私はさらだ。
お絵描きできる白い皿である。
ペンを持った男の子が、不安そうな顔をして固まっている。
男の子の隣では、母親が笑顔で話しかけている。
周りでは親子でお絵描きをしてワイワイと楽しんでいるようだ。
カラフルなペンで好きな絵を書いていいんだよ!
お母さんといっしょに書いてみてもいいよ!
ヘタでも大丈夫だよ!
肩の力を抜いて! スマイルだよ! スマイル!
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母親 「すてきなお皿できたね!」
息子、頷く。
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息子が小さいころ、療育施設でオリジナルのお皿を作るというイベントに親子で参加しました。
ちなみに息子には障害があり、小学校入学前に療育施設へ通っていました。
息子は変化が苦手で、当日はいつもと違う雰囲気なのが不安なようで落ち着かない様子でした。
そんな息子を目の前にした皿は、こんな風に励ましていたのではないかと思い、皿視点で書いてみました。
特別支援の中で生きてきた息子が18歳になり、もうすぐ就職も決まりそうで、ようやく出口が見えて一安心できたところです。
息子がもう必要ないものをいろいろ捨てて(断捨離)いたところ、15年ぐらい前に作ったお絵描き皿を見つけました。
黒と赤の直線だけの皿で笑ってしまいましたが、よい思い出です。