この子は「いじめられている」と言った
俺も前世では片親であることを理由にいじめられた
最初は小馬鹿にされる程度で俺は少し傷ついていたが気にも留めていなかった。
だんだんと口撃はエスカレートしていき今度は死んだ母さんのことをバカにし始めた、そのあたりから不愉快に思うようになった。
口撃も聞かないと分かると奴ら今度は暴力を振るってきた。抵抗はしたが多勢に無勢だった。
それ以来俺は隠れて学校に行くようになって人がたくさんいる場所にもあのいじめっ子たちがいるような気がして寄り付かなくなった
そんな時誰1人として助けてくれる奴なんていなかった。
手を差し伸べてくれる奴なんていなかった
そんな頃の俺を見つめているようで目の前の男の子に親近感のような仲間意識が芽生えたのはいうまでもない。
「君、友達はいないの?」
俺がそう問いかけると悲しそうな顔をして首を横に振った
「そっか、じゃあ今日から俺が友達になろうか!」
その言葉を聞いた後その子は一瞬嬉しそうな顔をしたがハッとした顔をして再び顔を横に振った
クッ、明確な拒絶‼︎
いや考えてみれば当たり前か
あってすぐ友達になろうとかナンパ以外の何ものでもない
少しづつクールに行こうじゃないか
「そりゃ、そうだよな
あったばっかりで名前も知らないもんな。俺の名前はルーク、ルーク・バックハウスって言うんだけど君は?」
そう聞くとおずおずと言った感じで答えてくれる
「ぼ、僕はベル、ベル・マクスウェル」
「ベル君っていうんだね、よろしく」
そんなことをいいながらふと思ったのだが家族以外の人間に自分の名前を教えたのは初めてだ
こうやって名乗ってみると改めてもう前世ではないんだなぁと言う気がしてくる
別に戻りたい訳じゃないがそれでも数十年は暮らした世界だ愛着も湧くと言う物だろう
お涙もちょちょぎれそうだ
「ね、ねぇ、友達ってどんなことするの?」
そんなことを考えているとベル君が目をキラキラさせながらこっちをみてくる
「そうだなぁ…」
やべぇ、このぐらいの年の男の子と何して遊ぶかなんて前世の記憶もほとんどないぞ
何すればいいんだ!?
おままごととか?
だとすりゃあまずい…この世界には
「リ◯ちゃん人形」も「シルバ◯アファミリーあかりの灯る大きなお家」も「君も変身なりきり戦隊ブレード」もないってのに
「話をしよう」
「どんなことを話すの?」
お、某エルシャ◯イ風に話出したら上手くいった
「たとえばベル君は何が好きなの?」
「えっと、本を読むこととか?」
「本を読むことか!いいね、俺も本を読むのは好きだ」
「えっとほかには…」
そうやって話していると時間なんてあっという間だった
日が上り、通りを歩く人たちが増え始めたあたりで俺たちはまた会う約束をして解散となった
ーーーーーー
この出会いが後に俺の人生においてとても大きなターニングポイントであったことは今の俺は知る由もなかった