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 瑛斗と公園で話をしてから、一週間が過ぎた。


 毎朝、目覚める度に瑛斗から連絡が来ていないかと、携帯電話を確認する。早く引っ越せるように、奥さんと話をすることを勧めたが、未だにどうなったかの連絡はない。瑛斗はちゃんと、奥さんと話ができたのだろうか。


 他人の家のことに口を出すのは良くない、と分かっているが、やはり気になる。でも、相談してきたのだから、訊いても許されるような気がする。多分……。


 僕は思い切って、瑛斗に電話をかけた。


『……もしもし』


 電話に出た瑛斗の声は、なんとなく、沈んでいるように聞こえる。


「あぁ、おはよう。あの、さ……。この間の話はどうなったのかな、と思って。その……引越しのこととか」


 どうしても気になって電話をかけてしまったが、やはり訊きづらい。


『あの話は、一応話したけど……』


 そう言ったきり、瑛斗は黙ってしまった。やはり、金の問題だろうか。嫌な静けさに息が詰まる。


『ねぇ! おなかすいたぁ!』


 突然、子供の大きな声が響く。しん、としていたので、思わず身体が、びくん、とねた。


 ——子供もいたのか。そうか、今日は土曜日だもんな。幼稚園も休みなのか。


『ごはん、まだぁ?』


 父親がそばで悩んでいても、子供は我関せずという感じで、元気なものだ。四歳ならまだ、金の話をしても分からないので、仕方ないのかも知れないけれど。


『ねぇーえー! ごはん〜!』


 子供の声が頭の奥に響く。なぜ子供の声は、こんなによく通るのか。子供の声が聞こえる度に、頭の真ん中辺りがズキズキと痛んだ。


 ——でも、やっぱり、男の子の声に聞こえるな……。


 会ったことがないので分からないが、女の子はもっと、細くて高い声のイメージがあった。それとも電話だから、声が太く聞こえるのだろうか。


『蒼汰』瑛斗の声にハッとして、我に返った。


『今日って、なんか用事ある?』


「えっ? いや、別に何もないよ」


『じゃあさ。ちょっと、ついて来て欲しい所があるんだけど……』


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