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第十八話 山賊とは

商人達との話し合いが終わって1ヶ月が経った。その間にノーブル殿の治めるヒューズ城への街道の整備や父から借りた兵を使って行商人ギルドやピットの所属しているトリル商会の護衛などをしている。彼らからの反応は中々に良好で個人的に兵士を借りたいという商人もチラホラと出て来ていた。


その日、俺は執務室でスコットから上がったシールズ家の掌握に関する報告を受けていた


「シールズ家の内情としては現状、一族郎党を入れて30人ほどがおりましてな。その内、倅とワシと他3人が騎馬兵で残る25人が追随する歩兵になっております」

「なるほど、今父から借りてる歩兵100を本領に返したら徴兵した兵士が主な主力となるが、指揮官クラスはシールズ家に頼るしか無い。もう少し規模を拡大したい所だな」


俺の言葉にスコットが頷く。

「左様です。ですが、ワシらは職業軍人ですので戦争以外に生産性は皆無ですじゃ。もちろんワシらも土地を持って田畑を耕してはおりますが、収入は郎党を雇うのに消えるのでなぁ。雇いすぎても財政を圧迫してしまいますわ」

もちろん、彼の言うことも正解なのだが今後ベートン家のお家騒動への介入やハーピー家への圧力を考えるとそれなりの兵数が必要だ


俺たちが雇う兵士の人数の内訳を話し合っているとセシルが執務室へ入って来た。

「若様!新しく開墾する村の用地が決まりました。ただ……。」

「ただ…?」

「付近に山賊が多すぎてまともに物資を運べないのです」

彼は期待に応えられなかったのが残念なのか俯いたままため息をついた。


「小規模な山賊くらいスコットに頼めばどうってことないだろう」

「はい、小規模ならよかったのです。しかし、今回の盗賊は訳が違います。山奥の本拠地を偶然見つけた木こりによると100人以上の大所帯であったとのこと」


「「ひゃ、100人だと!?」」

セシルの報告に俺とスコットは声を揃えて聞き返した

俺たちの声にびくりと肩を震わせたセシルは恐る恐る続きを述べた

「は、はい。どうやら商人を護衛する様になってから小規模の山賊は襲撃の成功率が激減したそうで。食うに困った十数程の小規模な山賊達が結集して100人近い数になったものかと……。」

うーむ、山賊とか言うのは出身も違う上に暴れ者の集まりなのだから協力をするなんて聞いたことがない。


「これは、頭のキレる者が山賊の中にいる様ですな」

「厄介だな。セシル!一先ず集められる兵を集めろ!この際だ、領内の山賊を一掃するつもりで全兵力を掛ける!」

スコットの言葉に頷いてセシルに指示を飛ばすと彼は短く返事を返すと大急ぎで執務室を出て行った


「スコット。兵はどのくらい集まると思う?」

「そうですなぁ、前の戦から大して時も経っていませんからなぁ。領民兵は集まって100程、イヴァン様からお借りしている100の歩兵、そして我らシールズ家30を足して計230集まれば上々でしょうな」


なるほど、倍の兵力と装備の差で倒せるだろうか…。

「わかった。スコットは直ぐにシールズ家の面々を招集してくれ!」

「承知!」

スコットはそのまま執務室から駆け出して行った



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