしは祖母が嫌いになった。ナスビが嫌いになった。ケーキが嫌いになった。……彼岸花が嫌いになった。



「もう寝ましょう。明日は夕方には出るから」


「うん。おやすみ」





 次の日の朝。どことなく寝心地が悪かった。目覚めると隣のベッドにはお母さんがいない。もう起きたのだろう。眠さを堪えつつ、テーブルに着くがお父さんがいなかった。祖母はニコニコと笑い、お母さんも「せっかくの休みだし寝かせてあげましょう」と言っていた。


 ナスビの煮浸しが無い。結局あれは祖母しか食べていなかったため、残っているはずだが。まぁ、祖母の好きな料理だから、わたしたちが帰ってから食べるつもりなのだろう。



「母さん、今日のケーキだけど手伝うよ」


「おや、いいのかい?」


「うん。ロウソクは20本で良いのよね?」


「そうね。でも、まさか亜炭あすみがケーキ作りを手伝ってくれるとは思わなかった。この歳になると堪えるからねぇ」


「わたしも手伝おうか?」



 特にすることも無いのだ。わたしはケーキは嫌いだが、祖母にとっては1年に1回しかない記念日。その喜びに水を差す必要は無いだろう。



「うーん。香澄にはまだ早いかな」


「え。わたし、来年から高校生だよ?」


「早いわねぇ。それにケーキと言うよりは饅頭に近いし、普通のお菓子作りとは違うから」



 ? 2年前に来たときに食べた(ひとくちだけ)ケーキは普通の苺ショートケーキのホールだったはず。それに自作じゃなかった。近くのショッピングモールの中にある洋菓子店で買った代物だ。祖母とお母さんは何かを隠している。それはいったい何だろう?


 リビングでテレビを見たり、スマホであれこれ動画を見るだけの怠惰な時間を過ごした。祖母とお母さんは買い物に出掛け、昼は冷蔵庫から好きなものを食べてくれという話だった。


 ナスビの煮浸しがあったが、手に取る気にはならない。エビフライを齧りつつ、テーブルから見える廊下の先を見つめる。


 お父さんはまだ起きてこない。……本当に寝ているのだろうか? 嫌な予感がした。祖母とお母さんのケーキ作りの話を思い出す。何も繋がってはいないけど。エビフライの皿を持って廊下を歩く。もうひとつの客間。ここにお父さんが寝ているはずだ。そのドアを開けると。



「うん? どうしたんだ、香澄」



 パジャマのままのお父さんがベッドに座っていた。



「……なんでもない。あ、もうお昼だよ。美味しいエビフライもオムレツもあるから食べなよ」



 そりゃそうだ。完全なる勘違いで笑いが込み上げて来た。なんて馬鹿な考えだ。



「あぁ、お義母さんの家に来ると毎回眠たくなるんだよなあ。ついつい昼まで寝てしまう」


「居心地が良いってことかな」


「かもな」


「……でもさ、お父さんもおばあちゃんが苦手なんだよね? 見てたら分かるよ。どうして?」



 昨日お母さんがしてくれた話が理由なら、それは宗教に関することのはずだ。もう知っていることなのに、何故だか理由を聞きたくなった。



「うーん。そうだね、もう香澄には言っていいと思う。お義母さんは“カミ師炎”という新興宗教に入っている。僕はそれが怖くてね」


「どういう団体なの?」


「何と言ったらいいか……。“カミ師炎”で祀られている神様は土の中にいるんだ。土の中に信者たちが捧げ物をする。すると、その捧げ物の美味しさに比例して、代わりとなるモノを土で作ってくれる……。よく分からないよな」


「美味しさ、ってのが何か曖昧だね。それはもしかして料理のこと?」


「人工物というより、自然由来のものだろうな。山菜とか鶏とか魚とか。……僕はね、お義母さんの庭のとても綺麗な花を見るたびに、この土の下には何が埋まっているんだろうって考えてしまう。確証があるわけじゃないけどね」


「……おじいちゃんのこと?」


「分からないよ」



 お父さんの話はそれで終わった。昼食のときもそれ以上、話題に出ることはなかった。リビングでテレビを見つつ、わたしは祖父のことを思い出していた。わたしが小さかったときの記憶しかないが、祖父と祖母の仲は良好だった。酒を飲むこともないし、煙草を吸うこともない。毎日、祖母と共に野良仕事をしていた。


 だからこそ、離婚すると聞いたときはショックだったように思う。祖父には何の問題も無かったはずだ。健康で病ひとつしたことがなく、定年退職するまではサラリーマンとして毎日働いた。誰かに乱暴を働いたこともない。部下や学校の後輩、近所の人たちにも好かれていた。


 その頃のわたしは、祖父と祖母のことが大好きだった。“カミ師炎”。それが祖母を大きく変えてしまったのだろうか。だとしたら、悲しいことだ。



「……あれ。寝てた?」



 窓の外を見ると既に夕方だ。もう帰る時間なのに。でも、家の中はシンと静まり返っている。けれど、庭の方からは物音が聞こえる。ケーキ作りはどうなったのだろう。というか、お父さんは? お母さんが庭にいるとは思えない。


 家の中を歩き回って中が無人であること、台所にも冷蔵庫にもケーキが見当たらないこと。それらを確認し、庭へ出た。祖母とお母さんがしゃがんでおり、側にはスコップが置いてあった。スコップには大量の血が付いていた。



「どういうこと」



 お母さんが振り返る。顔は土と血まみれだ。



「来たのね、香澄。せっかくだから、あなたも拝んでいきなさい。母さんの誕生日ケーキ……と言うよりは土饅頭か。立派なロウソクもあるのよ」



 こんもりと盛り上がった土に細長い何かが生えていた。先端は花弁のようなモノがぱっくりと開いており、真っ赤で汚い。10本ある。それは彼岸花には見えなかった。炎がついたロウソクでもない。……指だ。


 そのとき鮮やかに思い出していた。わたしはこの光景を見たのだ。土から指が生えているところを。その指の持ち主はきっと、祖父だ。ならば、いま、土の下に埋まっているのは?



「お父さんを、殺したの?」


「……」


「どうして。お父さんとお母さんとは仲が良かったじゃない。問題なんて無かった。お父さんは何も悪いことなんてしてないじゃない……」


「だからこそ、でしょう?」


「え?」



 祖母が立ち上がって、こちらを見た。いつものニコニコとした笑みだ。



「自分が愛してやまないモノを捧げなければ、それは|神《カミ

》さんに失礼でしょう。失えば悲しい。殺すのなんてさらに苦しい。……だから捧げる」


「おかしいよ」



 震える。いや、怖がっている場合じゃない。すぐ警察に知らせないといけない。まずは逃げないと。中学生のわたしの方が足が早い。



「え」



 がすん、と音がしてわたしは倒れていた。後ろから足を何かで殴られたのだ。遅れて激痛が走る。どうして。わたしを殴ったのはお父さんだった。彼は静かな目でわたしを見ていた。手にはスコップが握られており、刃先にはわたしの血が付いていた。どういうこと? お父さんは殺されて、土に埋められたんじゃ。



「あれは真墨だよ」


「は? お姉ちゃん、が?」


「夜、車を走らせてね。一度帰宅して真墨を攫って来たんだ。結局、朝になっちゃったけど。でも、香澄が部屋に来たときは驚いたよ。僕はこれから寝るところだったからさ」



 わけが分からない。



「お義母さんももう歳だからね。これからはこの庭に捧げ物をするのは僕と亜炭の仕事だ。だから、僕たちは生きてなくちゃいけない。どちらかを捧げるのは非効率だろう?」


「お姉ちゃんを殺したの?」


「うん。悲しかったけど、仕方ない。悲しくて苦しくてたまらない……その感情もまた神さんには必要なんだ。けれど、見てごらん。綺麗な指だろう。息子の生誕にはピッタリのロウソクだ」


「はぁ? む、息子ってなに?」


「私たちはねぇ、男の子が欲しかったのよ。でも、生まれたのは2人とも娘。でも、真墨も香澄も愛していたわ。それは間違いない。だから、ふたりを殺して土に捧げれば、神さんが息子を作ってくださるのよ」


「なにを、言ってるの。そんな世迷言を信じてるの? そんなわけないじゃない! 狂ってる。狂ってるよ!」



 お父さんがわたしを見下ろす。冷たい目をしていた。足の痛みに耐えながらも立ち上がろうとして、倒れ込む。全身の力が抜けていくような。視界が霞んでいくような。



「ようやく薬が効いたのか」


「くすり?」


「香澄はナスビの煮浸しが嫌いでしょう? だから、あれ以外には薬が盛ってあるのよ。元々はナスビの煮浸しだけに薬が入っていたんだけど、真墨も香澄も勘が働いたのか、これだけは食べてくれなくなったから」


「毎年チャンスを窺っていたのよ。若者を殺すのは難しいし、警察に知られるのも困る。今回はふたりが手伝ってくれたから簡単に済んで、良かったわ」



 ……お姉ちゃんの言う通りだった。嫌いなモノには理由がある。ナスビもケーキも彼岸花も。だけど、あれ? お母さんの言葉を信じるならナスビの煮浸し以外の料理にはすべて薬が盛られている。でも、お母さんもお父さんもおばあちゃんもそれを食べていたはずだ。3人にはどうして薬が効かないのだろう。


 と思って3人を見ると、彼らは真っ赤な顔をしていた。そこに悲しみも苦しみも無い。ヒトの顔ではない。ありとあらゆる感情を削ぎ落とし、結果として顔の皮膚すらも削り尽くしてしまったかのような。視界がぼんやりとしていく。


 盛られた土の前に立っているのは3本の大きな彼岸花だ。その後ろに多くの彼岸花が群生している。彼らは囁き合う。わたしたちの家族ごっこを嘲笑し、新たな栄養を我が物とする喜びを発している。先端の赤い花弁は炎の如く、揺れていた。


♦︎♦︎♦︎


 どうでしたか、ぼっちゃま。


 怖いよ。“カミ師炎”ってもしかして「弁当の似姿」のときに出て来た宗教団体のこと?


 ええ。その通りでございます。かつては夭逝した子を持つ親同士で集まる互助団体だったのですが、既にその形はありません。


 彼らの感情はどこまで本当だったの。香澄さんは最初から嘘を教えられていた? 親たちが語っていた恐怖は何だったの。


 嘘ではございませんよ。祖母の方が盛った秘薬……と言うより種子ですね……に毒され、彼らも怪異に呑まれた。嫌悪感、恐怖、愛情、悲嘆。それらはすべて真実。ただ、新たな行動指針を与えられただけです。


 怪異に呑まれた……。その“カミ師炎”が信仰する神様のこと?


 あいにく、あれは神とは言えぬでしょう。我々は“赤葦”と呼んでいます。人体に種子を植え付け、宿主に寄生する怪異。ただ“赤葦”は強力な神秘の力を有しているわけではありません。たいていは1年に1回、生殖活動を行うのみ。もし、あれが神に見えるのだとすれば、既に毒されているのでございます。


 ……ばあやの言葉を疑おうとは思わない。でもさ、「弁当の似姿」のときは和泉さんの傍らには子供がいたんだよね? あれも“赤葦”だったっていうの?


 少し違います。“赤葦”は己の神秘の力を土に溜め込む習性がありまして、あの子供はその力が勝手に歩き出したもの。偶発的な存在です。けれど、“赤葦”はその成功体験でより強力な怪異へと進化した。ヒトを毒す際に与える行動指針にも具体性が出て来ました。


 怪異も進化するの。いや、分かるよ。「日輪の蜘蛛」で神籠町のおねえさんに化けた蜘蛛が言っていたよね。怪異は自身の姿を観測されると力を増幅させるって。


 そういうことでございます。かつてはヒトに観測されぬことで神秘の力を増やしていた怪異がいまではヒトに観測されることで力を増している。……もはや、それは神秘の力とは言えぬのかもしれませんね。


 ばあや。


 なんでしょう。


 ぼくは偽物が嫌いだ。


 存じております。


 でも、なんでぼくは偽物が嫌いなのか分からない。嫌いになった理由……それは忘れているだけで、確固としたものがあるのかもしれない。ぼくはそれを思い出したい。それがカギになるような気がしているんだ。


 そうですね。ばあやからヒントを出すとすれば、ぼっちゃまが最も嫌う偽物が何なのか考えを出すこと。それが答えとなるでしょう。


 ……そんなの。最初から分かっているよ。


 いまはお眠りくださいませ。


 うん。おやすみ、ばあや。


 おやすみなさいませ、ぼっちゃま。今宵の妖し怪し語りはここまでにございます。

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