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禍祓怪異譚 〜呪われた言霊〜
碧絃(aoi)
ホラーホラーコレクション
2024年09月01日
公開日
28,929文字
連載中
社会人2年目の蒼汰は、高校生時代の友人、瑛斗と再会する。久しぶりに会えることを喜ぶ蒼汰だが、瑛斗はあることを蒼汰に相談したかったのだという。

「新しく引っ越した家に、何かがいる」

その話を聞いた蒼汰は、引っ越した先が事故物件だったのだろうと考え、早く出た方がいいのでは、と助言する。蒼汰は、そこを出てしまえば別に問題はないだろう、と軽く考えていたが——事態は思わぬ方向へと進んで行く。

序章

 あの青い光は、なんだろう。




 澄んだ空のような綺麗な青だ。




 青い光の玉が、数えきれないほど舞っている。ふわりふわりと舞う光は、まるで蛍みたいだ。




 呼吸をするのを忘れてしまいそうな、幻想的な光景に見惚れていると、青い光の向こうから、誰かがこちらへ歩いて来た。




 黒いワンピースを着た、すごく綺麗な女性。知らない人だ。




 彼女が何かを言っている。でも、何の音もない世界。彼女の声も聞こえない。




 声が聞いてみたい。

 この人が誰なのか、知りたい。

 目が離せない。




 女神のような、美しい笑みを浮かべる彼女に抱きしめられると、段々と意識が遠のいて行く。身体が宙に浮いているみたいで、すごく楽だ。何も考えたくない。




 もう何もかも忘れて、彼女と一緒に、ここにいられたら——。

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