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第十五話 領土確認

俺はその他の挨拶回りを済ませて3日間は治安維持以外は兵に休息を与え、物々しく浮き足だった空気が沈静化するのを待った


その後、家臣達を評定所へと集めた

俺は奥の席に座った。セシルとハンター、ヘンリーとスコットがそれぞれ向かい合う様に机を挟んで座っている


「それでは評定を始める」

「「「「ハハッ」」」」

まず俺はセシルの方を向いた


「この城の状況を簡潔に頼む」

「はい、まず城下街の人口は4000人ほどで紐づけられた四つの村を合わせると、約5000人ほどの人口になります。この中で徴兵可能な者はおよそ250程と言ったところでしょうか。ただ、前の戦いで消耗しておりしばらくは徴兵は難しいかと」


前世の中世ヨーロッパでも平時は人口の5%、緊急時でも国家の存続を加味すると10%の徴兵率が危険水準と言われてたからまぁ妥当な数字なのだろう。

だが、そうなるとまともにベートン家を救援に向かうのは数年以上は先になってしまう


城下の者達も随分とキースに搾り取られていた様だし。まずは城下の立て直しが必須か


「また、この地には山賊も多く、村を襲うこともしばしばだそうです」

うーん、これに関しては山賊退治に熱心な父が関係していそうだ。おそらくウチの領地にいたチンピラや職にあぶれた者が他領に流入しているのだろう

これは軍事演習がてら、父の様に山賊の撃退が必要かもしれない


俺がそう考えていたところでスコットが手を上げた

「そのことなのですが、山賊に関してはこのスコットにお任せいただけないでしょうや?」

「何か策があるのか?」

俺の問いにスコットは深く頷いた


「彼の者等は職がなく食う為に山賊をしているものも多いのです。そこで、彼らを常備兵として雇うと言うのはいかがですかな?給金はシールズ家から出しましょう」


「そうなればありがたい話だが、いいのか?そもそも奴らの中には怠惰な暮らしをしたいと願って山賊になった奴も紛れ込んでる。シールズ家の負担が増えるだけでは?」


スコットはニヤリと笑った

「いやなに、キースに従っておった時に多くの臣下を亡くしましてな。どちらにせよ人員の補給は急務なのですじゃ。それに、従わぬ者は殺して従順なものを鍛えれば良いのですからな。ワシも温い鍛え方はせぬで性根から叩き直してやりますわい」

そう言ってスコットは自身ありげに笑みを深めた


「わかった。では領内の治安についてはスコットに一任する。頼んだぞ」

「承知した」

俺は頷くとセシルの方に視線を戻した


「村の様子はどうだ?何か反発などは?」

「そのことですが、一年の税免除と来年からの税負担の軽減を各村に伝えました所、皆一様に泣いて喜びまして我らの支配を歓迎するとのことでした」

「よし、なら一先ずは反発はなさそうだ。セシルはこのまま各村の村長との折衝を任せる」

今は民力休養が必要な時期だからな。


俺は今度はハンターの方を向いた

「この城の周辺情勢はわかったか?」

「あぁ、大凡だが商人達からの聞き取りで所属勢力と城の様子がわかった」

そう言ってハンターは絵図を机に広げた

「まず北は豪商が財力によって勢力を広げたハーピー家、東はイヴァン様のフルデリ城、西は未開の地が広がっており、南はベートン家の兄弟の城がある。現状立場がはっきりしないのは北のハーピー家のみだ」


「わかった、外交面はまず商人の支配地をなんとかするところから始めなければな。ハンターはこのあと外交の調整のために残ってくれ」

「わかった」

俺の言葉にハンターは満足げに頷き席へ着いた


今度はヘンリーの方を向くとヘンリーが慌てて立ち上がった

「は、はい!街の商工業者を招集する段取りは整えました!明日の正午に城館の広場に集まる様にと指示しておきました」

「よし、ご苦労。続けての仕事になってしまうが西側の地に新しい入植地を作る予定だ。父から此度の褒賞として受け取った金貨を用いて採石村を作るつもりだ。働き口のない農家の四男以降を集めて入植させるから人を募っておいてくれ」


「わ、わかりました!」

ヘンリーはバタバタと頭を下げながら席へ着いた

一先ず今後の動きが確認できたところで俺は全員に解散の命を出してハンターと執務室へ向かった





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