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第2話 霊犬 早太郎

中学生の三保みほは学校の帰り道、いつも通り光前寺の境内を通り抜けていた。




 ーーさっきの雷すごかったなぁ。すぐ雨が降ってきそう




 そう思って、小走りに境内を進むと、犬の像の前に小さな段ボールが置かれているのに気が付いた。




「なんだろう・・・」


 いつもの帰り道。そのような段ボールが置かれている事は無かったので、とても気になった。



 三保がのぞき込むと




「わあ、犬だぁ」




 そこには、小さな白い子犬がこちらを見ていた。




「かわいい!」




 子犬は、こちらに近づこうと、尻尾を振りながら前足を動かしたが、そのまま伏せて寝てしまった。



「このままじゃ、雨に濡れちゃう。連れて帰ろう」




 三保は子犬を連れて帰った。 




 急いで家に帰ると、リビングに犬を寝かせインターネットでなにやら調べはじめた。



「子犬 ごはん 手作り・・・」




 動物を飼った事のない三保の家にはドッグフードなどなかったので、手作りで犬のごはんを作ることにした。




「キャベツ・・・ブロッコリー・・・さつまいも・・・」




台所にあった食材を集め、子犬のためのごはんを作った。



 底の低い皿に、手作りしたごはんをのせ、リビングに戻って子犬の傍にそっとおいた。すると、子犬が目を覚まし、あたりを見渡して、大きなあくびをしたあと、



「ワン!」




かわいい鳴き声が、家中に響き渡った。



「わ~! 鳴いた。 元気そう・・・よかった~」


それを、聞いた母親が2階から降りてきた。


 リビングにいた子犬を見て母親は驚いた。

母親が口を開くまえ前に、すかさず三保が言う。




「光前寺の境内に居たの! ねぇ、この子飼ってもいい?」




母親も即答ではなかったが、犬好きだったのが功を奏した。




「・・・・ちゃんと面倒みるのよ」


「うん!」




 三保は子犬のモフモフした頭を撫でながら言う


「君の名前は、早太郎はやたろう! これからよろしくね。早太郎!」




三保は満面の笑顔で早太郎を抱き上げた。

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