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 二時間の飲み放題が終わり、会計を済ませた後、外へ出た。


「どうする? もう一軒いく?」


 僕が訊くと、慎也はうーん、とうなりながら目をつむる。


「行きたいんだけどさ。明日は用事があるんだよな。朝も早いし……今日は帰るわ」


「そうなんだ。じゃあ、気をつけてな」


 手を振って見送ろうとすると、慎也は眉根を寄せて、口を尖らせた。


「引き留めないのかよ」


「だって、朝早くから、用事があるんだろ?」


「そうだけどさ……。まぁ、いいや。また連絡するよ。瀬名も、たまには遊ぼうぜ」


 慎也が瑛斗の肩を叩く。


「うん。楽しかったよ、またな」


 笑う瑛斗を見ていると、僕も自然とほおゆるむ。少しは気晴らしになったのだろうか。


「じゃあな〜」


 慎也は、たまに振り返りながら駅へ向かうが、足がもつれているように見える。明らかに飲み過ぎだ。二軒目へ行かずに帰って、よかったのかも知れない。どうせ、酔い潰れた慎也の面倒を見るのは僕だ。動けるうちに帰ってくれた方がいい。


「瑛斗はどうする?」


 僕が訊くと、なぜか瑛斗は思い詰めたような顔で、僕の目を見つめる。何となく、先程の違和感と、何か関係があるのかも知れない、と思った。


「どうしたんだよ」


「……あのさ。ちょっと、話があるんだ」


 ——やっぱりな……。


 今になって言うということは、慎也がいては話せないようなことなのだろうか。


「うん、いいよ。どこで話す?」


「この先に公園があるだろ? そこへ行こう」


 瑛斗は、駅とは反対の方角を指差した。そちらはオフィス街で、夜は人けがなくなる場所だ。やはり、他人に聞かれたくない話なのだろう。


「分かった」


 僕がうなずくと、瑛斗は何も言わずに歩き出した——。


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